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[バトンリレー企画2022] 心に残るエピソード 『シーズーおかづがやって来た!』2209/18

チェーンナーさんのバトン企画のバトン。チズさんから渡されました。

チズさんとは大学は違いますが、同様のクラブに所属されていた方なので、勝手に親近感を抱いております。

このお話も優等生ならではの反乱。黒歴史と言われますが、大切な素晴らしいエピソードでした。ありがとうございました。


しかしこの企画、バトンで次々繋がっていくことを知らなかった💦

よし、ま、どう考えても私にはおかづの話しかありませんので…、
私の心に残るエピソードは…

『シーズーおかづがやって来た!』
です。

 いや~、今から夫くんが話すので聞いてやってください。
。。。。。

……。

 私は長く勤めてきた会社に突然行けなくなってしまいました。もう3年半も前の話です。なんか悪いことしたわけではありません。40年も前に発症し薬で抑えられていた持病が再発してしまったのです。そして、軽いとはいえ自動車事故を起こしてしまいました。

 私の持病は再発すると運転禁止です。ですから、すぐに休職しました。会社に迷惑をかけることはできません。私は部屋で一人ぼう然とし、ただただ自宅にひきこもっていました。

 そんな私を心配した妻は、飲んでる薬がきっと合わないんだろうとネットで必死に探し、まち一番の病院を見つけてくれました。そのおかげで通うことになった病院。
 私はまち一番の医者にめぐりあい、大学病院でも様々の検査を受け、難治性の病気であることが判明し、新しく承認されている薬を服用することが出来ました。妻に感謝です。

 薬はべらぼうに高い。でも、症状は日を追う毎に落ち着いていき症状は治まっていきます。ですが、同時にひどい副作用。これが長引いてしまい結局1年半たっても復職はかなわず退職となりました。

 副作用の症状は重かった。日を追う毎に歩けなくなる足。うどんを箸で掴めなっていく手。喋るのが嫌になるほど滑舌の悪くなる口。病状は治まってきているのに、この副作用で昨日出来ていたことが出来なくなる恐怖。そしてリハビリ。鬱々とした日々が1年近く続きました。


 当時、私の息子は高3の受験生です。息子も不安だったろうと思います。また、一番金のかかり始める時に私が急に退職したものですから、妻はこの先に不安を抱えて精神的に崩れていきます。

 そんな中で唯一、家族の心を和ませてくれていたのが老いたトイプードル。唯一の救いでした。
 休職してからは運動のために、いつも私の散歩に付きあってくれて、遠い神社へも行ってました。早く歩けない私に歩調を合わせるようにゆっくり付きあってくれるわけです。それはそれは気の休まる穏やかな時でした。

 なのに愛犬には癌が見つかり弱り始めます。追うように妻にも癌疑いの影が腎臓に見つかりました。それに妻の実母は認知症となります。

 さらにと加えたくもありませんが、私は他に醜い副作用も出ており、怒りのコントロールも出来なくなっていたのです。おそらく薬の作用する場所が違っていたのだと思います。何でも自分の言うことが正しく思い通りにいかなければ暴れる夫となっていました。
 妻と息子は私が寝た後に、台所の包丁を隠したそうです。異常です。すぐに薬を別の物に変えることで症状はおさまりましたが、醜悪な副作用でした。そんな父親をを見て息子は浪人するためと逃げるように家を出てしまい、ついに妻は鬱と診断されました。


 またさらに、とどめで、妻の母は妻のことを思い出せないまま死亡し、愛犬は寒い冬の朝、妻の腕の中で亡くなります。
 我が家に底はなく、足のつかない沼のようでした。


 それからの3ヶ月間は、息子がなんとか受験すると言って帰省することはあっても、家で会話することなどなく、3人家族は全くバラバラ。屋根が同じだけという別の家にいるようです。

 お互いに存在すら感じたくもない生活をしているわけです。いったいそんなことが出来るのかと思われるほどにお互いの姿を見ない。いや、見えない。3人ともが虚ろな目をした単なる物体になりました。

 少しでも喋ろうものならケンカ、目が合おうものならケンカです。用事で一緒に車に乗ることがあっても、妻の運転する助手席で、いつも私の手はすぐにシフトレバーをニュートラルに出来る準備をしていました。妻が突然怒りだし暴走するのを防ぐためです。妻もおかしかったのです。



 3月も末、そんな家庭状況なのに、息子は最後の最後の受験で大学に合格しました。ほっと、一つの安堵を感じる中で息子の引っ越し準備をすることとなりました。入学式などは流行病でありませんでしたが、それはどうでもよかった。
ずっと足のつかなかった沼の底に足がついた感じでした。


 やっとそれからです。この家庭を復活させるために「もう一度犬を飼おう」
 家族の中に何か間に入ってもらう犬が必要、という話となり、すぐにあちこちの保護センターなどを訪ねはじめました。ですが、そう簡単には見つからない。流行病でペット飼いのブームがきており、探すにもずいぶん時間が過ぎました。


 ある日、たまたまネットで見つけた隣町の保護センター。
 電話すると、また、たまたまにメスのシーズーが入ったばかりだと言われます。
「お願いします」
と、すぐ翌日、家庭状況の審査としてシーズー犬と一緒に自宅に来られました。
自宅で、ペット飼ったことがあり、毎日誰かいる。
この条件でダメな訳がない。話がうまくとんとん進みます。
 シーズー犬は鼻ぺちゃで飼おうとしていた犬ではないのですが、目がめちゃ可愛い。
そして翌日に連絡があります。
「さいとうさん、お願いします」でした。

 そして3日後、「シーズーおかづがやって来た!」のです。

…!!

 それからはもう、世話するだけで大変。夫婦が協力せねば、いたる所にオシッコをされるウンチをされる。
 老いた夫婦がケンカなどしている暇はない。買い物も一緒に行かねばならない。前のトイプードルのケージ入れていたのに乗り越えて壊してしまう。

 歩けば人の回りを絡みつくように転かせるようについてくる。
 2階に上がってもついてくるシーズー。
が、足がまだ短いので自分で降りられず転げ落ちる。
おいおい。

 フェンスを作り2階に上がれないようにしても隙間を抜け上がる。転げ落ちる。
おいおいおい。
そしてついに壊す。
おいおい。
しっかり作ると人間が通れない。
おいおーい!

 スリッパは取る。靴下、シャツ、パンツは集める。重い靴まで引きずってやって来る。もう、朝から晩までわやくちゃ。

 時間が食い違い、顔も見ず話もしなかった夫婦は今、しょうがなしにシーズーおかづ時間に合わせるようになり、ついには朝から一緒に食事である。

 3年もの間、数えきれない不幸が重なり、何回も死にそうになった夫婦なのに、なぜか今、今日も昨日も一昨日も一緒に食事である。おそらく明日も明後日も一緒に食事である。

 これはすべて、歌月(別名おかづ)のおかげであろうと思うのである。
いや、おかげである。


まさに我が家に、『シーズーおかづがやって来た!』

ほんとうに毎日毎日A Hard Day's Nightで、考える暇もなく過ぎ、
最後は、Let It Be


今からまた朝食である。

やぁやぁやぁー!


。。。。。。。。
楽しい企画ありがとうございました。
。。。。。。。。


さて、次は占い師KOMAさんにお渡しします。

いや、占いは趣味でされておられて、実は神社・仏閣好きなんです。

また、俳句もされており、先に俳句ポストの中級に入選。うゎ~、ひそかに対抗心を持ってしまったんです(笑)

KOMAさんよろしくお願いします。


#心に残るあのエピソードをあなたに
#チェーンナーさん


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