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アメリカ ルート66を巡る旅 09 テキサス州 東部

ルート66の旅、遂にテキサス州に入ります。アメリカを横断するルート66がアメリカの南にあるテキサスを通っているのを不思議に思う方もいるかもしれません。ルート66は、シカゴからイリノイ州を南下し、ミズーリ州セントルイスからひたすら西に向かいます。そして、カンザス州、オクラホマ州を抜け、ニューメキシコ州に入ると思うのですが、テキサス州の北端を横切ることになるのです。テキサスというとメキシコとの州境、南米、カウボーイ、ヒューストン...いろいろとイメージが浮かびますが、それらのイメージのようなテキサス州らしい場所は通りません。テキサス州の中心地から離れ北端を通るので、大きな街はないですしテキサスらしい南部アメリカっぽい光景にもあまりお目にかかりません。そんなちょっと辺鄙なテキサス州を見ていきましょう。

今回はオクラホマ州とテキサス州の州境にあるTexolaの街からAmarilloまでの177kmを紹介します。止まらずに走ると1時間45分の距離です。

注意:この辺りの治安について
テキサスの旧ルート66はちょっと寂しいので、旅行者はあまりウロウロせずに一気に走り抜けたほうが良いと思います。特に治安が悪いわけではありませんが、街には何もないですし事件や事故に巻き込まれても周りに人があまりいませんので注意してください。

テキサス州を走る旧ルート66

<テキサスの大地>
オクラホマ州から続く赤い大地。酸化鉄を含む土が全てを赤く染めています。大地だけではなく建物も赤い土や石で作られています。この独特の光景は夕方になるととても美しいです。マジックアワーの夕日が赤い大地を照らすのです。そんなテキサスを走ります。旧ルート66は州間高速40号線と平行に走っています。道は1本しかありませんので道を間違うことはありません。

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なんとも不思議なデザインの建物

<You Drop In Cafe>
オクラホマ州とテキサス州の州境には何もありませんでした。そこには手つかずの平原と林があるだけです。州境を過ぎ、かなり寂しい道を30分ほど走るとShamrockという街に着きます。街の中心にある交差点、その四つ角に店があり、あとは数件のモーテルで終了、そんな小さな街です。交差点のひとつの角にあるのがユー・ドロップ・イン・カフェの遺構です。既に営業はしていないカフェ&ガソリンスタンドですが、建物はとても綺麗に保存されています。現在、この建物には観光協会と土産物屋が入っているので彼らがメインテナンスしているのでしょう。建物はとても特徴的でちょっとメキシコの匂いがします。このカフェ、名前は子供が付けたそうで英語的には変なのですが、それが魅力となっています。ルート66の有名な観光名所となっていますので、立ち寄ってみるといいかもしれません。

この街にはホリデイ・インがありましたが、旅行者用の施設は、他に見あたりませんでした。

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有刺鉄線の博物館

<Devils Rope Museum>
テキサス州はなんとも寂しい町が続きます。McLeanもそのひとつです。確かに町ですし人も住んでいます。でも何もないのです。いったい住民はどのように生計を立てているのでしょう。かなりボロボロの家が並んでいます。そして人の気配もありませんが、車は道に止まっているし家々からは生活感を感じます。
そんな何もない町に有刺鉄線博物館があります。有刺鉄線とは、進入禁止の土地の周りに張ってあるトゲのついた針金のことです。この針金には歴史があり、様々なタイプがあるのだそうです。そんな有刺鉄線について詳しくリサーチした博物館です。博物館に入ると時代ごと、地域ごとに形の違う有刺鉄線が並んでいます。興味があるかというとあまりないと思いますが、こんな風変わりな博物館がルート66沿いにはあるのです。そして、何気なく入ると意外と面白かったりします。

マクリーンのメインストリートはかろうじて舗装されていますが、それ以外は未舗装道がおおかったです。レンタカーは未舗装道走行は保証対象外ですので、この町街を走るときは気をつけてください。

<Phillips 66 Station>
マクリーンには、かつてルート66沿いで繁盛していたであろうガソリンスタンドの遺構が残っています。しかし、地元の人が観光の目玉にしようとペイントしてしまったので、せっかくのノスタルジックなガソリンスタンドは台無しになっています。これじゃあディズニーランドだなあとがっかりさせられます。ルート66を旅する人が望んでいるのは古き良きアメリカの匂いがする古くて懐かしいデザイン達です。どうもマーケティング能力に欠けた住人達がこのような失敗作を作ってしまっているのも、アメリカの田舎町の愛嬌ではあるのですが、色が塗ってなかったらさぞかし良い感じのスタンドだったはずです。

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看板として作られた給水塔

<Leaning Water Tower>
マクリーンを過ぎ、しばらくルート66を走ると、遠くに変な構造物が見えてきます。これが有名な傾いた給水塔です。これまでも街ごとに給水塔があり、それぞれ特徴的なデザインとコピーで我々観光客を楽しませてくれてきましたが、この給水塔はルート66全行程で一番インパクトのあるものです。誰が何のために作ったのでしょう。この給水塔は実際に機能しているのでしょうか?実は、ここにあった商店(ガソリンスタンド)が看板のように作ったものだそうです。ただ、商店は閉店し、この給水塔だけが残っているのだそう。おおくの観光客がこの給水塔の写真を撮っていました。

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インパクトのあるデザイン

<Big Texan Stake Ranch>
テキサスのルート66で唯一の大きな街がAmarilloです。人口は18万人だそうで、街の主産業は予想通り畜産です。この街、面白いのはかつてヘリウムの生産が世界一だったそうです。ヘリウムというと変な声が出る気体ですが、気球に入っている空気より軽い気体でもあります。どうやって生産していたかはわかりませんが、こんなテキサスの片田舎でヘリウムが作られていたというのがちょっと不思議でした。

畜産の街には、有名ステーキ店があります。この街にはビック・テキサンというかなり品のない大きなレストランがありました。この品のなさがとても愉快で、旅行者のおおくが外観に惹かれ店に立ち寄るのだと思います。
私も看板に驚き、店舗のデザインに笑い、店内の装飾に苦笑いしながらとても楽しい時間を過ごしました。ここのステーキは巨大で食べ応えがあります。

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コラム:ルート66のテキサス
アマリロという街までは、本当に何もない平地をルート66は走り続けます。本当にこの先にカリフォルニアがあるのかと思うほど寂しく、途中にある街も小さく、商店すらないです。ここに住む人たちはどのような目的でここに来てどうやって収入を得ているのかさえわかりません。人がいないので治安が悪いわけではありませんが、昔よく見たホラー映画のストーリーを思い出してしまいました。映画はこの辺りを旅している若者が、この辺りに住む変質者に囚われ拷問に遭うのです。実際はそんなことはなく、ただの偏見なのはわかっていますが、そんな気持ちになってしまうような景色が続くのでした。

今回は寂しいテキサス州東部を紹介しました。道はまっすぐ西に進んでいます。ハンドルを切ることはほぼないです。かつて、この辺りを旅した西へ向かう人々は、とても寂しかったと思います。今でも当時の寂しさを実感できます。ゆっくりと時間をかけて観光したいところですが、宿泊はアマリロしかありませんので、事前の予定は綿密にしておくことをお勧めします。

次回はテキサス州西部を走ります。


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