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ヴォルフガング・クラフキ

なやめる大学院生🐧

ヴォルフガング・クラフキ（Wolfgang Klafky）(1927-2016) はドイツの教育学者である。

1.   略歴

オストプロイセン、アンガーブルク生まれ。高等学校卒業後、1945年ダンツィヒ、ザムラントにおいて第二次世界大戦の前線を体験[1]。戦後、ハノーファー教育大学を卒業、初等学校教員となる。1952年から1957年まで、ゲッティンゲン大学で、教育学、哲学およびドイツ学（さらに歴史学、芸術史、社会学、心理学）を学ぶ。特に、教育学はヴェーニガー(Erich Weniger)教授、哲学はケーニヒ(Joseph Konig)教授、ドイツ学はカイザー(Wolfgang Kayser)教授の指導を受け、ボン大学リット(Theodor Lit)教授のもとで、哲学と教育学を学んでいる[2]。ハノーファー教育大学助手、ミュンスター大学助手を経て、1963年から1992年までマールブルク大学教育学教授。その間、ノルトライン・ヴェストファーレン、ヘッセン、ブレーメン州等の各種教育改革委買会委員長を歴任、1960年代から今日に至るドイツの教育改革を先導する。1986年から1988年まで、ドイツ教育学会会長[1]。

2.   教育理論

クラフキは戦後ドイツ教育学においてもっとも重要な位置を占める人物のひとりであり、彼の教育理論の展開は、戦後ドイツの教育学の発展と軌を一にする[3]。クラフキは自らも認めるように、リット、ヴェーニガーの潮流により、精神科学的教育学の思想圏から始まっている[4]。1960年以降、精神科学的教育学の限界性を批判的検討を行い、発展させたものとして『批判的・構成的教育科学』を示した。

戦後ドイツの教育改革に関わっては、中等教育改革への提言、「平和」「環境」等の時代が要請する「鍵的問題」を中心にした教科統合的カリキュラム編成への提言が注目されている。

 

3.   著書等[v]

『基礎的なるのの教育学的問題と範疇陶冶の理論』(Das padagogische Problem des Elementaren und die Theorie der Kategorialen Bildung, 1959, erw. 1964)
『陶治の理論と教授学研究』(Studien zur Bildungstheorie und Didaktik, 1963)
『精神科学的教育学時代の終わり』(Geisteswissenschaftliche Pädagogik am Ausgang ihrer Epoche: Erich Weniger., 1968)
『ラジオ講座・教育科学』(Funk-Kolleg Erz- iehungswissenschaft, 3Bde., Mitverf., 1970-71)
『批判的・構成的教育科学』(Aspekte kritisch-konstruktiver Erziehungswissenschaf, 1976：小笠原道雄監訳、黎明書房1984)
『放送大学・精神科学的教育学』(Geisteswissenschaftliche Padagogik, Vier Kurseinheiten, 1978, erw. 1990)
『T.リットの教育学』(Die Padagogik Theodor Litts, 1982)
『キルヒハイン地区総合制学校計画』(Gutachten zur Schulblanung der Gesamtschule in Kirchhain und einiger Nachbargemeinden, 1967)
『ヘッセン中等教育カリキュラム』(Zur Lehrplanrevision für die Sekunderstufe in Hessen, Bericht, 1968/1969)
『新・陶冶の理論と教授学研究―批判的構成的教授学(Neve Studien sur Bildungstheo- rie und Didaktik. Beiträge zur kritisch-kon- struktiven Didaktik, 1985, erw. 1991)
『ペスタロッチーのシュタンツだより――クラフキーの解釈付』(Pestalozzi iiber seine Anstalt in Stans, 1959,1971：森川直訳、東信堂1997)
『誘惑、隔たり、酔い覚め――ナチズム期青少年の自伝研究（Verführung, Distanzierung, Ernüchterung. Kindheit und Jugend im Nationalsozialis-mus. Autobiographisches aus erziehungswissen-schaftlicher Sicht, hrsg. von Klafki, W., 1988）


  1. 坂越正樹「クラフキ」教思想史学会（2017）『教育思想事典［増補改訂版］』勁草書房、pp.243-6

  2. W・クラフキー著，小笠原道雄監訳（1984）『批判的・構成的教育科学』黎明書房、pp.321-2

  3. 坂越正樹「クラフキ」教思想史学会（2017）、前掲書

  4. W・クラフキ著，小笠原道雄監訳（1992）『教育・人間性・民主主義』玉川大学出版、p.17

  5. 坂越正樹「クラフキ」教思想史学会（2017）、前掲書


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