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big turtle STUDIOS Dolby Atmos対応リニューアル完成までの流れ①


 こんにちはエンジニアのyasu2000です。
お陰様で、big turtle STUDIOをオープンして12年。これまでに、多くのミュージシャンがレコーディング、ミキシング、マスタリングをしに訪れてこられ、そこで学んだ音への知識とこだわり、いかに居心地良くかつクリエイティブにスタジオを利用していただけるかを考え抜き、スタジオを改良し完成に至るまでの経緯を書き記していこうと思います。

 弊社スタジオは、演奏や歌を録音するシンプルなレコーディングスタジオとは違い、編集からミキシング、マスタリングまで行います。今回はそれに加えDolby Atmos(空間オーディオ)のミキシングから納品までできるように改良していきます。空間オーディオのミキシングをするにあたって必要な条件は、最低7.1.4ch、(前11個のスピーカーと1個のウーファー)が必要になるため、今までの作業スペースより広い場所が必要なのと部屋の音響が肝になってきます。さらに同時にレコーディング(ドラム録音可)もそのまま継続させないといけないので、限られた部屋の中でいかに効率よくレコーディングと空間オーディオを両立させられるか、アイデアを振り絞っていこうと思います。


完成予定:未定(遅くても年内には完成させたい)
内創責任者:Reso inc. 坂 吉洋
内創デザイン:Reso inc. 草川 裕子
音響デザイン:E.A.R   中島 寛之
音響監修:big turtle STUDIOS  yasu2000、藤城真人、対馬芳昭

内装業者のReso incの社長、坂(バン)さんは友人であり同級生の中島に紹介していただきました。同じく同級生でかつ同じ出身地。意思疎通が早そうで嬉しい限りです。名古屋が拠点でしたが、ミーティングも兼ねてデザイン担当の草川さんと一緒にお越しいただきました。
実際お会いさせていただきましたが、お二人ともおしゃれで優しい方達でとても良い印象でした。特に、坂さんが大学の時に提出した卒論が空間オーディオのような概念だったらしく、まさに運命を感じました。Resoの作品はシンプルかつシックで高級感があり、研ぎ澄まされたような空間に弊社スタジオの音楽制作に必要な要素が詰まっていてとても相性が良いと思い決めました。いくつかResoの過去作品をご紹介させて頂きます。

天井の木(ルーバー)がおしゃれに施されていて良い感じです。ルーバーの間にあるのが田口スピーカーと照明になります。このルーバーも音の拡散に良い効果があり、田口スピーカーも昔からある指向性無しの空間スピーカーになります。


音響デザインの中島は田口スピーカーを約10年在籍していて、今は亡き田口社長と一緒に日本全国あらゆるところにスピーカーを設置してきた後継人の一人です。昔から音に関してはピカイチでしたし、地元のライヴハウスも経営していたこともあり信頼しています。




<SOUND JAPAN POWER DOUBLE BOOTHを売却>

 今までは、レコーディング用に2つのControl Room、2つのBooth、2人のEngineerで営んできましたが、空間オーディオ(Dolby Atomos)に対応できるようになるため、いっその事小さい方のBoothは無くそうという決断に至りました。その経緯をご説明します。弊社スタジオは下記のような構造になっていました。

手書きで汚いですが、図面だとこのようになります。

手書きの図面
A STUDIO

このように、スピーカー13個を設置してギターやベースを同時演奏したり、ゆったりスペースを使うにはメインであるA Control Roomを広くするしかありません。スピーカー13個を設置するには、A boothの隣の幅ではとても無理ですし、下側の壁側だと玄関側ですし、左側の壁側には隣に行く扉があるので、右側の壁側に移動しなくてはいけません。どうしてもA boothが邪魔になってきます。A boothを使う用途としてはヴォーカルやギター、ベースアンプを鳴らすためにありましたが、ヴォーカルに関しては頻度が少なくそれ以外はB Control Roomでも可能です。肝心なA boothでの録り音ですが詳しく説明していきます。

A booth 
A booth
A BOOTH 中

A boothはSOUNDJAPANのPOWER DOUBLE BOOTHという商品になります。500Hzが-55dbまで落としてくれるんです。

遮音性に高くこの中でドラムを強く叩いてもほとんど聴こえないレベルまで遮音してくれます。2重構造になっていて、外側と内側に接点がなく内側の部屋がバネで浮いている状態なので振動が伝わりません。音はこの方法が一番遮音できるんです。ものすごくデッドな音で録音できるので、ドライサウンド、素材録りやナレーション録りには最適でした。まさにOvall「DON'T CARE WHO KNOWS THAT」の渇いたドラムの音はこの中で録音されました。そんなA boothですが、メリットとデメリットを挙げてみました。

メリット
遮音性が高い
響きがないので、綺麗にその音そのものを録音できる
響きがないので、後からリバーブが映える

デメリット
B boothに比べ狭いので圧迫感がある
ほぼ正方形なので100Hz近辺に定在波が起きる
響きがないので、倍音が少なく動きが録音できない

このように、このスペースを取るだけの役割が満たされていないと判断しました。ただ、音に関してのメリットとデメリットですが利用価値として大きなメリットがあります。それは組み立て式防音ブースのため引っ越しや売却が可能なんです。SOUNDJAPANのホームページ掲示板に記載し、待つこと4ヶ月、遂に連絡が来て売却が成立しました!

②ではA Booth驚きの買取主、引っ越し完了までを掲載いたします。


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