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短編小説。 AIさん、「眉間の傷はどうですか」

話題のAIチャットGPT、どんなことまで出来るのか知りたいと、、、LINEのAIチャットくんに、「短編小説の出だしを書きました。修正箇所ありますか?」と送ってみると、えらく褒めてもらえたので、、noteに出した。

チャットくん使わず続きを書く。

そして、またAI使わず続きを書いてみる。
書いていくと、ただの経験。

ついに最後までの話を書いてみる。今回は途中でAIに質問しながら書いた。
「あなたが夏目漱石だとしたらどう書きますか。」
「あなたが宮本輝だとしたらどう書きますか。」
「あなたが村上春樹だとしたらどう書きますか。」
「あなたが北杜夫だとしたらどう書きますか。」

うーん、、、
〜だった。とか、〜だ。とか、〜である。など、語尾とかが変わるのはわかるが、話の内容までも作家によって全く変わってしまい話の筋がズレるAI。支離滅裂となったAI。北杜夫の時だけはかろうじて筋を通してくれた。

 うーん、使いこなせない。短い文章を書き、いちいちAIに聞いていけば何かできるかもしれないな、とも思う。なにしろAIは世界中の知識を持っている。こちらの使い仕方次第なんだろう。



さて最終回、
今回の話、こんな経験はしたことなかったし、したくもない。
ただ、いつの時代でも、こんな奴らはどこにでもいる、ということを実体験させてもらったと考えれば、それもよかったと思う。
回想的にドラマ風に書いてみました。



話のつづき、

「成人の日は一月十五日」

 年が明け、1月15日が近づいてきた。当時は成人の日である。そして、あの暴走族兼ヤンキーの奴ら、多くが成人だという。

 奴らにとって成人式とは、特別な場であることはいうまでもない。そして、そんな奴らが店にやってくるとなれば、それはそれは大事件を引き起こすことが予想された。

 周りのみんなも、「奴らが来るかもしれない」と心配そうに口々に言い合っていた。ゴルゴも同様であり、本部に相談を始めた。

 「奴らなら、きっと暴れに来る。応援をもらえないか」と、心配そうに言った。

 しかし、本部からの回答は的外れ。「本当に奴らが来るとは限らない。今は落ち着いてるその店。むしろ他の店にヘルプを出して欲しい」という内容だった。本部は店の苦労を何も知らなかった。

 当時、この店はもうひとりの社員さんである高山さんがいたが、他の店にヘルプに出ていけるほど、この店だけが安定していたのだ。なので、成人式当日は、万が一、奴らが来た場合に備えて、早めに電話するように指示を受けた。

 本部の対応に、ゴルゴは苛立ちを覚えた。しかし、これが現実であることを受け入れるしかなかった。


「一月十五日 成人式当日」

 店は昼前から満席になる。そこへ成人式帰りの人がやって来始めたが、変な奴らはいそうもない。いや、わからなかったというのが正解かもしれない。というのも、店に来ていたのは、みんな、顔も知らない若者だったのだ。

 だが、おかしなことがある。入口のボードには、1人で来て名前を書き、次の1人も名前を書き、広い4人席を確保していく。全部で7~8卓占領したいようだ。その後、片付けてない席で隣が空けばそこへ移り「おーい!片付けんかいや」と近くの席をまとめて取っていく。後で待っている客の事など関係なしの態度だ。

「変な奴ら来はじめてます」とキッチンにいるゴルゴへ伝えた。
「わかった、様子見てて。変な動きしたら教えて」

 変とは言っても、こいつらはえらく若い。関係なさそうだ。暴走族の奴らが、こうまでして席を確保するとは思わなかったのだ。

 すると突然!
 大袈裟に着飾った純白スーツやラメのスーツ姿の奴らがどやどやと叫びながら入って来る!他の客など無視である。最大のヤンキー顔が連なってくる。

 店内に緊張が走る。
 すぐに警察と本部に電話。

 瞬間、映画の世界になった…。

 席に座るやすぐに、大声で注文しタバコを嬉しそうに吸い始め、デカい声を張り上げ、皿を叩き鳴らし始めた。

「遅いのー!まだかー?」と叫び、カンカンカン…。皿を叩く。
「遅いのー店長!」カンカンカン…。皿を鳴らす。
こんなことでしかアピールできない成人の奴ら。

 狂った昭和の応援団の様な声で、皿やテーブルをわざと打ち鳴らす。店長を煽ってるのである。
みんな着飾ったスーツ姿である。
ナイフやフォークで打ち鳴らす。成人たち。

 満席である。
 ウェイティングである。
 子供も赤ん坊もいるファミリーレストランである。
 もう店内はビクつき、
 子供は泣き始める。

 その時、奴らの一人が、特にデカい声で社員の高山さんに、
「おい!遅いのー、まだか!!」と言う。
「申し訳ございません。もう少々お待ちくださいませ」と高山さんが謝る。

 「おい!このナイフ切れそうやのぅ。刺したろか?」
セットのナイフを手に、高山さんにからむ。もう奴らは成人ではなく狂人であった。
 奴らがテーブルを刺す真似をした時、高山さんは「止めてください!」と逃げ、「待て、逃げるんか、店長はー!」と腕をグイと掴み他の奴らも続いて席を立った。

