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さくら橋から砲台跡で 220313

さくら橋

幼稚園や小学校へ通う途中には、小さな川にかかる“さくら橋”を通る。自然な川の流れと細くも長く続く土手は明るく好きな場所だった。まわりより少しだけ高い土手は、夏休みの宿題「月の観察」でもよく利用した。

まだコンクリートなどに囲まれていない川。狭いところなら大人だと飛び越えられるくらいの川だった。

いつだったか橋の少し下流、木の覆い被さった所で「ヘビがおる!」と子供たちでキャーキャー騒いでた。その時、郵便屋さんが通りかかり「どこじゃ?…おっ、よーし!」とズボンの裾をまくり上げ、じゃぼじゃぼ水をかき分けて捕まえてくれた。
「わー、すごーい!」という歓声の中をヒーローになった郵便屋さんは、ヘビを片手に得意げに去って行く…。

その後どうしたかは覚えてないのだが…。さすが!大人になればあんなことができるんだという、さくら橋以外の訳のわからん思い出がある。

まだ水の透き通っていた昭和である。



初キス

初キスをからかわれたのもこの川の土手。
小1の時、同級の女の子とケンカしながら帰っていたのだろうか。土手でケンカ別れの後、女の子が駆け寄って来て抱きついてきた。キスなどしてないと思うのだが、それを見ていた他の子に「わー、キスした!キスした!」などと、しばらくからかわれた。
昔から女の子は早い。

かわいい思い出である。



砲台跡と戦争

裏山は100m少しの山。越えれば駅に出る。低い山だが、越えて行くことだけは禁止されていたような気がする。
街に出られるからだろう…。

山は子供たちだけでも行ける遊び場だったので、兄達や友達同士で登ったことはある。特に何かがあるわけではない。
ただ登る途中には防空壕跡や砲台跡がまだ生々しく残っていた。

その砲台跡から眺める景色は街を一望出来るし、おだやかな海や島までも見える。
もちろん広がる空も見える。
子供にはたいして面白くもないが、大人はゆったりと心落ち着く場所だろう。

ある日、砲台跡で空を見上げ「敵機来襲!撃てー!」とイメージしたことがあるのだが、子供ながら妙に怖かったことを覚えている。
もし、本当にあの空から敵機が、真正面から向かって来たら…。
考えるだけでぞっとした。
雲から次々と現れるのだ戦闘機が…。

全員退避ー!逃げろー!」

1956年(昭和31年)の経済白書「もはや戦後ではない」と…言われた10年後くらいの話。
東京オリンピックも終わっていた。

まさか21世紀にもなって、世界を巻き込みそうな戦争。砲台からの映像を見ることになろうとは…。

思わんかった。

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