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時差出勤したら自己肯定感が上がった話

2020年の4月から、時差出勤をしている。

それまでは、社会人になってからずっと、
9時出社の生活をしていた。

9時に自席で社会人風の顔をしているためには、
6時45分にはアラームをかけ、
仕事のために、3度寝まで行きたいところを我慢して不満げな顔で起き上がり、
仕事のために、顔を洗い、
仕事のために、メイクをし、
仕事のために、着替え、
仕事のために、朝ごはんをかけこみ、
仕事のために、急いで歯を磨き、
仕事のために、駅まで早歩きで向かっていた。


しかし、コロナが日常を騒がせ始めた季節から、
満員電車を避けるために、出社時間を1時間遅らせ、10時出勤をさせてもらっている。

10時に自分の席に座るためには、
7時半にアラームをかけ、
ベットに寝転がったまま、窓からの太陽を浴びて目をぱちぱちさせたり、
またうとうとしたりを繰り返し、
自分の気持ちに区切りがついたとことで、ベットから起き上がり、
顔を洗い、
自分のテンションを上げるために、メイクをする。
一通りメイクが終わったら、もう一度鏡を見て、もっといけそうなポイントはもう一度手をかける。
メイクをしている20分間、自然と「かわいい~」「今日肌の調子いいな~」とか自分に言いかけてしまう。

朝ごはんは、だいたいパンと、卵と、ウインナーを焼いて、お気に入りのブルーの平らなお皿に適当に盛り付けして食べる。
前日やっていた深夜ラジオと、コーヒーがお供だ。

朝ごはんとあったかいコーヒーのおかげで、胃がポカポカしてきた頃に、
家を出て、マンションの階段を降りたら、今日の空を一回見上げて、
駅に向かう。


出社時間が変わってふと、
自分にとって朝の支度の目的が変わっていることに気がついた。

これまでは、朝アラームが鳴った瞬間に、「仕事のため」の生活が始まっていた。
ベットを抜け出すのも、化粧するのも、朝ごはんを食べるのも。
とにかく最低限の身だしなみを作って、頭を働かせるためのエネルギーを口に詰め込んで、朝玄関を出る前から、なぜだか心拍数は上がっていた。
駅まで早足で歩きたいもんだから、目の前ではしゃいで予測不能な動きをする小学生たちのランドセルを後ろから手で押さえつけながら(ごめんね)、追いぬかすこともあった。

でもいまは違う。
メイクするのは、自分がかわいくいたいから。
朝ごはんは、楽しみながら食べている。
もちろん会社に行くための支度をしていることに変わりはないのだけど、支度をしている最中はあまり仕事のことを考えていない。いま自分が心地よく感じるから、メイクしたり、ご飯を食べたり、歯を磨いている。

通勤ラッシュを避けているおかげで、
いつも混雑で遅延しがちな私の路線も、だいたい定刻に運行する。
だから早歩きで会社まで行く必要もなく、
なんなら10時の10分前にまだ会社のビルに着いていなくても、最寄りコンビニで飲み物を買う余裕すらある。

いままでは仕事に取り掛かる前から、心拍数が上がっていたり、イライラしたり、何かに追われている感覚があったけど、
いまは10時の時点では、とにかく心が「無」である。


おそらく、私の体には、6時台に行動を開始するということが合っていなかったらしい。
冬なんて、そもそも太陽ものぼっていなくて、天気に気持ちが左右されやすい私には、
外が暗いのに起きるというのは、ただの苦行だったように思う。


 こういう自分の変化に気づいて、いつか文字にしなきゃと思って、
1年以上が経ってしまったけど、私は今日も、自分のために朝の支度をした。

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