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転塾はした方がいいのか?受験は誰のもの?(塾講師による「二月の勝者2巻」読書会①)

自律学習サカセルの講師一同は、週刊ビッグコミックスピリッツに2018年より掲載されている漫画「二月の勝者」を愛読しております。
この漫画、綿密に取材され、中学受験業界を面白おかしく、とてもリアルに描写しているから塾講師が読んでもおもしろい。

そこで、自律学習サカセルの講師、三宅、増田、K・Mの3人によるこの漫画の座談会を通じて中学受験と中学受験塾業界についてご紹介したいと思います。(各講師のプロフィールは自律学習サカセルHPよりご覧ください。)

第1巻の読書会はこちら

大規模な塾に転塾することの是非、転塾した時に必要なこと。

ー今回登場する生徒の中で大きく取り上げられているのは転塾で一悶着あった前田さんです。このような生徒は現実にも多いのでしょうか?

三宅:僕の場合はSAPIXにいたから、転塾してくる生徒はいたけど...

増田:早稲アカは転塾される側でしたね。

三宅:確かに転塾してくる子の中にはこういうタイプの生徒はいた。この子はどこどこの塾にいたらしいよという子。

ー前田さんみたいに元の塾では上位層の子どもが多いのですか?

三宅:確かにそういう子が多い。もともとの塾だと上にいたから転塾してきたら、「あれ自分はこんなクラスなの?」、となる子も多い。そこから伸びるか伸びないかはその生徒次第。日能研の上のクラスにいた子がSAPIXの真ん中くらいにきてそこからズルズル落ちてく時もあるからね。うわーってなる。

三宅:途中からきて伸びる子は帰国(生)とか多かったわ。海外とかでちゃんと勉強してて、集団来て「わあ、おもしれー」って言って伸びるケース。

K・M:でも彼女の場合は1年持たないかもしれないですね。

三宅:だれかいい、サポートする人がいたらよかったのだろうけど、この感じで続けていたらつぶれていたのだろうなーという気がする。

三宅:実際、自分で髪の毛抜いちゃう子も結構いる。あとは自傷癖、爪噛んでる子もいたな。家ではストレスを抱えてる子も多いかな。

ーそうしたら、彼女の場合は最初から転塾しない方が良かったのですか?

K・M:別にどちらにいても良くはならないですよね。小さい塾で悪くならないという程度。お山の大将でも成績あがらないんで。

三宅:この子は受かってほしいんやけどな。個人的にはそのためにストレスは感じつつも大手でもまれたほうがいいんじゃないのって思っちゃうな~

増田:信用のおける所に行くしかないんじゃないかという感じですね。

三宅:でも、こういう子うちで個別にみたら絶対合格を掴めるよ。

増田:1億%桜蔭受かる。

三宅:ガッツもあるし。

三宅:こういう子は全部自分のやり方でやってるから、無駄が多くなってイライラすることがあるタイプの生徒。こういう子ほど個別に来て多すぎる勉強の選択肢を減らすのが重要。

三宅:勉強が我流になっていて、適切な対策が取れてなくて、ただ闇雲に一生懸命頑張っている感が強い子。そういう子の勉強の交通整理をしてあげると、前田さんみたいな子はうまく行く。

K・M:最適化ですね。

大手のカリキュラムは良くも悪くもパーソナライズされていない

ー最適化は例えばPHOENIXのモデルのSAPIX内では難しいんですか?

三宅:集団塾は最適化するすべを与えてくれないからね。

増田:しかも担当本人がどう最適化すればいいのか分かってないケースもある。

三宅:それはそもそもSAPIXは誰が教えてもうまく行くようなテキストだから。輪切りやで、金太郎飴やで。

増田:三宅先生は個別が交通整理っていう例えじゃないですか。俺は穴空いてるチーズの穴埋める感じ。

三宅:食感悪くなるな(笑)

三宅:俺はでもこの子の勉強で認められたいという気持ちはすごく大事だと思う。足早いやつはモテるのに、勉強できるやつってあまりモテないんだよ。リレーとかだったら選抜してちやほやするのに、勉強できてもなんだか疎まれる。

三宅:この子の承認欲求を満たす手段として、塾、テストというのは有効だろうし、ただその承認欲求が桜花だったら満たされる。お山の大将だからね。できれば大きい山の大将になってほしいんだけどね~

