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議論をする前に

「これって誰もが陥りやすい論理的ミスだな」と思ったのでメモを残しておく。

すなわち、必要条件と十分条件の区別である。
P→Qだからといって、Q→Pとは限らない。

このことは、一つ具体例を考えればすぐに分かるだろう。
ミカンならば果物だが、果物ならばミカンではないのだ。

イメージとしては、「果物」というカテゴリーの中に「ミカン」というカテゴリーが丸ごと包まれている様子を思い浮かべてほしい。

字が汚い!

それが「ミカン」であれば、余すところなく「果物」という概念の中に取り込まれている。
だから、ミカン→果物は真だ。

しかし、「果物」の概念が、余すところなく「ミカン」の中に取り込まれているわけではない。
だから、果物→ミカンは偽なのだ。

今回は「果物」という穏当な例を用いたが、これは攻撃的になりがちな議論にも当てはめられる。

「クソなやつ→A」が仮に真だったとしても、「A→クソなやつ」が真であるとは限らない。
「クソなやつ→水を飲んだことがある」はおそらく真だが、「水を飲んだことがある→クソなやつ」は明らかに偽であるように。

そして、この二つの命題を混同することは、しばしば無用な対立を生む。

例えば、問題なのは「Aであるクソなやつ」なのに、「Aである人」全体を敵に回すような発言をしてしまったり。
「Aであるクソなやつが問題だ」という話をしているのに「Bはどうなんですか!」とか的外れなことを言い出してしまったり。

だからこそ、必要条件と十分条件について、しっかりと意識する必要があるのだ。

…まあ、気をつけよう。お互いにね。

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