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何者にもなれず、死ぬこともできなかったサブカル僕らに向けた@mizuirono_inu

多分、小学校の頃。音楽の教科書に載っていたキングクリムゾンという1960年代のプログレを聞き、ハマり、私の人生は狂ったのだと思う。

クリムゾンキングの宮殿(1969年)

時代に合わないピンクフロイドやZEP、brand Xとかを聞き、2ちゃんねるの音楽スレッドを覗いては、ニコニコ動画、youtubeで色んな音楽を聴いていた。

ひょんなことから、world's end girlfriendにはまり、リアルのライブにも行き、国内の音楽も聞くようになった。自分しかしらない音楽が最高の音楽と思ってた。

またその流れで、なぜかミソシタというVtuberにハマったり、vtuberを追うなどもしてたりする。

ミソシタのYou Tubeより。復活待ってます。

また、ひょんとした事からファッションにはまり、annとかsacaiとかのモードブランドを食費を削って、5回払いとかで買ってきていた。似合いもしないのに着ていた。今でも見るのは好きだ。

sacai 2021-2022awより

格闘ゲームにはまった時期もあった。一人でやっていた。気持ちの良いコンボを決めることに飽きてくると、ゲームのキャラを改造したり、適当な絵でキャラを作って遊んでいた。

Mugen でなく、KnuckleFIGHTERが主戦場でした。

一人でバーに通うこともした。箕面ビールのインペリアルスタウトにはまり、飲みすぎて公園で寝たりした。家でビールを作ろうと海外から麦芽とかを輸入していた。

日本では一定数以上のアルコール度数のビール作りは違法です。度数が出ないレシピを使いましょう。

それ以外にもスパイスからカレー作ったり、二次小説を書いたり、色んなことをした。

そうやって過ごしてきて、就職しても面白いことをやるんだなってね。でも、そんなことにはならなかったし、何物にもなれず、ずっと続いている。

このnoteは、昔の自分が嘲笑って軽蔑する人間になった、サブカル崩れの何者でもない、僕たちを殴りつけてきた音楽について書いたものです。

ダメでも僕らはやっていき、でも、現実と向き合わないといけない時は来る

mizuirono_inuがどういう感情の音なのかは以前に書きました。

ダメ人間のサブカル好きが、自分たちの好きな音楽やファッションをごちゃまぜにして、身内以外にも楽しめるエンタメすることで、サブカル好きの引きこもりの先を描いた汚れた無邪気さ、みたいな感覚でした。

それは、過去の自分が嘲笑してそうな自分にとって、共感でもあり、憧れでもあり、物凄く綺麗だなって感じていました。

好きなものに囲まれて現実見たくない駄目さ

私がnoteを書いた後も、彼らは活動を続けていきました。ただ、都内のライブハウスからはあまり評価はされず、越谷などの郊外が多い感じでした。はみ出し者。人によっては色物バンドと認識していたと思います。また、人数が多いため、ライブハウスによっては演奏できないことも要因なのかもしれません。

mizuirono_inu公式Twitterより

ただ、その中でメンバーが何人か変わっていきました。「ダメでも僕らはやっていき」を続けていくことは、言うは易く行うは難し、なのかと思います。

新しいメンバーは、別の駄目さを持ったポケモン達。別属性のポケモンが集まって、より変なグループになっていった気がします。

借金ポケモン。カレッジ氏。ギターがお上手。写真は本人のTwitterより。
青髪ポケモン。ビシ氏。ダースベイダーに憧れるお年頃。写真は本人のTwitterより

そして、共感だけじゃなく、一緒に夢を見れる目標があったんだと思います。

ポケモンマスター、海賊王、オリンピック一位、世界一のサッカー選手、武道館でのライブ。色んな目標がある中で、彼らの目標は、”憧れのレーベルからのアルバムリリース”。そういったことを仲間内で言っていたんだと思います。

仲間のポケモン達を集めて、理想を語って、良い演奏をし続けていたら、きっとポケモンマスターになれるんだって。

めざせポケモンマスター20thより。未だに歌詞覚えてそう。

僕の嘘が君の嘘で、皆の嘘に

mizuirono_inuというバンドは、音楽ファンよりも音楽をやっている人に評価されやすいと思います。

それは、音楽とダメ人間の教養があるとより伝わる音楽だからです。そうではないと、エモい!みたいな言葉でしか言葉に出来ず、人に伝えるのが難しいです。

また、音楽をやっている人達同士の口コミって、やばい!とかエモい!みたいなので伝わりやすい気がしてます。それもあって、続けていくことで、少しずつ広まっていきます。そうして、何年もの時間をかけ、”憧れのレーベル”の耳に届き、出てきたリリースされたポケモンバッチがこのアルバム。

