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『大谷選手の肘の怪我について、“噛み合わせからの影響“があると仮説を立てて、わかりやすく説明してみた』

今回は多くの人にわかってもらいたいので、専門的になりすぎないように、大谷選手の“噛み合わせ➡︎肘”の関係に、直結的に、できるだけ感覚的に、わかりやすい言葉を選んで語ろうと思います。

専門の方々、いろいろ足りない文章であることは百も承知なので、あしからず。

伝えたいことは『噛み合わせ➡︎投球時の肘への負担のメカニックはめちゃくちゃあるよ』です。
投球に限りませんけど。

大谷選手を介して話を進めますが、その本質は『噛み合わせは全身機能と同期しなくてはいけない』です。
口は歯科医師しかケアできない。しかし歯科医師は投球おろか全身機能を知らない。
パンドラの箱的、重要なケアポイントです。

先ず、歯科医らしく、考え方のベースは口です。
口は歯、舌、顎関節のみで考えれるものではありません。
食事をするにも、首を動かさずにご飯を食べる人はいません。障害など特例は除きます。

上を向きましょう。空、もしくは天井を見上げて、
口は開き、舌は下がり、下顎は後ろに引けるでしょう。
下を向きましょう。地面、もしくは床を俯いて見ましょう。
口は閉じ、舌は口の中の天井(口蓋)にベタっと着き、下顎は前に出てくる。


これで“噛み合わせと首”の関係があることが言えました。

歯医者さんが寝させて、「カチカチして、ギリギリして」と噛み合わせを合わせた気になっていますが、“寝てご飯は食べない”“噛み合わせの動的な部分を無視した切り取りの噛み合わせ”を診ているに過ぎません。
“使えない噛み合わせ”です。

さらには首を回したり、首を傾げても、下顎の位置は動き、首の緊張は変わり、噛み合わせは変化します。
口にあるルールには、身体の機能情報がトレースされて、同期されなくてはいけません。

では次。

下を向くと腹筋が機能しやすくなります。
上を向くと背筋が機能しやすくなります。
これで“噛み合わせと腹筋、背筋”の関係があることが言えます。


さて、次です。
立ち上がり片足立ちをしましょう。どちらの足からでもいいです。
投球動作にはどちらの足も片足立ちの場面があるので、両方試してください。

片足立ちをしたら、下顎を大きく左に動かしましょう。
重心が左に動きます。
右に動かせば、重心が右に、前へ動かせば重心も前へ、後ろなら後ろです。
下顎の動き、顎関節の機能と重心の間に関係があります。
口は下顎の動きで機能するので、顎関節は噛み合わせの影響をダイレクトに受けます。

これで“噛み合わせと重心”の間に関係があると言えたのではないでしょうか。

下顎を左にずらして、左に首を回してみましょう。回しやすいですね。
下顎を左にずらして、右に首を回してみましょう。回しにくいですね。
下顎を右にずらした時は、首を右に回しやすいはずです。

そのまま両足で立ち、下顎をずらしたまま股関節の可動で身体全体を左右に回しましょう。
下顎を左にずらしたならば、股関節の可動から身体は左に、右にずらしたなら、右に可動しやすくなるんじゃないでしょうか。

これで“噛み合わせと股関節”の関係があることが言えました。

これらは、細かな神経径や、構造的な説明を省いた、氷山の一角中の一角に過ぎない話ですが、噛み合わせや舌、顎関節、いわゆる歯科領域は全身機能と繋がりがあります。
いわゆる、世の中の歯科治療が口の中だけ診て、パフォーマンスや健康につなげることを成すと考えていることは、なかなか、神がかり的で、運任せで、雑である。と言えます。


もう少しだけつながりを話しましょう。
両足で立ち、気をつけの姿勢で、両手の親指から人差し指、中指と握っていきます。
手の甲が前を向き始め、肩が内巻きになり、首は前に倒れ始め、下を向きやすくなります。
両手の小指、薬指、中指と握っていくと掌側が外に向き始め、肩の位置は後方に、身体は反りはじめ、上を向きやすくなります。
これで“噛み合わせと指の先から、手関節、肘、肩、肩甲骨”と関係が言えました。

つながりのメカニックは膨大です。

口と身体のつながりを感じるベースの話はこれくらいにして、
大谷選手の話をしましょう。
大谷選手の顔を見てみます。

右目と比べて左目が下に下がっています。
下顎の歯並びの正中は、上顎の歯並びの正中から見て、少しですが、やや左です。

頭蓋骨は23個の骨+舌骨という気道、声帯のある箇所にある骨を加えた24個の骨が組み合う集合体で、立体的なパズルと想像してください。

その中で、下顎は一つの骨です。
頭蓋骨のパズルのつなぎ目は成長期は特に視覚や脳機能、習慣などの影響から、アシンメトリー性のある歪みを持ちます。

老齢化するほどにそのつなぎ目は硬くなるのですが、“すべてのつなぎ目が、ではなく”いくつかのつなぎ目は50代、60代になってもくっつく程に硬くはならないと報告されています。
医学的にはつなぎ目のことを“縫合”。くっつく程に硬くなることを“癒着、癒合する”と言います。一塊の鉄球の様にはなりません。

