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self liner notes "飛行するmeme"

はじめまして。烏有(うゆう)と申します。

この度、1st concept album"飛行するmeme"をデジタルリリースしました。

ここでは、セルフライナーノーツということで、このアルバムについて色々と書いていこうと思います。


◇◆◇”飛行するmeme”とは◇◆◇

まずはアルバム全体についてざっくりとお話ししたいと思います。

このアルバムの制作を始めたのはもう三年ほど前になります。このアルバムの初期衝動を与えてくれたのが、ルワン氏の『ハイタ』という作品です。

この作品の中で描かれた、ありふれた主人公が現実に抗いながら感情を爆発させていくような過程というのに美しさを感じ、そんな物語を自分なり再構築して描きたくなりました。

今作には一応裏設定というか、物語の流れを小説チックにまとめたプロットが存在するのですが、その中には四人の主人公が存在します。

アルバムの中では、その四人がそれぞれの生きる現実や内に秘めた感情と対峙しながら成長していく過程を群像劇にして描いています。

この四人の個性なんかについてはリスナーさんの想像力で埋めていってほしい部分ではあるので、深く言及はしませんが、名前だけはここに残しておきたいと思います。この四人を当てはめて、動かしながら聴いていただけると、さらに面白く聴けるのではないかと思います。(実は歌詞とかに関係あるワードが入ってたり、入ってなかったり)

椎名 藍(しいな あい)

栂瀬 聖(とがせ こうき)

橘 秋咲(たちばな あいさ)

楡井 蓮(にれい れん)

そして"飛行するmeme"というタイトルについてもここで言及しておきたいと思います。

meme(ミーム)というのはあまり聞きなじみのない言葉かと思います

《gene(遺伝子)と(ギリシャ)mimeme(模倣)を組み合わせた造語》模倣によって人から人へと伝達し、増殖していく文化情報。文化の遺伝子。英国の生物学者R=ドーキンスの用語。

ネットで調べるとこんな感じで出てきますがあんまりピンと来ない方も多いかもしれません。

今作の題名は、上にあるドーキンス氏の著書、『利己的な遺伝子』の中で作られたこの言葉を主軸に考えました。

利己的な遺伝子の中で語られる我々人間を含めたあらゆる生物は「遺伝子の乗り物に過ぎない」とされています。遺伝子というものをさらに分解して考えるとこれは自己複製子という、自身のコピーを作る個体だといえます。そして限られた資源の中から、自分の存在だけを自己複製によって増やしていくという「利己的な遺伝子」によって、生物の行動はプログラムされているという話です。

一方で「ミーム」というのは人間だけが持つもう一つの自己複製子です。人間には思考する力があります。それによってそうした自己の存在を拡大することしか能がない遺伝子に、対抗することができるのです。そしてミームというのはその思考を基礎づける一般的には概念のようなものです。

そしてそれが「飛行する」とは何なのか。

そうしたミームというのは我々の生きる世界(なんて曖昧な表現でここでは書いておきますが)の中で鳥籠の中にあるように思います。

今作の彼ら彼女らは、そうした鳥籠の中から飛び発つべく、自問自答を繰り返しています。

そして新たに獲得した思考や意識をもって自らの考えで生きる道を探していきます。

そうした意味での「飛行」というのを表しているのです。

私たちは自分で考え、行動することで、そうした生命の原理にさえも対抗することができるということをしばしば忘れていると考えます。

今作15曲目『幸福譚』の歌詞を引用すると

「歴史も科学も信じない。神様ももうここにはいない。生きている理由だってちゃんと言えなくってもいいの。」

すべては私たち次第であるということ、そして今作の登場人物である彼ら彼女らの出した結論、それらを踏まえて、今作に触れてくれた人々の人生が少しでも豊かになることを願っています。


ここからは各楽曲について、そこで歌われている内容の詳細・作曲上の工夫・リファレンス楽曲・聴きどころ…etcなどについて書いていきたいと思います、、、がそれらは、先に言った通りリスナーさんの想像力に委ねたい部分であったり、マジックで言う種明かし的なパートになるため、あまり積極的に見てほしい内容ではありません。

なので、以下は有料記事にさせていただきます。その分読み応えのある内容にはしようと思いますので、是非に…とは言いませんが、興味があれば購読してみてください。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。


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