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朝焼

あはれなり世をうみ渡る浦人のほのかにともすおきのかがり火
後鳥羽院「夫木和歌抄」

あはれは哀れと阿波、世は世と夜、うみは倦みと海、浦人は占人、ほのかは仄かと帆、おきは沖と隠岐、等々重ね合わせ、

「哀れなイメージだ、まるで阿波の国のやうに人の世に倦み果てながら夜の海を渡るうらさびしい漁師が占ひの者さながらに仄かな焔を、帆と同じみづからの伴侶として船尾に灯すとき、(中略)隠岐の国の沖の秋の海にも憂く燃える篝火は。」(「後鳥羽院 第二版」丸谷才一 ちくま学芸文庫)

と、おそらく後鳥羽院が隠岐に流される前に詠んだであろう和歌に、隠岐のもの悲しさが先んじて表現されているようなところにも人生の悲哀を感じさせてくれます。

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