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世界一美しい渓谷・ランタンを歩く〜ガイド手配編〜

ヒマラヤ山脈を見たいと思いつつ、持病の腰椎ヘルニアが不安だったので、「調子がよかったらトレッキングしよう」くらいの気持ちで渡航したネパール。事前に日本でトレーニングしなかったけど、結局は標高4600m・約65kmを歩くことができた。

登山用のアイテムは持参していたけど、何も計画は立てていなかった。でも、行きの飛行機で見たNetflixのドキュメンタリーに出てきた「ランタン渓谷」には行ってみたいとは思っていた。ここは「世界で一番美しい渓谷」として知られる一方で、2015年の大地震で土砂崩れが起こり、村の半分が埋まってしまった場所だった。

ランタン村は復興していた

しかし私がランタン渓谷に強く惹かれたのは、その評判でも、凄惨な地震の記憶でもなく、単に「ランタン」という響きが良かったからかもしれない。

ぼんやりとランタン渓谷に行ってみたいと思い続けながらネパールを旅すること2週間。ある日、「やっぱり行こう」と決めた。腰の調子はなんとかなりそうだったし、行かないと後悔すると思ったからだった。

ガイド付きのトレッキングを決めた理由

行くと決めたらすぐ滞在先のホステルのお兄さんにトレッキングガイドについて相談した。このホステルでは自社でガイドのサービスを提供していた。

ネパールでは多くの場合、ガイド付きのトレッキングが強く推奨されていて、最高到達点が標高4600mになるランタンエリアもその1つだった。ホステルのお兄さん曰く、道迷いによる遭難が起こりやすいエリアだそう。

単調な道でも、たまに分岐があってたしかに迷うかも

ガイドは7泊8日でおよそ5万円。このなかに交通費、入山料、宿泊代は含まれるが、食費とガイドへのチップは別で準備する必要があり、トータルで7万円ほどになる。(これはローシーズンの金額で、4月-9月のハイシーズンはもっとかかるらしい)

これまでガイド登山の経験がない私にとって、7万円は正直悩ましかった。ランタン渓谷を単独登山した人によるブログも複数あったので、一人で行けるんじゃないか。しかも、もしガイドと気が合わなかったらどうしよう?と。

一方で八ヶ岳と南アルプスでテント泊登山を数回経験した程度の素人が、見知らぬ土地を7日も歩けるのか……という不安もよぎる。

そんなこんなでホステルの受付で30分以上悩みまくり、見かねたお兄さんから「君は悩み続ければいいさ。来週には山に雪が降って、気づけば結局どこにも行けないんだから」と言われる。

悔しいけど、たしかにそうだ。このままカトマンズで延々と悩んでも仕方ない。思い切ってガイドを付けることにした。

いま振り返ると、この判断は適切だったと思う。この翌日に金額を支払ってガイドと打ち合わせをし、2日後には現地へ発った。1月上旬のローシーズンだったため、すぐに出発できたのはラッキーだった。

ちょっとドキドキ、ガイドとの顔合わせ

「ガイドと気が合わなかったらどうしよう」「私も一応、女性だし何かあったら怖いな……」という不安は、出発前日の顔合わせで払拭された。

指定された時間にホステルのロビーで待っていると、よれたチェックシャツを着た30代後半の男性が現れた。ヒゲ面の彼は見た目こそ少し怪しかったけど、「よろしく」と微笑まれた時になんとなくこの人だったら大丈夫そうという直感が生まれた。

話すうちに些細な質問にも丁寧に答えてくれること、そして常に陽気で冗談を挟んでくれることが、7日間楽しく過ごせそうだと思った。実際、トレッキング中の彼との会話は楽しかったし、何よりランタン渓谷だけでなくネパールの社会構造について深く知ることができたのだった。

お世話になったガイドのプラカシュさん。
動物を見つけるのが好き



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