今日まで、生きていてくれてありがとうね。

「香純ちゃんは香純ちゃんのことを大事にしてれば大丈夫だから!」最近見かけない友達にそれとなくLINEを送ったら、こんな特別なお守りが返ってきた。私は助けたい人に助けられてばかりで、あー本当に、私として生まれてこれたこと、私が今日まで生きてきてくれたこと全部をこの言葉が温めてくれて、ちょっと泣いた。

最近好きな人に告白したら、「うまく生きようとしてるのにうまく生きられない人を見ると勿体ないなと思う」「自分で選べない運命は変えられないけど(私は両親が他界している)、環境は自分の力で変えられる。今の仕事はかずみのキャパに合ってないから変えた方がいいんじゃない?対処療法だけ続けてても、根本を変えないと生きづらさは解決しないよ」と言われた。話を聞いている間私は、やっぱり自分が知っている人間だけが人間として生きている世界ではないんだなと、それだけを思った。適当な相槌で、大事に守ってきたろうそくの灯りが消えた。

私は自律神経失調で、毎月心のお医者さんに通って、毎日薬を飲んで生活している。薬を飲まないと生活ができないので、本当に、医療機関には感謝をしてもしきれない。薬がなければ、とっくに死んでいた。

薬も対処療法だ。うつ状態になって動けない体を、果てしなく深い池にいる自分を、薬が水抜きしてくれて、動けるようになる。
人生だって対処療法の連続だ。歩いていれば必ず石につまづく。石の大きさは様々で、出会い方もランダムだ。落ちていることもあれば、飛んでくることもある。投げられることもある。ときには隕石が衝突してきたり、冷たくて途方もなく分厚い壁が突然目の前に鎮座することもある。それに都度対処していく。もちろんぶつかる。転ぶ。どうしよう。座り込むことだってある。でも伴った怪我や経験は、例えばその石を砕くハンマーになるかもしれないし、生涯を共にする鈴になるかもしれない。
足かせになっても、 それは氷でできているから、いつか流す涙や、あなたにとっての太陽で、徐々にあなたに溶け込んで、あなただけが持てる優しさになる。
私は自分の境遇を恨んだことはない。どんなに小さな経験でも、自分の芯の補強材になっている。隣の人に温度を伝える勇気を摘んでいる。
今日まで生きていてくれてありがとう。私は私が今この瞬間まで生きていてくれたことを尊敬するよ。今日は自分に、そう声を掛けられた。

生きるのにうまい下手なんてないよ。あなたはあなたにしか生かせられないから。あなたが今日生きていることが当たり前じゃないの、知ってるよ。私たち、いろんなことで心臓に引っかき傷を負って、数え切れないどうしようもない夜を、どうしようもないまま明かしたね。夜が明けることさえ不安に感じて、なにもできない夜もあったよね。生きている意味を抱えながら、探しながら、それでも今日まで生きていてくれてありがとう。

あなたがあなたを生きていることは、世界で一番、この世で一番素晴らしいことなんだからね。あなたが生きている世界の中心はあなただよ。忘れないでね。忘れないで、忘れないでいてね。愛しているよ。
おやすみね。

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