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今日は愛犬の命日なので

7年前の今日、私の可愛い可愛い弟が天国へいった。
ミニチュアダックスフントの男の子。
クリーム色のふさふさした毛が可愛かった。

7年前の今日は、悲しくてたまらなくて、心臓がえぐられたみたいに痛くて、壊れた蛇口みたいに涙が出て止まらなかった。また家族の中で私だけ最後の瞬間に立ち会えなかったこともあり、申し訳ないのと悔しいのとでいっぱいだった。

7年経った今はあの子のことを思い出しても、もう痛みを感じることはなく、愛しかった瞬間や楽しい思い出が蘇ってくる。
そう思えるようになったのは時が経ったのもあるけれど、忘れられない思い出をあの子がくれたからだ。

その次の年のお盆、つまりあの子の初盆に、あの子は私に逢いに来てくれた。
今思い出しても不思議だしあんな経験をしたのは初めてだったけれど、あれはきっとあの子が帰ってきてくれたんだと確信している。
今日はあの子の命日なので、記録も兼ねてあの日を思い返そうと思う。

6年前の8月のある日、大学生だった私はお盆休みに実家に帰っていた。
特にすることもなくて、昼間からだらだらとソファに寝転がっていたらいつの間にかウトウトとしてしまった。
眠りの世界に片足を突っ込んで、ふわふわと気持ちよく漂っていたとき、仰向けに寝転んでいた私のお腹の上に、ズシっとどこかで感じたことのある重みと、温かさを感じた。
えっ?と思うのと同時に、直感的に感じた。

「あの子だ」


私が寝転んでいたらよくお腹に乗ってきていたあの子。そのときと同じ、懐かしい重さとあたたかさ。

帰ってきたんだ。


半分寝ぼけていたけれど、本格的に目が覚めたらきっと消えてしまうと咄嗟に感じた。
目を瞑ったまま、重みを感じたお腹の上あたりに手をやると、ふわっとした毛並みに手が触れた。

ああ、ここにあの子がいる。

顔周りのふわふわとした毛、頭のてっぺんのなめらかな手触り、後頭部の骨がちょっと出っ張っているところ。
文字通りの夢とうつつの真ん中で、私は夢中であの子に触れていた。
ああそうだった、やっぱりこの形だった、この手触りだった。記憶と答え合わせをするように、その子を形作る要素を確かめていた。ずっと恋しかった、このやわらかさ。

その瞬間、ハッと目が覚めた。
飛び起きると私は相変わらずソファの上にいて、当然お腹の上には何もいなかった。
でも、何かがここにいたという温かさが、気配が残っていた。


あれからもうあの子が逢いに来たことはない。
私が最後の瞬間に立ち逢えなくてベソベソしてたから、逢いに来てくれたのだろうか。

来なくなったということは成仏して、どこかで幸せにしてくれているかなあと勝手にポジティブに考えている。
本当は私がそっちにいくまで天国で待っていて欲しいけど、それは私の我儘なので気にしないで幸せになって欲しい。
でもまたいつかどこかで逢えたらいいな。
7年経ってもきみより可愛い子には出逢えないし、これからも出逢える気がしないです。