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【限界オタク語り】黛冬優子に看取られたい ーあさふゆについて

twitterでたまに流れてくる程度だったのが、イベントが始まったことで供給量が急に増え、ここしばらくツイのリストで存在感を放っていたその女の名を黛冬優子と知る。

TLを流れるファンアートやコスを流し見ている限りでは、ここまでオタサーの姫概念を具現化したキャラだしていいの?といった感じだったが、色々と見ていくうちにこれは違うなと。方向性は違えど、みくにゃんやナナさんの感じだと思った。ハマるのがわかりきっていた。しゅがはの時もそうだった。俺は一枚かぶった裏に深い情念を持ち合わせてる強い女が好き。
俺はもうこれ以上ソシャゲをやりたくなかった。本当にやりたくなかった。系列のアイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージに関しては本気を出すとイベントで1日何時間も費やすことになるし、アイマス本家やミリには手を出してないものの、百合厨的にはやはりバンドリ・ガルパをやっていないとお話にならないのでは?と思い始めていたところだったのでシャニマスのことなんてほんとに全然考えていなかった。
でもアイドルマスターシャイニーカラーズはイベントを開催中で、それは冬優子の所属するユニット「ストレイライト」のイベントで、だから冬優子だけでなくユニットメンバーも合わせた絵や考察や萌え語りが流れてきて、そういうのを見てしまうともうだめだった。俺は百合のオタクで関係性のオタクだから魅力的な女単体よりそいつが他の女とわちゃわちゃしてる姿に弱い。

ストレイライトとは

身に纏うは迷光、少女たちは偶像となる
実在と非実在を行き来するカリスマ的アイドルユニット。アイドルというアバターを身に纏い、歌うは真実か、狂気か。解き放たれた迷光が、今日も世界を奔る。


勘弁してくれ。これは虐殺だと思った。バンナムというクソデカ企業が俺を殺しに来ている。やられる前にやるしかない。つまりはシャニマスを。

何もわからなかったが、とりあえずガシャで黛冬優子を引き当てる。
プレイヤブルキャラはTHE 男性Pという感じで、なおかつデレステなどに比べてしっかりとセリフで自己主張してくるので「ウッ」となる。余談だが、アイマスシリーズの"プロデューサー"は全然プロデューサーの仕事をしていなくて精々がマネージャーの範疇だと思うんだが何故なんだ。

なんとか手探りでプロデュースをすすめ、冬優子とのやりとりをこの目で確認していく。
傍から見ている他人が引き込まれるくらいのまっすぐな目で、大好きなアニメ(魔女っ娘アイドルミラクル♡ミラージュ)のポスターを見つめている冬優子に出会う。プロデューサーはその表情に惹かれ、思わずスカウトをする。マスクを取る仕草に制作陣のめちゃめちゃなこだわりを感じる。
可愛いものに憧れる、可愛い女の子。でも、いわゆるオタサーの姫的なただの承認欲求オバケはこんな表情でこんな質問をしない。

冬優子はおそらくアイドルに、あるいは「可愛いもの」に尋常ならざるこだわりがある。そしてアイドルとなった彼女には矜持がある。

彼女にとっての可愛さとは、武装だ。
この世界から身を守るための防具であり、道を切り開くための武器だ。
ブリっ子と言われようと猫かぶりと言われようと、装備を固めて先へ進むその姿は徹底したリアリストだ。
冬優子の視線は常に「外」を向いていて、他人からどう見えるか、それをどう評価してもらうかを常に意識している。でもそれは弱く傷つきやすい彼女のナイーブさの裏返しだ。いつか「本当の自分」に向き合わなくてはならない時が来る。そこに手を抜くアイマス制作陣ではない。

ベテランカメラマンに武装を見破られ、楽屋でプロデューサーに「ほんとのふゆ」をぶつける。

冬優子はアイドルとなったことで今までの生き方を否定されることとなり、それに耐えられず敗走する。だがこれはアイドルマスターだ。
アイドルの活動によって崩折れた彼女を再び立ち上がらせるのもアイドルでなければならない。

さきほど「オタサーの姫的なただの承認欲求オバケではない」と書いたが、はちゃめちゃにストイックで高火力の承認欲求オバケではある。

外にしか向いていなかった意識を見つめ直し、自分の内に生まれた感情と向き合うことができた時、彼女はアイドルの世界へと本当の一歩を踏み出した。
そして、再び件のカメラマンとの仕事を迎える。
「それが、本当の笑顔なんだな」と問われた冬優子は答える。

今までの自分を否定することなく、全部含めて「これがふゆ」って言えるその姿は強く、そして可愛い。

気の強い女は最高。

そうして俺は沼に落ちた。俺は黛冬優子のファンになったし、"推し"たいとも思っている。しかし話はここで終わらない。
俺は百合のオタクであって関係性のオタクだから。

芹沢あさひ。ストレイライトのメンバーであり、天才肌で努力を努力とも思わず、持ち前の好奇心と探究心で周りを顧みず自然体で突っ走る14歳。
かたや本当の自分なんかに価値はないと言い、努力を重ねて可愛くみんなから愛されるアイドル像を作り上げようとする女、黛冬優子19歳。
"あさふゆ"ってやつだった。

先日行われたストレイライトのシナリオイベント、「Straylight.run()」では、猫かぶり状態の冬優子がもうひとりのメンバーである和泉愛依やあさひとユニットを結成してライブやイベントに奔走する姿が描かれる。
自分のやりたいことや思いつきを優先して好き勝手に行動するあさひと、周りからの目を優先してそれを止めようとしたりフォローしようして振り回される超優等生でクソ真面目な冬優子の絡みは正直見ていてハラハラする。行動原理も思想も全く相容れないふたり。制作陣には絶対絶対重度の百合厨がいる。間違いない。

好き勝手にしてるように見えても生来の天才性で成功を重ねるあさひを見て心を乱されまくる冬優子本当に可愛い。

結局あさひと冬優子はまったく理解りあえない。しかし、支え合うことはできる。
最後のエピソードでは、ユニットで参加した「海辺のアイドルバトル」での八百長を思わせる審査で、天才肌とアイデアで突っ走ってきたあさひは「この世界」での挫折を経験する。

冬優子はリアリストだ。汚い本物より綺麗な偽物の方が受け入れられることを知っている。でも、自分とは全く違うあさひを見て、本物のままキラキラ輝くことができるという美しい夢物語を感じていたんじゃないだろうか。
だからその夢が、憧れが、この世界の理不尽さに汚されてしまうのが許せなかったのだ。

だから彼女は戦う。自らが磨き上げたアイドルという虚構を以って、自分のためだった武装であさひを守るために世界と対峙する。


互いを理解し合えないふたりは、それでも互いの強さを知っている。

冬優子の可愛さは武装だ。でもプロデューサーやストレイライトのメンバーの前では、ほんとのふゆになる。可愛くあろうとする姿も、露悪的でちょっと臆病な姿も全部含めて黛冬優子だって知っている人たち、そういう冬優子が好きだって言ってくれる人たちの前で、彼女が身を守る必要なんてない。

願わくばこれからも芹沢あさひにふりまわされて悪態をつく黛冬優子が見られんことを。

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