増田:経験上はSAPIXで髪の毛抜きながら通って、頑張ってついていく方が実績的にはいいんじゃないかな。成功率が高い。

三宅:SAPIXだったらα3とかの子がストレスMAXで4割くらいで受かるかもという子が受かってくれると思うよ。入れるまでがSAPIXの仕事だからね。その先は分からないけど。一番いいのはSAPIXに行って、サカセルみたいな個別に来て合格を掴む。

増田:この子どうなのかな。集団通ってるだけだと、桜蔭きつそうだけどな~

三宅:でもこの子豊島受かりそうじゃないですか?3日に。

増田:確かに豊島っぽい。

三宅:でも豊島入った後頑張って、結局医学部なり、東大なりに行きそうじゃない?

増田:白百合じゃないんだよなー

ママは頑張ってるけど...どうなる武田君

ーさて武田君の話に映りたいと思います。現実にいたら将来性はどうでしょう?

増田:ママだけ頑張ってもねー、子どもが頑張んないとねー

三宅:金銭的なサポートをしようとしても本当に必要な実際の勉強の部分は見れないだろうし、課金していいアイテムが出ても装備できるかは別だし...(注:作中に「中学受験は課金ゲーム」という比喩が登場した。)

三宅:あと課金ゲームって課金したからって絶対に強くなるわけではなくて。メッシが出ても育成しなきゃいけなかったり、ポジションとかもあるし。というところでママが課金しなきゃいいアイテム取れないと思うのはいいと思うけど、使いこなせるかはわからない。

K・M:課金してもいい先生にあたるとは限らない。

一同:😅

K・M:結局ガチャしても変な担当の変な授業しかないということもある。

増田:結局塾のシステムとか実績とかを見ても予想しかできないんですよ。だから、みんなオンライン授業を受けて、「うわ、こんな授業やってるのかよ」ってそこで初めて気づくんですよ。

ー武田君は本人のふにゃふにゃ加減をみると厳しそうですか?

一同:厳しい!

増田:0%!

増田:宿題を全くやってこない状態でお母さんが対策としてやったことが、バリっと働いてお金を私が出しますってことでしょ。でも、それは勉強を見る時間を1秒も作ってないんですよ。

増田:子どもが集中して勉強できる時間をどれだけ作れるかが受験の鍵なのに、全然それが積みあがってない状態じゃないですか。

増田:本当だったら、宝くじ当てて「じゃあ私あんたの勉強ずっと見るからね」みたいな状態の方がまだ可能性がある。

ーお母さんの判断も最善策ではなかったということですか

増田:最善ではないですねー

増田:はっきり言って塾の講習は出した方がいいと思います。塾で勉強するのと同じ環境を家で0円で作れるかというとできないから。

増田:それは外注するにこしたことはないんですけど。お金を確保するために支店長になるためにバリバリ頑張ってみたいなことは、多分間違ってますね。

三宅:成績があがるのって、結局塾にいる時間じゃなくて、家でのお勉強の時間。家での勉強の時間を充実させるのが家族の力。ということを考えると、もし武田家が実在したら、「誰か働くだけじゃなくて子どもの勉強も見なさい!」と言いたい。

K・M:本来はお父さんもお金か、勉強を見るかのどっちかで協力するべきですよ。

三宅:彼の場合は見るのが難しかったら解答の冊子を持っておくだけでも効果あると思う。

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ということでいかがでしたでしょうか。二月の勝者をまだ読んだことのない方は是非1度手に取ってみてください!

サカセル講師陣的には、前田さんみたいに小さい塾のお山の大将は是非大手に挑戦し、できれば個別指導にも来てくれるのが合格への最短ルートというところでした。作品内では桜花に残りましたが、うまく第一志望に合格できるとよいですね。

また、武田君は親が中心に描かれていましたが、結局本人がどう変わるかが問題。今後、集中して中学受験の勉強に取り組むことはできるのでしょうか。今後が楽しみです。

また、漫画だけでなくドラマの放送がいつになるのか気になるところです...

後編では「中学受験は課金ゲー」、「中学受験は特急券」という台詞についての対談に入ってゆきます!!


個別指導・家庭教師の
自律学習サカセル

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HP:https://sacacell.jp/

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