効果的だが強要にならない、説得の方法

行動や意見についての説得は、とても大切なコミュニケーションだ。

私は、殻がついていると思い込んでエビフライを食べなかった。
親が食べるよう説得してくれて、本当によかった。

でも、やり方が悪かったり、やりすぎたりすると、説得は強要になる。
ここでは、効果的だが強要にならない説得の方法について考える。

説得の構造

説得は、「〇〇だから、〜した方が良い」という、推奨の形を取る。
一旦、すべての説得の基本型として飲み込んでほしい。

このうち、
「〇〇だから」の部分を、推奨の理由
「〜した方が良い」の部分を、推奨の言葉
として、分けて説明する。

推奨の理由には、情報提供を

推奨の理由、つまり、「〇〇だから」の部分の内容は、情報提供にすると良い。

ここに話し手の願望や意思が入ってくると、その内容によって強要の度合いが上がる。
例えば、「私はあなたに医者になってほしいから、あなたは勉強した方が良い」とか。

情報提供の3種類

情報提供の方法には、以下の3種類がある。

①相手が持っていない選択肢を教える
「動物看護師って仕事があるよ」
「耳栓っていう道具があるよ」
知っている選択肢(行動,方法)からしか選べないので、選択肢を知らせる。

②選択肢についての新しい情報を与える
「あの公園に行くとブランコで遊べるよ」
「野菜を食べると元気になるよ」
その選択肢のメリットを伝える。

③選択肢についての思い込みを正す
「エビフライに殻はついてないよ」
「横断歩道の白線から落ちても死なないよ」
その選択肢への不安や嫌悪の理由をなくす。

相手に合った情報を提供する

提供する情報は、相手に合った、相手を納得させられる内容が良い。
的外れな情報を押し付けると、説得の効果が下がるし、強要と受け取られやすい。

例えば。
A「うるさいところにいると疲れるなぁ」
B『耳栓っていう道具があるよ』①
A「そんなのあるんだ」
B『これをすると静かになるよ」②
A「でも耳栓って耳が痛くなりそう」
B『この耳栓なら痛くならないよ』③
A「じゃあ使ってみようかな」

①では「耳栓」という選択肢を教えているが、これは、うるさいところにいると疲れるAに合った情報だ。
②では、耳栓に関する新しい情報(メリット)を伝えていて、耳栓をよく知らないAに合っている。
③では、耳栓に関する思い込みを正していて、耳栓をすると耳が痛くなると思い込んでいるAに合っている。

勿論、現実の説得はこう綺麗にはいかない。
どんな情報が相手に合っているかの判断が、まず必要になる。
相手の性質や好み、知っている情報、知らない情報、求めている情報、持っている思い込みを探りながら、そこに合わせて提供する情報を選ぶと良い。

推奨の言葉

推奨の言葉、つまり「〜した方が良い」という意味の部分をどうすれば良いか。

尚、ここでの「〜する」には、「〜しない」も代入可能だ。
また、「〜と考える」を代入することもでき、ここまでの内容もここからの内容も、行動でなく意見について説得する際にも使える。

推奨の言葉の例

推奨の言葉には以下のようなものがある。
「〜した方が良い」
「〜しよう」
「〜すべきだ」
「〜するのが正しい」
「〜しないといけない」
「〜しなさい」

全部「〜した方が良い」という意味合いではあるが、強さや含まれるニュアンスが異なる。
大雑把に、下にいくほど強い言葉にした。

相手や相手との関係性、場面、内容、話し言葉か書き言葉かなどによって、どれを選ぶと良いか、どこまで強くして良いが変わってくる。

最終決定権を奪わない

強要せず相手の意思を尊重するというのは、つまり、最終決定権を奪わないということだ。
説得の成功とは、あくまで相手が本心から納得することで、反論の余地や、別の選択肢を選ぶ余地も残す。

上の例でいえば、「〜すべきだ」「〜するのが正しい」には、「自分はそうは思わない」と言える余地がある程度残されている。
特に書き言葉や硬い文章だと、ただの意見に見える。

「〜しないといけない」「〜しなさい」には、反論の余地はあまり残されない。
ただ、例えば、「〜しないといけないと“思う”」なら、強要度合いが弱まる。
逆に、「〜した方が良い“に決まっている”」だと、一気に強要度合いが強まる。

他にも、ちょっとした言葉の足し引きや、表情、声色など、様々な要素によって、相手から最終決定権を奪わないようにできる。

引き際

どんなに自分の説得内容が正しいとしても、相手が納得しない以上は、説得をし続けること自体も強要と受け取られる。

相手が納得しないときは、相手にもそれなりの理由がある。
その理由があなたから見て変なことも、どう考えても間違っていることも、そもそも理由が見えないこともある。
それでも、相手にとってはそれが正しくて、少なくとも今は覆らないことだってある。

相手や関係性や場面による部分

この前にも少し触れたが、説得の内容や相手、相手との関係性、場面などの様々な要素によって、効果的な、また強要にならない説得の種類やラインは変わってくる。

特に自分の立場が相手より上の場合には、簡単に強要のように受け取られてしまう。
逆に自分の立場が下だったり弱かったりする場合は、強く言わないと効果がないこともある。

それから、「こんな良いところがあるよ」「どうして嫌なの?」と優しく言われることすら圧力と受け取る人もいる。
そこは見極めなければならない。

また、ある程度の無理強いが必要な場面もある。特に子どもには。
川には入らないとか、予防接種を受けるとか、薬を飲むとか、宿題をやるとか、食事を摂るとか。

まとめ

ここまで結構長くなってしまったが、良い説得の方法について、かなり網羅的にまとめられたと思う。
これからも人間関係や生き方に関する役立つ情報を発信していくので、あなたはこのnoteをフォローした方が良い。(説得)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?