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【朗読劇感想:ネタバレ無し】選ばれなかった勇者の花嫁【2020年10月3日】

朗読劇『選ばれなかった勇者の花嫁』10/3昼の部を観ました。夜の部が始まるまでに感想文を書きます。最速だぜ!

詳しいことは公式をチェックナウ!
まだ今夜と明日の現地・配信チケットがあるかもだ!
https://twitter.com/YYP_GramPR?s=09

あらすじ

「魔王と闘う勇者が結婚!?なら、私が相応しいよね!」そう猛る三人の"負けヒロイン"の惚気話、恨み言、ああだこうだの大論戦!
勇者不在の欠席裁判の果てに明かされる真相とは――!?

 
面白かったところ!

脚本の構成(二転三転)
序盤のマウント合戦から、語られるラブロマンスと容赦ない冷や水、そして図らずも転がっていく事態の果て……
ラブコメ(をメタるギャグ)をベースに話を進めながら、ミステリめいて布石・伏線を回収していく丁寧な構成はかなり丁寧な出来。何度も「なるほど!こうか!」と唸る要素回収・展開ハンドリングがありました。
しかもそれを90分の一場面会話劇でやるのだからすごい。会話で自然に手掛かりを散らすテクニックは見習いたいところ。

脚本構成(パロディと逆手)
「勇者の花嫁選び」という題材ゆえか、特にドラクエ系のパロディが多め。「幼馴染みと商家の娘、どっちにする?」な分かりやすいお話から、「ラブコメの王道とは?」な話、細かな所作・要素まであれやこれや。
そして、その要素を逆手に取っての立ち回り。安定の裏から不意を突く構成。
さらに、「単なるパロディ」だと思って置いておいたネタが突然ストーリーの核で輝き出す。
ひとつのネタを何度も料理する手腕が素晴らしいのだ。

脚本構成(人物像)
「この人ってこんなヤツ?」を何度も転換させながら、それでも「まぁこんな奴でも納得だ…なっ!」になるように展開・言動が作られてました。「シナリオの都合でキャラ属性付けたなコイツ!」ではなく「まぁ本性本音をよく隠してたモンだな……」になるのは巧い。感情の曲線が滑らかというか、急ハンドルがないというか。
真実をわかった上で観る夜の部が楽しみで御座います。

演技が見応えアリ!
もちろん演技も十二分に巧い。アニメやボイスドラマで磨かれた読みの劇に加えて、立ち芝居も結構しっかり。和氣さんは自然に力強く時に乙女に、常にストレートに感情を溢れさせ、小林さんは交渉上手の商家の娘らしい芝居がかりっぷり、本渡さんは無邪気にとにかくよく動く動く!三人ともそれぞれ、見事に役を表現していました。
……舞台演劇やったらよくない?と思ったりもしました。

大道具・衣装・小道具
舞台装置は見事に舞台の馬車の荷車。観ただけで「こりゃダメだ……」になるボロ具合。
衣装は完璧。可愛い可愛い!
小道具、水筒がお上手でした。朗読劇に必要な水分補給をいつでも出来るようにしつつ、世界観・衣装に違和感なく落とし込むデザイン性は見事でした。よく動く役者がどの立ち位置に居ても水分補給できる機能性と可愛らしさでMVPでした。

ちょっと気になった…

・すこし背景のモニターがうるさかったかも。
役者をカメラで抜く役目と、漫画的アニメ的表現(キャラ絵表示とか)と、字幕を使ってのボケの後押しがあっちこっちに散らばった感じがありました。

・照明も少し強い。
客席に向かってチカチカしすぎのシーンがあるかも。お気を付け下さい。

・メタネタ、テンプレネタが少し濃いかも。
それが大きな意味を持つ、とわかるまでは「安易なボケだなぁ……」「地方の難敵を『中ボス』って呼ぶのはどうなんだ、もう少し言い方はないのか?」とおもってしまったり。

創作として教訓

・ネタの料理の仕方をたくさん持とう!
材料はたくさん用意して、テンプレ的に使うか、裏切るかを時々で使い分けよう。

・人物像をよく考えよう
バックボーン、エピソード、本音と、それらに基づく建前、カバーストーリー、今の状況が一貫してリンクするといいに決まっている。

・会話劇での人間像の浮き彫りは楽しい
やっぱり舞台劇と会話劇なんだよな…好きだな…
と憧れるだけなら今までと同じなので、もっと丁寧に解体していきたい。
特に事態の急変やヘイト管理、人格的欠点の描写は苦手とするところだけど、それが上手く出来れば面白いんだから鍛えなきゃ。
人格的欠点については、それ自体が面白いというよりは「それを互いに受け入れる流れ」や「開き直って武器にする流れ」、あるいは「で?と気にしないメンタル」によって面白くなってる=ギャグに収まってる、という感じ。
そう考えると、俺はギャグパートがそんなに得意じゃないので、根本的に別スキルが足りない(野菜を調理したいけど包丁を研いでない)のかも。欠点は自省と憧憬と克服で書きがちだからなぁ。

まとめ

群像劇として、ギャグとして、ミステリ(伏線の配置と回収という大意で)としての出来が高いお話しでした。
また、朗読だけでは止まらない「朗読劇」としての価値を作れていたと思います。
人物の多角的な(後ろ暗い部分含めての)描写が有りながら重くならないのは俺の手にないものであり勉強になります。そもそも、それがないことを明文化も出来てなかったので良い機会でした。

そういう細かいことはおいといて、とにかく楽しい!!!!面白い!!!!可愛い!!!!で観ても1200%満足できるので、配信とか台本購入したり、円盤出して貰えるように要望だしたりしよう!!

とりいそぎこんなところで!夜の部があと10分で始まるから、失礼するわね!!

(迎えの馬車の嘶きが聞こえる…。)

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