正義感とストレス

日常に潜むストレスは触れ合う機会こそ多いものの、いくら時間が経っても慣れることができないように思います。

「ストレスの原因となる人に直接言いたいことを伝えれば良いよね?」と大多数の人は意見するでしょう。

ただそうした意見を述べる人の多くは、私からすると「大雑把」な性格で、細かいことが気になる私たち「HSP(別名「繊細さん」とでも呼ぶべきだと思います)」とは対をなす存在です。

我慢して我慢して、やっとの思いで気になることを伝えても、相手はその場しのぎの反省のみで、次回偶然会った時は全く同じことを繰り返していて余計に腹が立った、なんて思いをした方も少なくはないでしょう。

ネットでは「私たちは多様性の時代にいる」などの記事で溢れていますが、残念なことに細かいことを気にする人は、「ただの気にしすぎ」という言葉で片付けられてしまい、ストレスで潰されるような思いをせざるをえません。

Twitterやブログなどでの情報発信、セミナーの開催などで少しは私たちのような性格に対しての認識が高まりつつありますが、それでも依然として大多数との共存は思うようにいかないのが現状でしょう。

幸いなことに、スマートフォンの普及により、スマートフォン一つで映画や音楽を鑑賞できたり、ゲームができたり、と身近なものでストレスを発散できるようになりました。

他の例としては、最近では24時間営業のジムが続々とオープンし、健康増進とストレス発散が同時にできる、最高の環境が身近なものになってきています。

しかし24時間いつでも運動できるという大きなメリットがある反面、無視したくてもできないデメリットというのもやはり存在します。

それは利用マナーの悪さです。

「マシンを長時間占領して携帯を触る」「大きな音を立てる」「使ったものを元の場所に戻さない」など言い出したらキリがないですが、利用する時間帯によっては無法地帯と化しており、同じ空間でいるのが苦しくなるほどです。

「使ったものを戻さない」については人を特定できず、本人に私の意思を伝えることができませんが、携帯を使う人や大きな音を立てる人に対しては、ためらいなく注意してしまいます。だってジムのスタッフも、誰一人としてそれらの行為に目をつけないんですから。


ここまで読んで、「そんなこと続けてしんどくないの?」と疑問に思っている方もおられるでしょう。
ジムに通い始めて2年経つので慣れはしましたが、やはり気苦労を感じずにはいられません。

ここでは、誰が注意するべきなのかという話は置いておき、そうした状況で気苦労をする人がいかに気を楽にしていけるかについて考えます。

使いたい器具・マシンが使えない原因が他人の配慮に欠けた行動にあるとしたら、その行動はもちろん正されるべきです。

しかしジムを監視するスタッフがいる時間帯に限っては、注意を促すのは私である必要はない、という考えもできるでしょう。

そうです。従業員でもない一会員が、会員同士のトラブルのリスクを冒してまで注意する必要はさらさら無いのですから。

一時はそう考えてやり過ごしていた時期もありました。

しかし根底にある「正義感」に抗うのはそう簡単なことではなく、やはり今までのように「注意するのはその場にいる自分がやることだ」と考えてしまい、ストレスフリーには思うようになれません。

必要以上に気にしてしまう性格が故に、自分のしなくてもいいことまでしてしまうのは、会社では往々としてプラスに捉えられがちです。          

しかしこうした公共の場では周囲にとってのプラスより、自分自身にかかるストレスなど、マイナスの作用の方が大きく働いてしまうのが事実です。

こうしたマイナス作用を抑え込むには先にも述べた「正義感」の必要性について考える必要があります。

「正義感」というのは強力な味方にもなりえますが、自分が正しいと思ったことを突き通せなかった際には、ストレスに化けて自分自身に襲いかかってくる強敵にもなりえます。

この諸刃の剣を日常から振りかざしていれば、エネルギーの浪費になり、必要な時に使えないようになってしまうでしょう。

そこで出てくるのが「思いやり」です。

「急にクサい話をするな」と思われた方には申し訳ないのですが、正義感が強すぎるがうえに苦労する人はこの「思いやり」の実践が疎かになっているのではないか、と徐々に思うようになってきました。

思いやりの気持ちがある時は自分の利益など頭にないので、結果がどうであれ一喜一憂する必要はありません。

正義が剣だとすると、思いやりは盾と言えるでしょう。剣は跳ね返されたら自分をも傷つけかねないですが、盾で攻撃して跳ね返されても自分へのダメージは皆無です。

そう思い始めてかれこれ2週間。朝一番のジムは相変わらず器具やプレートなど荒れ放題ですが、「自分が直したら後の人が気持ちよく使える」という「思いやり」の気持ちを持つようになると、不思議なことにストレスフリーでトレーニングできるようになりました。


「仕事でのストレスは特に感じないけどなぜかイライラする」「家族や友人の立ち振りまいが気になって仕方ない」といった人は、こうした正義感からくる気苦労に知らない間に悩まされているかもしれません。

イライラの原因が多過ぎてどこから手をつければいいのか分からないと思いますが、少し時間を取って、一度自分自身の正義感について考えてみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?