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【詩書きが選ぶおすすめの本】 小池昌代詩集のゾッとくる3行 〔超厳選の1冊!〕


【詩書きが選ぶおすすめの本】 小池昌代詩集のゾッとくる3行


今回ご紹介するおすすめの本は現代詩文庫の〈小池昌代詩集〉です。
『永遠に来ないバス』(現代詩花椿賞)全篇、『もっとも官能的な部屋』(高見順賞)から13篇が収録されるなど読み応え抜群の内容となっています。

ですが僕が取り上げるのは『永遠に来ないバス』でも『もっとも官能的な部屋』でもありません。すみませんひねくれ者で。もっと言うとこの本の詩集部分ではなく、そのあとに収録されている飯島耕一さんの書いた詩人論です。

詩人論の中で飯島さんは、ゾッとして来さえするほどすぐれた詩行として、〈小池昌代詩集〉には収録されていない、詩集『雨男、山男、豆をひく男』の「見えない関係」という詩の三行を紹介しています。

その三行こそが今回、僕がぜひ取り上げて紹介したい詩なのでした。
では早速みてみましょう。

家は
あらゆる窓、すべての扉を固く閉じながら
夕日の侵入を奥まで許していた

「見えない関係」


何か特別な事が書かれているわけではありません。が、詩というものは、たった三行で人をゾッとさせる事が出来る、そう感じたのでした。
二行目では物理的に固く閉じていたものが、三行目においては、すううと夕日によって通過されてしまう。侵入を許してしまう。「あらゆる」「すべての」「固く」の重みを受けて、「奥まで許していた」が大きな効果をうみ、異様な感動をもたらします。
あぁいつかこんな詩が書けたなら…そう思わずにはいられない作品です。

この「見えない関係」の三行は、「見えない関係」の I 太陽と不在(全二七行)の中の三行です。飯島さんが太陽と不在から、鳥が地の黒い割れ目をついばむように、《三行》を紹介してくれたおかげで出合うことができました。
さすがは僕が私淑している吉岡実先生の友人です✨有り難いことです。僕が今までに書いてきたおすすめ紹介マガジンの記事も、読者にとってそんな場であってくれたら嬉しいのですが。

さて、今回は僕がひねくれ者で(笑) どうしても「見えない関係」の三行を紹介したかった為このような内容になりましたが、上記の『永遠に来ないバス』、『もっとも官能的な部屋』は現代詩の歴史に残る傑作だと思います。

大好きな「満天」という詩なんて、読むと
ぷるりぃー
ぷらはりぃー
と叫びたくなるほどです!

ぜひ実際に手に取って繰り返し読んでもらいたい詩集です。そこでは、すぐれた詩の数々が読まれる時を待っています。



ご紹介したおすすめの本📕
小池昌代詩集(現代詩文庫)はこちらです⇩

※Amazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。



〔簡単な自己紹介〕
詩書き。〈青い鳥書店〉店主。
noteでは詩の投稿や販売、人生で出合った特別なものを紹介する『重吉のおすすめ紹介マガジン!』の運営などをしています。
詩の面白さを伝えたい。
何度も読んでもらえる詩を書いていきたい。


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