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「好きなの?」と言うけれど

「好きなの?」
会話の中でなんの違和感もなく出でくる言葉だ。私はこの言葉が得意ではない。
私の「好き」は一言で言い表せるほど、大胆になれないのだ。

推しが「好き」
美味しい食べ物が「好き」
犬が「好き」
洋服が「好き」
ぬいぐるみが「好き」
香水が「好き」
恋人が「好き」

いろんな物に対しての「好き」がある。しかし、それらに関して「好きなの?」と聞かれると私は困ってしまう。そして私はたいてい「好きっちゃ好きなんだけど…その…」と言葉を詰まらせる。

私は臆病だ。

ただ、単純に「好き」と言っただけでは、この思いが伝わりきらないかもしれない。感情だけを伝えて、否定されたら…。私は傷ついた「好き」を抱えたままでは、生きていけないかもしれない。
そんな恐怖を抱いている。「好き」を守るため、恐怖している。

「好き」を否定されないように、根拠を積み重ねるため、身構える。
私の「好き」はこんなにも正当性があるんだ!根拠があっては、どうしようもないものなんだ!

私はもう二十代半ばになる。
そろそろ、私の「好き」を素直に、大胆に言えるようになりたい。

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