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桃から生まれる装置を作る

桃太郎。”桃”から生まれたという信じがたい生い立ちは、おそらく彼だけだろう。

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生まれた時の衝撃はどのくらいだったのだろうか。そもそも大きい桃の時点で震えおののくかもしれない。IT技術が発達した現代なら、パカッと爽快に桃から生まれるシーンを再現できるんじゃないだろうか。

桃を作る

とりあえず桃を購入した。

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約25cmの巨大スクイーズ。思ったよりでかいし、ふわふわパンケーキくらいやわらかい。ほぼ小学生のお尻である。しかも桃みたいな甘い匂いがするし。

このままずっと触っていたいくらい立派な桃だが、心を鬼にして半分に切る。おばあさんもきっとこんな気持ちだったのだろう。

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中にはぎっしりスポンジが詰まっていた。これでもかと甘い匂いが部屋を充満し、まるで桃の中にいるような錯覚に陥いりそうになった。調子に乗って外側まで穴をあけてしまわないよう、まるで我が子を扱うかのごとく慎重にスポンジをちぎっていく。

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調子に乗った。やってしまった。スポンジ千切りが快感で外側キワキワまで攻めたせいだ。もうお嫁にいかせてやれない。

また5000円で購入する気力もないくらい落ち込んだので、これまでのことを一旦忘れて、桃を作り直すことにした。


桃を作るパート2


3Dプリンタやレーザーカッターなどのハイテク機械もないので、スタイロフォームと紙粘土を削って作る。

出だしでスタイロフォームと発泡スチロールを間違えるという凡ミスをおかしたが、なんとか手に入った。

IMG_7578のコピー

ここからひたすらスタイロフォームを削る日々が始まる。とにかく毎晩夜なべして桃を削っていた。カッターで削るのは意外と体力が必要で、何度も心が折れそうになった。深夜に響くモキュモキュ音はちょっとしたホラーになっていただろう。

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だんだんサマになった。この時点ですでに10日ほど経っている。桃から生むために、ここまで日々を桃に侵されるとは思わなかった。

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絵の具でピーチピンクに塗って、なんとかそれっぽいのができた!

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桃を動かす

パカッと開閉する仕組みを作る。複雑な機構はお手上げなので、サーボモータを使ったシンプルな機構でどうにかしよう。

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桃の両側にサーボモータを取り付ける。固定方法が分からなかったので、ホットボンドとガムテープで強行突破する。

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格闘して2時間。ついに桃がパカパカするようになった!やったー!

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桃太郎を桃から生む

まずはこの人がいないと始まらない。石粉粘土をこねくって桃太郎を作った。現代に合わせて引きこもりニート風(スウェット姿)にしてみた。もう鬼もいないので、ヒマで引きこもってしまったのだろう。

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さっそく桃から生まれてもらおう。パッカーン

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さすが元祖だ。しっくりくる。目の前にキビダンゴも置いてみた。何かを成し遂げてくれそうな勢いを感じる。


他のものも桃から生んでみよう

せっかくなので、他の動物も桃から生んでみる。桃太郎以外の生物が、初めて桃から生まれる奇跡の瞬間である。

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ちょっと可愛くなりすぎてしまった。生命の神秘的なものを感じるかと思ったが、キュートすぎて感動が薄れてしまった。おそらく最初で最後であろう「桃ひよこ」が生まれた。

こんな使い方もできるんじゃないだろうか。冷蔵庫に入れておくと兄弟喧嘩になっちゃうプリン。桃に隠しておけば見つかることはないだろう。まさか桃の中にプリンがあるなんて思うまい。

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もし万が一食べてしまったとしても大丈夫。桃に入れて謝れば、キュートな雰囲気でつい許してしまうだろう。

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桃から生まれる装置を使うと、通常よりキュートさが増して場を和ますことが分かった。桃から生まれた桃太郎は、それはそれは可愛く育てられたのだろう。

今は大きい桃の置き場所に困っています。

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