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#5 フィリピン留学

実は、フィリピンに行くことを決めたのは、短期留学の説明会のときだった。
正直に言うと、あまり短期留学に行く気はなかった。
英語を上達させたいって気持ちよりも、
世界を知りたい、やりたいことをやりたいって気持ちが強かったから。

だけど、フィリピンの語学留学プログラムには
スラム街、孤児院、シェルターでのボランティア活動が含まれていた。
前々からスラム街に行くことの難しさを知っていたから、
英語を学べて、スラム街にも行けて、奨学金ももらえるこのチャンスは、
わたしにとってぴったりの、理想通りの、留学だった。

誰にも相談せず、1人で行くことを決めた。

カオス

いよいよフィリピンに。
初日、同じ大学からの3人と一緒に飛行機に乗って、夜マニラに到着。

カオス。カオス。
空港から寮までの車から見えた景色に驚く。
高速道路からの景色は日本と変わりなかった。
いや、マニラの方が都会だったな。高いビルと大量の車に圧倒された。
だけど普通の通りでは、建物の低さ、人の多さ、うるさいクラクション、
ありえないくらい揺れる車、街灯の少なさ、
いろんな要素が私を不安にさせた。

寮に到着すると、急に不安になった。
水道水は飲めないし、狭すぎるシャワールームとトイレ、ハエ多すぎ、うるさいクーラー、窓から見える真っ暗な景色。

こんな場所で1カ月なんて長すぎる、生きていける気がしない。
本気でそう思った。
私とルームメイトは、お風呂に入る恐怖とこれからの恐怖から逃れるように
マットレスと枕しかない2段ベッドで寝た。

でも、オリエンテーションを受け、テストを受け、寮の説明を聞き、ショッピングモールに買い出しに行き、留学の初日が終了すると、
だんだんこの状況にも慣れてきて、余裕が出てくる。
人の適応能力ってすごい。

授業

毎日8コマ、4コマはグループで、4コマはマンツーマンだった。
週5、毎日変わらない時間割を5週間続けるのは、正直めちゃくちゃきつかった。
でも、フィリピンの先生たちは面白くてたくさん話してくれるし、マンツーマンの先生とは範囲を終わらせてずーっと恋バナ。
ディスカッションみたいな授業もあって、フィリピン人の慣習や考えに触れることも出来た。

フィリピンに英語を学びに行く人は多いと思うけど、
それは、こんな感じで話しやすい人柄の先生たちのお陰なのかもしれない、と思った。

毎週土曜日は、学外でボランティアや旅行。
ボランティアでは、スラム街とシェルターと孤児院に行った。
毎回午前中だけなのに、子どもたちのパワーに圧倒されてへとへと。
毎回午後に行く行くショッピングモールでは、動き回ることもできないくらいだけど、
貴重な外出を、心の底から楽しんだ。

短期留学って、体力も必要なんだ、と思い知らされた。

モール

フィリピンのショッピングモールはでかい。
私が長崎出身で、大きいショッピングモールが3個しかないからかもしれないけど、
フィリピンの大きくて綺麗なモールたちに圧倒された。

SMとAyalaというモールが何個もあって、
Mall of Asiaっていうでっかいモールにも行った。

たくさんモールがあって、すごいなぁって、
ただそれだけを感じていたけれど、
そこにはフィリピンの経済状況が反映されていて。
マンツーマンの授業で、先生が言った
「フィリピンのお金持ちは、中国人だけだ」
という言葉が、いまも心に残っている。

海外を歩く、の楽しさ

最初はどこに行くのも怖かった。
どこからでも車が飛んでくるし、ぼったくられてもわからない。ペソの使い方もわからない。
乗り物に乗ってもどこに行くかわからないし、あまり大学から離れたくない。1人行動なんてもってのほか。
唯一安心できるのは、モールの中と寮の中にいるときだった。

でも、一緒のクラスの日本人たちがアクティブすぎて、そんな考えは打ち破られた。

学校のプログラムに行かずにFIBAの試合を見に行ったり、
留学に来てから仲良くなったインド人たちと現地の乗り物で出かけたり、
現地のジムに朝早くから行ったり、夜遅くまで警備員さんとバスケしたり。

目から鱗。コミュニケーション能力とかリサーチ能力とかで、こんなに行動も、経験値も変わるんだ。だったら私もやる。
私は思ったよりびびりなんだ、って思い知らされた。あと、そこまでびびる必要がない、やってみればいいってことも。

流石に1人では歩き回れなかったけど、
現地の乗り物に乗ったり、現地のレストランに行ったり、スーパーに行ったり、サリサリストアに行ったり、ショッピングモールの周りを歩いたり。
街を歩く、という経験でしか得られないものは多くて、
それができた日に、やっとマニラという場所を知れた気がした。

次にマニラに行く時は、1人で歩いてみよう。

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