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おかづのままよ日記「大丈夫か?」 2207/16

 先週のことである。
目の前の夫婦、食事の時間である。
が…、妻さん何か調子悪そう…。

どうした…?

 妻さんがぽつっと言う。
「ちょっと、テレビ変えてくれる?見とうないねん」
ニュース見ていた夫くんは、「えっ…!」と妻さんの顔を見る。妻さんなんとも言えないような表情だ。
「ん…?あっ…!」と、夫くん。
今さらに気づいたことを反省しながら、まだ鬱の薬を飲んでいる妻さんからの話を聞き、申し訳なく思う。


「私はまだ、人が死ぬとかの話や、人が死ぬ場面見ると気分が悪くなる」
「うん。そうなんやね。そりゃそうやね」

「変えよう…」そう言って夫くんチャンネルを変えたが、どこもA首相が撃たれた同じニュースだった。
『プチッ。』

 次の日も次の日も似たようなもの…。
せめてものBSは演歌だった。


『プチッ。』

……。

 妻さん、昔から鬱の傾向はあったそうだが、薬は飲んでいなかった。

 しかし毎朝、目が覚めると…、生きていることに絶望するようになり始め、鬱症状がひどくなってようやく病院を受診。
薬飲み始めたのは3年前からだそうだ。


 症状がひどくなって当たり前のことが起きたのだ。
いつも家にいなかった夫くんが急に、いつもいつも居るのだ。急に。
感染症の流行る1年も前のことらしい。

 その3年間といえば…。
1年目は夫くんが毎日居て、2年目も夫くんが毎日居て、かつ、テレビをつければ感染症。3年目も夫くんが毎日居て、テレビはどこもかしこも感染症。やっと4年目に入り、感染症落ち着いてきたと思えば、海外の戦況報告が始まった。

 いやぁ…、嫌やろうな。

嫌や~!

 妻さんは、夫くんと病気と戦いものは嫌いなのだ。
唯一、気を紛らわすことができて、楽しいことといえば料理することだった。なのに…、4年目に入ると…、食材物価高!


ゲェーーー。!!!

 あ~、なるほど。それでなのだ。
夫くんがトマトとキュウリとピーマンと、オクラとバジルとパセリと大葉と葱にトウガラシを懸命に懸命に育ててる理由が分かったぞ。

小麦は無理か?


 えーっ、何?また、感染症流行ってきた…?
雨もすごい…?

……!
 夫くんは、なんの関係もないように、嬉しそうに、トマトとオクラを採りに走った。

……

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