JIS、日本語名が日本工業品規格から「日本産業規格」へ
IoT:Internet of Things(モノのインターネット)の普及、製造業のサービス業化をうけて、日本工業品規格という名称が近々「日本産業規格」に変わります。70年ぶり大改正(小さな改正はこの間4回程あります)なのですが、他のニュースの影になっているのか出てこないので紹介してみます。
「産業標準化法」成立
国際標準化や、昨年10月に発覚した神戸製鋼所のアルミ・銅製品などの品質データを改ざんなど製造業の不正の防止強化に向けて見直す作業が進んでいた工業標準化法(JIS法)は、現在開会中の第196回国会(通常国会)に提出されており、昨日5月23日の参院本会議で可決、成立した。
なお施行期日は一部の規定を除き、公布の日から起算して 1 年 6 月を超えない範囲内において政令で定める日となっている。
改定内容(抜粋)専門知識等を有する民間団体が作成した規格案については、審議会への付議を経ることなく、迅速にJISを制定→これにより原案作成終了から公示までの期間が現在の約1年から最短3か月に認証を受けずにJISマークの表示をした法人等に対する罰金刑の上限変更→現行の100万円から今の100倍の1億円に引き上げるなど企業のJIS表示違反に対する罰則強化
法律名も「産業標準化法」に変更される。
経済産業省 平成30年2月27日リリース「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
経済産業省 新旧対照条文(PDF形式:480KB)
関連して、不正競争防止法、特許法、弁理士法も一部変わる。例えば特許法等の一部改正では特許料等のクレジットカード払いを認め、またこれまで一部の中小企業が対象だった特許料等の軽減措置が全ての中小企業に拡充するといった内容も盛り込まれている。特に中小企業の特許申請へのハードルが低くなりそうだ。
JISの規格票
仕事等で接しないとなかなか、JISの規格票(冊子というと判りやすいだろうか)を目にすることは少ないかなと思う。
写真はウェブアクセシビリティに関わるJISの規格票だ。
JIS X 8341-3は最初は2004年に、その後2010年と2016年に改正された。写真は最新版となる。
JIS X 8341-3の規格票は比較的薄くて56ページ程だけど、これで3,800円する。プライス表によると安いものは500円、高いものでなんと35,000円!
購入は日本規格協会のウェブサイトか、霞が関や仙台などにある政府刊行物センター、また、一部の大手書店で取り扱っていることも。官報販売所一覧で検索できる。
ちなみに国家規格でもあるJIS、現在の規格総数は10,667規格ある。(平成30年3月末現在)
番号は、分野を表すアルファベット一文字と4桁から5桁の数字との組合せからなる。分野は今のところ19あり、ウェブアクセシビリティのJISについている「X」は「プログラム言語/図形・文書処理・文書交換/OSI・LAN・データ通信/出力機器・記録媒体」といった情報処理分野だ。
なお「I(アイ)」「O(オー)」が使われていないのは、他の文字とご認識しやすいので避けているのではないかと思う。
身近な品物のJIS
製品やメーカーが異なっていても利用できるのはJISのおかげ。
鉛筆のJISはJIS S 6006:2000「鉛筆、色鉛筆及びそれらに用いるしん」というのがそれ。種類、寸法、表示、品質とその試験方法が規格で決められている。
プラスチック消しゴムはJIS S 6050 プラスチック字消しで字消し能力などの規定。
紙のサイズはJIS-P 0138紙加工仕上寸法で決まっている。
牛乳のパックを見ると、上部に欠けている箇所があるがあれはJIS S 0021だし、シャンプーやリンスのボトルに入っている刻み(ギザギザ)はJIS S 0021。
他にも乾電池や自動車部品、家具、非常口のマークなんかにも。
普段気にしていないけど、お子さんと一緒に探すと面白そうですね。
参考
・日本経団連 週刊 経団連タイムス 2017年7月20日 経済産業省から「新たな基準認証の在り方」についての取り組みを聞く
・ロイター 2017年12月22日記事 経産省が製造業品質問題で対策、JIS法改正など検討
(了)
ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド Tekapo湖 ©moya