Dia:Beacon

Dia:Beaconという現代美術館を訪れた。その旅路はとても有意義で、その日記をヤンキースタジアムからの帰り道からお送りする。

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私は現代美術に対して、難しい、わからない、といった感想を抱くことが多かった。最近では、わからないけど一回じっくり見てみよう、という風に考えるようにしている。その上でとくに心が動かなければそれまでだし、しかし中には見ていると温かみを感じるもの、懐かしさを覚えるもの、なんだかわからないけど心が動くものが確かにある。

Dia:Beaconはニューヨークの北の街、ビーコンのハドソン川のほとりにある。廃工場を改装して建設されたとだけあり、とても広かった。電車で向かったわけだけど、緑が美しい自然の中を走るので、ニューヨークにいたことが一瞬わからなくなるように思えた。眠りこけていたら降り過ごしてしまって、ニューハンバーグ駅というとんでもなくなにもないところに降りたってしまった。戻る電車も30分くらい来ないしやってしまった。そうしてやっとビーコン駅に着いた。

またビーコンという街にはアーティストが多く住んでいるようで、街そのものがアートの街と呼ばれているらしい。メインストリートまでも美術館から徒歩30分くらいかかったけど、夕方の散歩にはぴったりだ。

Dia:Beaconに一歩入ると、まずはそのスケールの大きさに驚く。この後も、まだ先があったのかと何度思わされたかわからない。展示スペースへと続く廊下は、木漏れ日の差し込んでいて、歩いているだけでも落ち着く。

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入ってすぐの場所にはアンディー・ウォーホルの『shadows』が展示されていた。壁から壁まで、隙間なく埋め尽くされるアート。写真がもとになったアートらしいのだけれど、具体性やモチーフをもたない1枚が、カラーや姿を変えながら連続していくというものであり、まるで楽譜のようなリズムを感じた。

スペースの中央にぽつんと置かれたソファー。ほんとに、ぽつんと、である。ソファーに座るとアートと同じ高さの目線になる。距離が少しあるところが面白くて、なぞるように歩くのとはまた違って、連続性のもつユーモアに改めて気づく。

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またロバート・ライマンの超絶的なミニマムなアートもとても素敵だった。残念なことに今年亡くなったのだそう。白くて四角い、ミニマムなアート。でもそれだけじゃない、なんとも不思議だった。

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近くで見ると、それぞれの質感の違いに気付くことができたり、それによって観ていて感じるものも変わる。ここまで要素を削ったアートが他にあったかなあと考えてみたりした。

私は歩いていて、気づいた。美術館内は、自然の光だけで空間が照らされていた!なるほど、不思議な心地の良さの理由であると知った。ずっと居られると思った。

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うって変わって、地下にはネオンに照らされたアート空間が広がる。連続的に置かれたネオン。あらかじめ歩く道は決められていて、アートの中に入り込むことができる。無機質なコンクリートと人工的な青い光。近未来の景色のようでもあり、古い遺跡のような雰囲気もある。

改めてこの美術館の広大さに圧倒されながら、無音で異世界のような空間をただただ堪能した。

そうして帰る頃には夕方になって、夜は仲間とご飯を予定していたから帰らないといけなくなった。駅までは歩いて20分だった。電車の旅のお供に、美味しいと教えてもらっていたドーナツ屋さんに寄った。30分かけてたどり着き、駅までは30分だった。フレーバーとトッピングを2つ選べるとお兄さんが言っていて、私はストロベリー味のドーナツを選んで、トッピングはお兄さんに任せてみることにした。きっと美味しいドーナツを作ってくれそうな雰囲気だったからだ。

そういえばあらかじめ調べておいたこのドーナツ屋さんの情報によるとシンプルにプレーンを頼もうと書いてあったのを思い出して、でもお任せにしてみたほうが楽しいよねと思っていたらドーナツが出来上がったらしい。

思ったよりとんでもないのが出てきてしまった!

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