 ついに、奴らが手を出した。
満席の客席は叫び声と逃げる客で大混乱。警察はまだ来ない。

 キッチンにいたゴルゴは、もう一度警察と本部に電話せー!と伝え、調理台を乗り越えフロアへ飛び出す。コックコートのままで鉄菜箸を手に持ったままだった…!
 つかまれた高山さんが危ない。ゴルゴに続き私も狂人20人の群れに入り込む。
 店のど真ん中…。
 罵声と女性の悲鳴と泣き声が目、耳に入る。
 わめき叫ぶ20人の奴ら。
 もみ合いになったのである。
 乱闘である。
 他の客が危ない。従業員は泣き叫ぶ。客も隅へ逃げる。    
 子供は親に抱かれ外へ出る。

 「外出んかい!ここは店や!外出んかい!」とゴルゴが叫び、絡まった腕をはらった時、鉄菜箸が相手の目をかすめた。

「何すんねん!!殺したる!」

 理性を失ってる奴らの「殺す」という言葉を何度も聞きながら、絡みながら駐車場へ出て、対峙することになった。

 マンガでしか見たことのない目。なによりも劣る目をした20人と、ゴルゴと社員と私の3人。とても敵わない。一瞬、風が吹く。

 一張羅着て横に並ぶ奴ら。負けまいと対峙する3人に向け、一斉に殴りかかりそうになった、とその時、奴らのトップが間に入った。
 「もうえー!止めとけー!」

 サイレンが近づく。

 音を聞いたゴルゴが、
「もう来るわ、落ち着いて話そうや」とトップと向き合った瞬間、
 奴が頭突きした。

 デカい頭がゴルゴの額にぶち当たり、ゴッっと鈍い音がしてゴルゴの膝が付く。

 頭を押さえうずくまったゴルゴ、ポニーテールが垂れる。コックコートが血に染まる。眉間から流れていた。

 それでも向かうゴルゴに、
「お前、血止めてこいや」とトップが言う。そう、顔が血まみれになっていたのだ。

 警察が到着。遅すぎる。

 ゴルゴの手当をするため店内へ戻る。もうグチャグチャであったのは覚えているが、あまり覚えていない。ただ、傷や打撲にタオルを当てられ冷やされていたのは覚えている。3人の目の前にビール瓶があったのも覚えている。

怒りの止まらないゴルゴは、ビール瓶を割り外へ出ようとした!
「ダメだ!!」とみんなで抑えた。

 ゴルゴは下を向き、大きく肩で息をしていた。
 怒りに震えているようだった。
 みんなで肩を支える。
 いつも冷静なゴルゴでさえ理性を失いそうだったのである。卑怯者は許せない人だった。

 駐車場を見ると、パトカーが何台もやって来て埋め尽くし、救急車もいる。
 本部社員や周りの店の社員さんも後からやって来て大騒動となったそうだが…。もうそれからのことは見ていない。3人とも救急車に乗せられ病院へ行ったのだ。
もうこのあたりからの記憶はない。

 事情聴取を受けたが、結局、ゴルゴが鉄菜箸を持っていた事で、相手の目に傷がなくとも、訴えれば訴えられる話となるらしい。結局、敷地に近寄らないという「念書」だけで終わったようだ。会社の弁護士の説明だ。


 私は打撲で済んだので、何日か休んだだけだが、ゴルゴは自宅療養でしばらく休みとなり、割れた眉間は何回も治療したようだ。

 それから、ゴルゴが店に戻ってきたのは随分してから。まだ眉間にテープを貼っていた。

「2回も手術やり治した。大事な顔やからね。会社が費用出してくれたし。でも、3ヶ月テープ貼っとかんとあかんの。ほら、これ。どう?もうだいぶわからんやろ」
とテープを剥がし、眉に重なった傷を笑いながら見せる。

「いやいや、テープ取りゃまだ分かりますよ」
と言うと
「ま、記念よ」
と笑いながら言った。笑えるんだ。

 それからはゴルゴはあっという間に異動が決まり、送別会でヒーローのまま去ったのだった…。

 それ以降ゴルゴの眉間の傷を見ていない。一年後のある日お別れをすることになったのだ。会社を辞め、新たなことに挑戦すると言っていた。

 私も卒業が近づいていたし、いずれは自分も道を決める時だったので、ゴルゴ自身がやりたい新しい道を切り開いていく姿勢に感銘を受け応援したのである。

 あれから、もう何十年。私も社会人として一人前に働いたつもりだ。あのゴルゴとの不思議な出会いや、本当にやりたいことを見つけ真正面から向かい合う姿、あの衝撃的な事件も私の中では不思議に宝物である。
漂わないゴルゴの姿勢を思い出す。


「今日」


 最近嬉しいことを聞いた。なので今日は、久しぶりに店に行きゴルゴに会いたいと思った。当時のファミレスは撤退し、今は昔ながらのカフェになっている。ゴルゴはいるかな。もう一度あの頃のように話をしてみたいとも思うのである。学生時代にゴルゴに出会ったことが、私にいい影響を与えてくれたのだから。

 うん、いい店だ。この落ち着いた色や雰囲気はあの頃のゴルゴが望んでいたことだろう。

 そう、このカフェオーナーとなっているゴルゴ。人生の最後、本当にやりたいことを、また見つけたようだ。

 「ごちそう様」

 おっ、レジ後ろにはゴルゴの写真がある。オーナーAtsuko-Ikuta。さすがにもうポニーテールじゃない。短い白髪のゴルゴが笑いかけてくる。思わず写真に聞いてみた。

 お久しぶりです。生田敦子さん、「眉間の傷はどうですか」

「ふふ、ありがとう」
きれいな眉のゴルゴが横で笑った。

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