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捨てる棄てる日々
過去ごと全部捨ててしまえれたらと思ったんだろう。
自分が持っていた服は以前勤めていた古着屋さんで買ったものばかりで、その頃を思い出すと苦しくなるから、ほぼ全て入れ替える形で全ての服を捨てて新調した。
マフラーもポーチもかばんも全部全部捨ててしまった。
それに対して後悔はないけれど、捨てることで過去も消えんのかな、楽になれんのかなって不思議だった。
ついでにキャラクターグッズの類も全て捨てた。
わたしの感覚としては「勝手にいなくなってた」だから、ほんとに正気じゃなかったんだろう。
狂ったように物を捨ててた。
ついでにハンドメイドもやめた。
作ったものも材料もほぼ捨てた。
使えるものだけ残して、いつか誰かに使ってもらえたらといつでも譲れるように準備だけはしてる。
こんなことならはじめなきゃよかったって、無駄に時間とお金をかけて馬鹿みたいだなあって思う。自分の愚かさにほとほと嫌気がさす。
何もない空っぽの部屋。
ギターとカメラとねこと、あとは最低限生きていくために必要な服とか化粧品とかがあればもうそれでいい。
身の丈にあっていなかったんだろうな。
物に囲まれて安心した気になってた。
捨ててみて気付いた、物への執着って恐ろしい。
捨てるたびに悲しい気持ちになって自分が可哀想に思えて、悲劇のヒロインぶって、いつだってわたしはまともな人間じゃなかったんだなって知った。
これだけ身軽になればどこかへ行けるのかな。
空いた隙間を埋めてくれる何かや誰かが現れるのかな。
あと何を捨てればわたしは幸せになれんのかな。
思い出ごと消し去るように、物を捨てて、過去も一緒に消えてしまえ。
あいつのこともあの人のことも全部全部忘れてしまえたら。
憎しみからは何も生まれない、分かってるから断ち切りたいのに、まだ心につけられた傷が消えてはくれない。たぶん一生消えないんだろうけど。
わたしは前に進みたい。
歩いていきたい、生きていたいと思った。
上手に噛み砕いて飲み込んで、生きていくしかないと思った。
思い出が染み付いたものを全部捨てれば、つらい記憶も消えるんだって信じてたのに。
ほんとにわたしは生きるのが上手じゃないな。知ってたけど。
新しいお洋服や靴たちは、わたしをどこに連れていってくれるのかな。
どこまで行けるかな、楽しみにしてるね。
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