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新宿駅で友達をみた

2限に間に合うように、家を出た。
新宿でいつものように乗り換えをして。

1時間目に行く時はいつも満員だけど、
2時間目ともなると人の数もそこまで多くない。

スマホの乗り換え案内は
常に「急いで」モードなので
今日もせかせかと乗り換えをしたけれど、
今日は少しだけ人の顔がよく見える。

1時間目に向かう私の目は
ついているようでついていないから、
前のサラリーマンの背中しか見えない。
スーツのしわを目で追って、
せめて階段から転げ落ちないように、
ベルトコンベアに乗せられた商品のように、
大きな流れのなかで足を進める。

でも今日は違う。
みんなの顔が少しだけよく見える。
白髪のおばあさんや、出かける装いの大学生、
足早に通り過ぎる営業らしき会社員、
黒いワンピースの女子大学生。
放っておけば、目にほこりがたまるくらいの隙間はちゃんとある。

向こうからやってきた
黒いワンピースの女子大学生は、
急いでいたのだろうか
前だけを見て早歩きで通り過ぎていった。

こんなこともあるのかと
驚き半分、嬉しさ半分。

女子大学生は私の友達だった。
かつては毎朝眠たげな顔で「おはよー」と顔を合わせていたのに、今は午前中に会うことなんてほとんどない。
大学が違うのだからあたりまえだ。

でも今日は、毎朝駅で彼女と会う感覚を
久しぶりに思い出した。
向こうはきっと気がついていないけれど。


一瞬のすれ違いのあと
私は懐かしさに軽く口角をあげながら、
小さな声で「おはよー」と呟いた。


もつなべ



ケチャップってよく隠し味とかに使われますけど、入れすぎるとただのケチャップ味の料理になっちゃうのが難点ですよね。

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