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空飛ぶ梅の花

空を飛んでみたい。昔からそう思っていた。
みんな私に嘘ついているだけで、本当は雲に乗って飛び跳ねることもできるんじゃないの、とも。

いつからか、誰に教えられたわけでもなく空は飛べないとわかっていた。
その時、私は大人になってしまったのだと気づいた。

でも私は子供でいたい。
いろんなものを見て、かわいいね。綺麗だね。と思える子供の心は忘れないでいたい、と思う。

近くの道路の脇に立派に立っている梅の木が見事な花を咲かせた。
どっしりと地面に根っこを張り巡らせる桜の木も好きだけど、細い枝を一生懸命太陽に伸ばそうとしている梅の木のほうが好きだ。
今年の梅の花が例年よりも鮮やかに見えるのは、お花が綺麗だと思っている私の子供の心があってこそだろう。

こうして一人で道路の脇に立ち、お花見をしていると少し冷たい風が吹いてきて
2枚くらいの花びらを空に飛ばした。
その花びらを見た時、私は羨ましいと思った。羨ましくて花びらを捕まえようとしたが、時すでに遅し、お寿司。もう空の彼方へ旅に出かけたようである。


私は空を飛べない。わかっている。わかっているからこそ、

空を飛んでみたい。昔からそう思っている。





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