左目が下がり、左に下顎の正中がズレているということは、大谷くんの身体の機能には頭蓋骨には左側に歪みを持たせるアシンメトリー製の個性があるということです。
下顎の骨に限って言えば、左側に偏位を持つ個性となります。

さて、この情報の少なさから断定的なことは言えませんが、仮説として話を進めます。

少し話を前に戻すと、

“下顎を左にずらして、左に首を回してみましょう。回しやすいですね”
“下顎を左にずらしたならば、股関節の可動から身体は左に可動しやすくなるんじゃないでしょうか”
と話しました。
顔面から予測する傾向の話です。あくまで傾向。
実際に診て、評価すると違うこともあります。
そのことを踏まえて、このまま話を進めます。

大谷選手は、右投げ左打ちの二刀流です。
この傾向を左打者に持ち込んでみます。左に首が回しやすく、左に股関からの体軸がまわしやすいということは、左に比べ、右に回しにくい。
言い換えれば右に回す時、身体にブレーキがかけやすい。”制動”が使用しやすいと言えます。

インパクトの瞬間に急ブレーキ、強い制動を作れることは、強い打球を生むために重要です。

左打ちの偉大な打者の顔を並べてみます。

“下顎の偏位の傾向は左”そんな様に見えますね。

左の股関節に力を蓄え、

“急ブレーキ” “急制動”  “インパクト”

“左打者”大谷選手としては“理想的な顔の歪み、噛み合わせの傾向”と言える、
かもしれません。

さて、ではこの傾向を、右投手に持ち込むとどうなるでしょうか?
2023年WBC決勝、“大谷VSトラウト” あれは痺れましたね。
最高でした。
最後のスライダー、ホームベースを横断して曲がってましたね。

スライダーが凄かった名投手といえば“伊藤智仁”でしょう。
当時、“高速スライダー”は伊藤投手の代名詞でした。
随分昔の話で、わからない人も多いかもしれません。
肘を壊して、活躍した時間は短かったので。
一瞬の最大級の煌めきでした。

めちゃくちゃスライダーがキレた素晴らしい投手でした。

顔の歪みの中で、やや下顎が左にズレてますね。
その点の傾向は大谷選手と同じです。

個人的にはスライダーの切れる投手はこの傾向が多いと思います。
左股関節の使用に対し、肘肩の可動が遅れやすい、良い様に表現すると“しなる”とも言えるかもしれません。
スライダーという球種にはこのしなりが生み出す遠心力が有効に働くと考えます。しかし、そこには大きなリスクが生まれます。“肘への負担が大きくなる”というリスクです。

大谷選手の肘にはは2018年に一度目のトミージョン手術が施されています。
そして今回、2023年に、状態の程度はわかりませんが、再度痛めました。

一度目のトミージョン手術の後、投球フォームのテイクバック、トップ(アーリーコッキングからレイトコッキング)を変更して肘の負担への対応をしているように思いました。

一度目のトミージョン手術の前の日本ハム時代と、手術あとのフォームのその部分の変化は明確です。
遠心力ではなく、フォームのメカニクスで投げるというのは、当たり前ですが有効です。

“超ハイレベルの話”というのが前提になりますが、

去年、2022年の成績は、
打者:本塁打34/安打数160/長打率.519
投手:15勝9敗

今年、2023年の成績(8月29日まで、シーズン途中)
打者:本塁打44/安打146/長打率.663
投手:10勝5敗/防御率3.14 ※右肘の障害により今季は投球終了。

この成績、これだけで、何か言えるものではないですが、
顔の歪みから予測する噛み合わせと身体の関係の傾向を通して見ると、
投手としての成績が良く強度が上がると、打者としての成績が下がる。
打者としての強度が上がると投手としての成績が下がる。
というのは頷けます。

アスリートのレントゲン写真が少ないので、女子のソフトボール選手も混じっていますが、頭蓋骨のレントゲン写真を乗せて傾向を見てください。

左から左打者左打者右打者です。

そして、データが見れてないので、私見になりますが、投球の中で、スライダー比率は上がっている印象です。

左打者としての調子が良い状態での右投げ、スライダー比率が上がっているとしたならば、フォームの改良くらいでは肘への負担は耐えられなかったのかもしれません。

“投げる時、歯は噛んでいない”“噛み合わせは関係ない”と、時々言われますが、それは身体の勉強を深めれば認識が変わる部分です。

大谷選手の肘の状態、大谷選手に関わらずですが、噛み合わせから身体への影響へのケアも一考と世界中に認識していただきたいと思います。

そして、歯科医師の皆さんに、歯科治療を受けて、体調崩したとか、パフォーマンスを崩したとか、そんなガッカリなことはありません。
歯科治療が“全身機能の評価の素どうあるべきか”を見直しても悪くないと思います。

『大谷選手の二刀流の進化がまだまだ観たい!』というのが私の切なる思いです。

皆さんの力で大谷選手の目に止まるところまで広めて頂けると幸いです。

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