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「いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん」- 今井真美 【読書記録】

料理家・今井真美さんのレシピとエッセイの本「いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん」を読んだ。

今日から秋田に来ていて、帰省というものは大抵やることがなくスマホをぼーっと眺めてばかり。疲れるわー、そうだこんな時こそ読書よね、と東京から持参してきた本をめくる。1時間ほど夢中になって読み終えた。

私は食べることと同じくらい、料理をすることが好きです。
それは作るという行為が好き、というのとは少し違います。食べたいものを、自分の手で作れるという「自由」が好きなのです。 (p.2 はじめに)

いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん

日常は、なにげなくて、ささやかなことばかり。気をつけていないとすぐに忘れてしまう。
そんな気持ちや出来事を、したためました。私がどれだけ「食いしん坊」か、どうぞご検証ください。(p.3 はじめに)

いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん

この本には、四季を通した34のレシピと14篇のエッセイが載っている。どのレシピも、食材も手順もシンプルだけど組み合わせの新しさや調理の仕方におどろく。例えば「にんじんトマト」。この組み合わせ、ぜったいに思いつかなくないですか。

レシピを紹介するキャッチコピーのようなひとこと説明もいい。

にんじんトマト
"油も使わず、お塩だけで強い旨味"

いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん

・・・よだれじゅわ〜。想像するだけで口のなかに旨味が爆発。

さらに、季節ごとのレシピの合間にあるエッセイもすばらしい。レシピが引き立つ思い出話やエピソードが綴られており、料理と生活、どちらも切り離すことなく結び付いているからこそだと思わされる。私は今井さんと同じく子育てをする40代母なので共感ポイントも随所にあった。子どもたちとのエピソードに笑ったり泣いたりさせられた。

ちなみに本を彩る美しい写真たちは、ところどころに登場する今井さんの旦那さんでカメラマンの今井裕治さんが撮影している。「トーストと人格」というエッセイでは、たっぷりのバターを躊躇せずに乗せ指を(バターの油分で)光らせながらトーストを頬張る旦那さんとのエピソードが紹介されており、バターといえば罪深いものと刷り込まれているわたしは、隣のトーストを羨ましがる今井さんの気持ちが痛いほどわかる。ううう。

さて実は、今井さんのレシピには数年前から助けてもらっているわたし。美味しいもの好きの同僚が「これはうまい」とお勧めしてくれたカルボナーラがこちら。

はじめてこのレシピでカルボナーラを作ったとき、自分はプロのシェフなのではないかと錯覚するほど衝撃的なおいしさだった(冒頭の写真はその衝撃のさなかに撮ったもの。まだ作ったことがない方はぜひ一度作ってみてほしい)

このカルボナーラのレシピは 毎日のあたらしい料理 いつもの食材に「驚き」をひとさじ にも掲載されている。わたしはこちらの本も手元に置き、載っているいろんな料理をくり返し何度も作っている。

手間がぜんぜんないのにおどろきのしっとり具合に仕上がる「鶏胸肉のソテー」や、きゅうりや人参が何本あっても足りなくなるほどの「きゅうりの水漬け」と「にんじんの唐揚げ」などなど。シンプルだけど、知っている食材がいままで食べたことのないおいしさになるレシピばかり。

今回読んだ「いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん」は、キョンキョン(小泉今日子さん)が帯に

この本は私の友達だ。自分を見失いそうな時、そっと寄り添って、優しく話を聞いてくれる。そんな友達が私の本棚にあることは、とても頼もしい。

いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん

と書いているとおりの本だと思う。わたしはこの先もずっと、今井さんのレシピで自分の胃と心を満たしながら生活していくだろう。

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