昨夜の夢の話
前の恋人の家を訪れた。見たことのない立派な一軒家で、なぜか私が学生の頃住んでいたアパートの跡地に立っていた。
家の外に、今の恋人を待たせて(ひどく不機嫌であった。シチュエーションとしては当然だ。)私はその家に入っていった。
アンティークでゴテゴテした洋風な部屋だった。ハウルの動く城に出てくるような。私は遊びに来たのではない。自分のものを回収しにきたのである。少し歩くと、ライムグリーン色のセクシーなラグジュアリーが落ちていた。不思議と感情は湧かない。拾って、元恋人に見せた。なんか笑っていた。
気がつくとひととおり自分の物を回収し終わっていて、両手は塞がっていた。
目の前には白いリンドウの植木があった。
(私はリンドウの花の風貌をよく知らない。けれど、それを見た瞬間に、リンドウだとわかったのである。)
「これは置いていくよ。」
元恋人側に少し押す。
「いや、持っていきなよ。」
少し押し返された。
そのあと自分が持って帰ったかはわからない。
私は性格上、二度遠慮することができない。
だから持って帰ったんだと思う。両手が塞がっていてどうやって持って帰ったかわからないけど。
白いリンドウの花。
貞操。純潔。誠実な人柄。
花言葉を調べた時、正直不快だった。
私達はセックスレスだったから。
白いリンドウ。
それを私が持って帰るという夢に何か意味はあるのか。いやないだろう。
全てのことに意味があると思うことは傲慢だ。
それでも人間はあらゆることの意味を知りたがる。
そして私も無理やりこれに意味づけるとすると、
ハン・ガンの『すべての、白いものたちの』を今読んでるからでしょうか。
なんだかそんな気がしてきた。