志望校は何回でも受けるべき?(塾講師による「二月の勝者5巻」読書会①)

自律学習サカセルの講師一同は、週刊ビッグコミックスピリッツに2018年より掲載されている漫画「二月の勝者」を愛読しております。
この漫画、綿密に取材され、中学受験業界を面白おかしく、とてもリアルに描写しているから塾講師が読んでもおもしろい。

そこで、自律学習サカセルの講師、三宅、増田、K・Mの3人によるこの漫画の座談会を通じて中学受験と中学受験塾業界についてご紹介したいと思います。(各講師のプロフィールは自律学習サカセルHPよりご覧ください。)

勉強にどうしても集中できない子...どうすれば?

ー今回は成績の1番低い王羅君が個別塾に移動しようという話の流れでしたが、このような子はやはり集団塾ではなく個別の方がよいのでしょうか?

K・M:集団では真面目に聞いてないと思うので、お金が無駄になってしまうと思います。自分は確かにそれだったらマンツーマンの個別の方がいいんじゃないかと思います。

三宅:集団で周りに迷惑をかけるという時点で、集団にいてはいけないということになる。個別じゃないと対応がしきれないタイプの生徒さんかな~

増田先生:同じ考えですね。授業の進行を止めるような騒ぎ方をされたときに、放っておくとクラスが崩壊するんですよ。人に迷惑をかけることをするとこうやって怒られるんだということを示さなきゃいけない子なんですよね。だから、個別に行った方が、こういうことだったらやってもいいかなというものを中心にカリキュラムを組むなど、色々工夫のしようはあるかなという気がします。

ーちなみに、「王羅君みたいな子にはこういうタイプの先生が合う」という組み合わせや「こういう先生はうまく行かない」という組み合わせはありますか?

三宅:俺じゃうまく行かないな。変に責任感が強かったり、変に数字を求める人という講師はうまく行かないと思う。だから、この子の性格であったり、個性を認めて、成績ではない部分も含めて学習の習慣をつけてあげる講師がいい。そういう先生堅気のある人がうまく行くんじゃないかな。

K・M:100マス計算が出てきますけど、これは彼にあったやり方なんじゃないですかね。そしてそれができる先生がいい。

増田:そういうところでできることをやろうとした結果でしょうね。

三宅:学生講師でいい人がいたらそちらの方がいいかもしれないね。

増田:そうかもしれないですね。共通する趣味とかが心を開くきっかけになることも多いですし。

増田:いわゆるプロ講師と呼ばれる人は数字にこだわっている人が多いから、それよりは人間形成に重点を置く方がいいかもしませんね。だから、学生講師の方がいいというのは、決して教える腕の問題ではなく、学生の方が一緒の目線で何かをやる可能性があって、一緒に頑張ろうかという風になれる、ということ。そっちの方がいいと思います。

三宅:年配の先生でもいいかもね。

三宅:これ下手な先生が担当したらもっと勉強しなくなる。怒るか、一緒に遊んでしまう。怒ると塾に来なくなっちゃうと思うんだよね。またカード屋に行ってしまう。

三宅:実際の塾だったら、東京個別指導学院なんかだったらうまく行きそうやね。

増田:確かに。この中だと橘先生が上手くフォローに入って良かったですよね。でも、実際に橘先生は伸びそうな生徒を予測できてなかったりとか、適切な算数の対応ができず、5年の内容復習しておけばいいと言っているところからすると、対応する生徒に得意不得意がありそうです。

受験校の戦略、同じ学校を何度も受けることの是非

ーさて、この巻では、ついにどの学校を受けるかという話を黒木先生が持ち出します。その中で「ただただ同じ学校を受け続けることは合格への道ではない」という言葉がありますが、皆さんも同じ意見ですか?

増田:いや...

三宅:機会があれば受けるべきだけど、もちろん受験には戦略もある。生徒によっては、2月1日の1番合格取りやすい時にあえて志望校より試験の簡単な学校を受けて、合格を取らせてから段階を上げるときもある。

増田:基本的に回数多く受けられるところは多く受けたほうがいいんですけど、自分の実力と不相応だった時、そして加点を全くしませんと公言している時なんかは考えものだったりしますね。

増田:でもたくさん受けるだけで合格する学校もあるんですよ。

K・M:ありますね。4回受けたらほぼ確実に合格する学校とか。

増田:そういう学校は多分加点があるんですけど、段々その度合があがっていくんですよね。

三宅:複数回受験の場合、回数で加点がある場合と、後は各回の1番いい科目だけを集めて合格判定する場合もある。

K・M:埼玉の方の学校だと、1回目と2回目で問題がそっくりという学校もありますよね。復習していれば、解き方が分かるでしょみたいな。

ーちなみにそういう情報は公開されているものなのですか?

増田:基本的には分かりません。

K・M:過去問を見るという手はありますけどね。

三宅:直前の保護者会とかでは、今回はこれが出ますというのだったり、こういう加点がありますという説明があるところはある。

増田:インターネットだけで調べて横着して受ける生徒にはあまり優遇はないんですよね。ネットの評判だけ調べても出てこない。ちゃんと学校に行っている熱心な家庭と受け取られる場合には有益な情報は出ます。

三宅:それでも、可能性がちょっとでもあることが前提やけどね。力がないのに豊島岡を3回受けても受からないものは受からない。一応加点はあるんだよ。

ーどんな学校にそのような制度が多いんですか?

三宅:生徒が欲しい学校だね。

K・M:生き残りがかかってますからね。

増田:場合によって2月の7日とかまで試験があるんですよ。そういうところまで敷居を広げる時はまあ受ければ...うんみたいな感じなんですよね。でも、こういう制度はチャンスを広げるというくらいに見ておいて、実際力をつけることを怠らないようにしてほしいですね。

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今回は成績が最下層に沈む王羅君と同じ学校を何回も受けることについて話してきました。

王羅君は集団よりは個別、そして数字を求める講師よりは一緒の目線になれる講師、時には学生講師の方が合うのではないか。

そして、同じ学校を何回も受けることは、プラスにはなるがそれを前提にして力をつけることを疎かにしてはいけない。また、それらの情報は実際にその学校に入る熱意があるということを見せられる家庭が得られるものである。

というのがサカセル講師陣の意見のようです。

次は受験前の受験校を決めるタイミング、そして合宿について見てゆきたいと思います!


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