*「君の嘘と未来へ」を流しながら読んでほしく。

この曲は、私が今まで書いていた文章そのままの曲です。
サトシが夢を語って、ポケモン達を集めて、ポケモンマスターになるまでの曲。そして、自分の大好きなポケモンを自慢する曲。その中には、映画のポケモンを100倍に煮詰めたようなドロドロでファンタジーな喜怒哀楽があります。

映画版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲より

僕の嘘(夢)が君の嘘(夢)になり、嘘が本当になった。奇麗な物語ですが、ポケモンと違うのは、彼らの歌は100人いたら99人には無視されてる。でも、一人には刺さる。それは、ポケモンマスターへの旅が紆余曲折し奇想天外で、かつ、あえて分かりにくい構成にしてるからです。

だからこそ、選りすぐりの観客ポケモンが来るライブにおいて、観客ポケモン達の合唱みたいなことが起こりやすいです。この曲はそういったポケモン達の合唱を前提に作られている気がします。

一緒に戦うポケモンだけでなく、応援してくれるポケモン探しの歌の様にも思います。

そういった考えは、幾つか形になってて、先日のライブで、応援ポケモンに動画をとってはもらって、それでMVを作ろうかというのがありました。ライブ会場に来た仲間になり得る個体値の高いポケモン集めみたいだなって。

ラスボス戦、いるべき所にあいつがいない

ポケモンマスターへの旅を続けていると、失うものも出てきます。この曲は、そういう失ったものを歌った曲です。


mizuirono_inuの言いたいことを伝える論理構造はかなり分かりにくいです。
この曲は顕著で、主語を曖昧にしたり、過去と未来を順不同に並べたり、本人たちも無意識そうな所もあり、面倒くさいです。表面に見えるものと、奥に見えるものは違う。でも、そうじゃないと伝わらないものもある。

ただ、私の感覚だと、ポケモンマスターへの旅の最中に、消えていったポケモンに対して「僕の声が聞こえますかー?」って呼びかけて、過去を思う哀愁漂う歌です。

アニメポケットモンスターより。フシギダネ派でした。

また、歌詞の中に見え隠れする、消えたポケモンの存在を感じると、この曲の歌詞は大きく見え方が変わります。

ざっくりと曲の流れを整理すると、こんな形になります。

ミンナトモダチ、ミンナダイスキ、ミンナトオンナジ。
そんな歌詞がサビにありますが、最後だけ、ミンナトモダチ(そんなわけがない)という意味になります。不自然に強調するほど、虚勢で、逆の意味に聞こえてくるの、まさに人間だなって。エモ。

そういった捻くれた面白みが大凡の曲に仕込まれています。

世の中、世知辛いのじゃーだけども、それでもさ、

バーチャルのじゃロリ狐娘YoutuberおじさんのYou Tubeより

この広いインターネッツでは、色んな成功体験でタケノコの様にニョキニョキ映えてきます。そして、そうした人たちは狂気を持って自分たちの信じるものを信じて、継続してきているわけです。それが本人はそう思っていなくとも。

mizuirono_inuの曲を聞くと、そういうのを自覚させられるのです。お前は、ナニモノにもなれなかったけど、それ相応のケツイを持っていたのか、狂気を持って取り組んでいたか?

UNDERTALEより

コンビニバイトしながら、それでも、「未来は俺らの手の中」って言いながら、何かをやってきたか?

そうやって、GWにあったライブに行って、頭を殴られた私がやったことが、このnoteを書くことでした。

日本のメジャーシーンに評価されなくてもよい、でも、世界のニッチになるような音を拾いあげたい、というのが私の祈りみたいなことなので。

そういった思いがあり、こういうイベントを主催するなどしてました。ただ、そういった熱が少し消えていたように思います。

ここまで読んでくれた人には、そういう熱があるのかと思います。でも、ポケモンマスターになれてますか?

我々に足りないのは狂気。それが、音楽でも、ゲームでも、絵でも何でも良い。自分のために、狂っていきましょう?

三浦建太郎の様に、漫画に人生を捧げましたか?
グリフェスの様に、全てを捧げ、絶望し、友人を差し出しましたか?

そこまでいかなくても、一緒に道を歩いてくれる友人はいますか?家族はいますか?
そういったのも、僕の嘘が君の嘘になり、未来を作って思うんです


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