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1億5000万km

ホームに差し込む西陽が眩しくて、
思わず目を細める。

でもよく考えてみれば、1億5000万キロも離れたものの温かみが、ここまで届いている。

すごい。

あんなに遠くから届くものを
肉眼で見ることも耳で聴くことも
できないけれど、
直接感じることはできるというのは
なんとも不思議なもので。

赤ちゃんや子犬の高い体温に触れると、
心に安らぎが生まれて、
時間の流れがいつもよりゆっくりになる。

YouTubeを1.5倍速で見て、
1秒でも短い時間で着く乗換案内を調べて、
なるべく早い時期に内定をもらおうとする、
そんな日常とは違う、
別の世界線での時の流れ。

太陽の光に触れて、
温かいという感覚が研ぎ澄まされて、
地球で1番ゆっくりと、時間が過ぎていく。

一生電車は来ないんじゃないか
と錯覚するような穏やかな時間。
三寒四温。
あたたかさが寒さを凌駕して、
そうして、
やっと、

春が来た。


もつなべ



このノートを書いたのは4月の上旬で、その頃はさくらが見頃だったので、東京には大勢の観光客がいました。
今年も雨との戦い、お疲れ様でした。

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