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アーキテクチャをつくるという仕事

ITの世界で生活していて、多種多様なミッションを実現するために様々な形でものづくりに関わってきました。この世界には非常にたくさんの仕事がありますが、なかでも "全体のアーキテクチャをつくる" ところの面白さについて書いてみようと思います。今回は大枠というか企画みたいなところを。

アーキテクチャをつくる、とは

スコープとして意識して捉えているのは、何かの目的 (ミッション) を達成する際に必要な情報や機能と対価となるお金などの一連の流れと、それを支えるITシステムや、関係する人や組織の行動に必要な業務などの一連を設計し具現化すること

非常に広い範囲なので各領域の専門性を持つ方と一緒にチームで取り組むのは当然のことですが、まだ何もないところからどうすればミッションを実現できるかを考えていく際に、全体をどう成していくかを考え続けるのがアーキテクチャづくりの醍醐味です。

プロダクト作りはフラクタル図形のようなもので、全体は部分に、部分は全体によく似ています。ITシステムのデザインになればサービスアーキテクチャ、アプリケーションのデザインになればアプリケーションアーキテクチャなどそれぞれの領域で上位概念や実現したい目標を具現化していくことで全体を形作っていく。これが "全体のアーキテクチャをつくる" という言葉の大きな定義だと思っています。

面白いなと思っていること

正解がすぐにわからないこと。
新たにあきらかになった前提ひとつで簡単に覆ること。

ゼロから何かを作り上げる場合、適用できる前提がないことが多く、早期からこれが正解であると確信できることは稀です。仮説をたて、調査し、小さく作って使ってみて、そして仮説にもどり、と積み重ねを経てようやく自分たちの中に少し確信を持つことができます。

そうして積み重ねた仮説も、新しい情報ひとつでおおきく揺らぐことがあります。小さな見落としで欠陥を内包してしまっていることもあれば、市場環境が変化しそれまでの前提では前に進めなくなることもあります。

そうならないように核となる要素は何か、どう実現するのが筋が良いかを外さないのがアーキテクトの腕の見せ所なわけですが、たとえば「まもりあいJapan」では紆余曲折の物語をご披露することとなり、面白くも難しいと痛感しています。

大切だと思っていること, 心がけていること

こうしたアーキテクチャづくりの中で大切にしている2つのことがあります。

ひとつは 自分たちのプロダクトひとつですべてのことができると思わない こと。

社会の中に存在する課題を解決しようと思っているとき、そこには多くの人や組織、法律や条例、業界の慣習や契約、既に多額が投資されている既存のシステムが存在しているはずです。そうした中で新しく作ろうとしているそのアイデアがどのように調和するのかをしっかりと考えることが大切だと考えています。これはディスラプトを否定するものでも既存に阿るものでもありません。しかし新たなアイデアが別の歪みを生まないように設計できたものは美しいものだと思います。

もうひとつは ペインを押し付けず循環性のある仕組みを心がける こと。

上で歪みと書いたものと重複していますが、ミッションの実現に際して誰かに大きな重荷や枷を掛けてしまう仕組みは長期的に存続できるでしょうか。多かれ少なかれ摩擦はさけられないものですが、関わる全体の構造の中に存在するペインの総量を減らし、かつ偏りのない形で実現できる方法の模索を心掛けていきたいと思っています。今も将来も良い状態、つまりサスティナブルな状態を実現することを基本の考え方に据えておき、全体の調和という観点で検討を重ねることが大切です。

おわりに

誰にも新たなペインを課さず持続性があって社会と調和する、というのは書いていて非常にハードルの高い言葉だなと思ってドキドキしています。実現には多くの厳しい検討を重ねることになるでしょう。ただそうやって困難を乗り越え具体化することろにアーキテクチャづくりの面白さがあります。

せっかくこの時代にうまれ、ソフトウェアテクノロジーの劇的な成長と成熟を現在進行形で体験している我々だからこそできることがあると思っています。まだない未来をワクワクしながら創造できる、そんな素敵な仕事がアーキテクチャづくりです。

あなたもあなたの会社や組織でアーキテクチャをつくる人になってはいかがですか?


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