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愛を語らない人類

「好きだ」「愛している」と毎日のように言わない人類がいることに、私は心底驚いた。
私自身、言わずにいられない人間であるし、恋人同士であることの特権は、一番近くで熱に浮かされたような言葉を吐けることだとさえ思っている。
それを行使せずにはいられない質なのだ。

彼をみていると、言葉を伴わず、行動のみで好意を伝えられる能力に感嘆してしまう。
それは私に欠けた能力かもしれない。
私は何かを言わずにはいられないから。

いつか、私がそのことを問うと「言葉にするのは恥ずかしい」と言われた。
彼は、その愛の言葉を吐かずして、明日地球が滅亡でもしたらどうするのかしら?と私はいらぬ心配までしてしまった。
きっと後悔しながらこの人は死んでしまうのかもしれない、と。

多くを語らないというのは、こちら側の想像を大いに掻き立てるものがあるが、きっと、こちらの想像以上には考えていないのだろう。

でも、たまには言ってほしい。
この人から愛されているんだ、ともっと自信を持たせてほしい。
地球が滅亡する前に。

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