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答えを見てしまう受験生、どうすれば防げる?(塾講師による「二月の勝者6巻」読書会①)

自律学習サカセルの講師一同は、週刊ビッグコミックスピリッツに2018年より掲載されている漫画「二月の勝者」を愛読しております。
この漫画、綿密に取材され、中学受験業界を面白おかしく、とてもリアルに描写しているから塾講師が読んでもおもしろい。

そこで、自律学習サカセルの講師、三宅、増田、夏田の3人によるこの漫画の座談会を通じて中学受験と中学受験塾業界についてご紹介したいと思います。(各講師のプロフィールは自律学習サカセルHPよりご覧ください。)

どうする答えを見てしまう生徒

ー今回は武田君がカンニングをしてしまいました。武田君のように答えを見ちゃう生徒っているものなのですか?

一同:毎年います😫

三宅:僕の小学生時代からそんなやついっぱいおるよ。

増田:でも武田君みたいに答えを見るのをやめると言う生徒は一人もいません。

三宅:普通認めたがらないしね。この子の場合は「自分で答えがあったら見ちゃうんだ」と言うのはすごいレアケースだと思う。

増田:これ本気で言ったんだとしたら本当にえらいですよ。

三宅:別に講師が責め立てて「お前見たやろ!」って言って「見ました!」っていう生徒1人もおらんよ。それは講師側で判断して適切な指導、答えを見てても意味のある授業をしなきゃなと思う。

増田:実際こんなさっぱり上手くは行きませんね。

夏田:そもそも自分で言わないですからね。意識が変わってやめるということはあると思うんですけどね。

ー答えを見ていた生徒はどうしてバレるのでしょうか。

三宅:これは国語の方がひどいかな~

増田:言っちゃいます?まず、記述の模範解答が大して出来がいいものでもないのに、どうして模範解答通りの答えを書いているの?ということが発覚するケース。あとは問題文見ると分かりやすいんですけど、線引いて読んでいたはずなのに、記述は白紙で、記号問題だけ埋めたやつが全部合ってましたみたいな顔をしているケース。もうバレバレ。

夏田:模範解答そのまんまは本当にいます。

増田:一字一句同じだとバレるから特定の単語を別の単語に入れ替えて、語尾を変えて出した生徒もいましたけど、これもバレます。知能を使うベクトルが問題を解くことではなくて、講師をだます方向になっている時点で試験で合格できるわけがないですね。

三宅:算数の場合、自分の場合はやっぱり授業中に○×じゃなくて、どう考えたかを答えさせるから、答えがあってても説明できなかったらもうその時点で分かってない。だから、そういう生徒の答えは〇すらしいひんか、おまけで直径4mmくらいの〇にする。

ー皆さんの感覚は個別ならではという気がするのですが、集団では分からないということでしょうか?

一同:分かります。

夏田:算数だったら途中式なんにも書いてなかったりとか、後は学力的に正解できない問題が〇になっていたりとか。

増田:〇しかない生徒は基本答え見てるよ。

三宅:後はSAPIXだと基本復習式だけど、予習みたいな形で教材手に入れて先に勉強してくる子供もいるしね。

増田:それはコンセプト破壊パターン。

ーこれらの子供の行動に親は気が付かないものなのでしょうか?

三宅:分かって諫める親ももちろんいる。

増田:でも、そうじゃない家庭も一定数いる。それは、気が付かない、子供に無関心なケースが1つ、後は子供が答えを見ているのをなんとなく気が付いているけど認めたくなくて塾側に責任転嫁したいケースがもう1つ。

三宅:発覚してしまって、「信じられない。」「自分が育ててきたのに...」という心から、そうなるのかもね。

三宅:まあ、家でやってる過去問の成績はすごくいいのに、模試の成績がすごく悪くて、そういう時に「どうして」と質問してくる親はね...

増田:親が厳しすぎる時もそうなるかな。家で問題解くときにどうしてできない、塾で何をやってきたんだと親から叩かれ過ぎて、とりあえずその場を凌ぐために答えを見るようになる。

ー子供が答えを見ないように親御さんにできることはあるのでしょうか?

三宅:とりあえず親が〇付けをする。あまりにも簡単だけどそこ。

夏田:習慣づけを小さい時からやらないとだめですね。

増田:親がちょっとずつ関わることですね。それも含めて。

三宅:どう考えた?っていうその対話、ワンクッションを挟むだけでも大分変わるんじゃないかな。

三宅:前の武田君の話に戻ってくるけど、金出したらオッケーというわけではない。教えなくてもいいけど、把握するぐらいの距離感は持っておかないと成果は出ないかな。

増田:子供が「自分だけ苦しい思いをしている」っていう風になりがちなんですよね。お父さんはずっとスマホでゲームしてるのに、って。そこで、子供が家族に勉強を今こういうのやってるとか話ができると、家族が自分のことを見てるって感じられると思います。

夏田:スケジューリング(この日にこの課題をやろう)とかでも話ができるといいですよね。

三宅:これがうまく行かないで、答えを見て手を抜くことに慣れた子供が結果的にうまく行くことはほとんどない。

増田:心が入れ替わって例えば6年の9月から1月まで一生懸命勉強したところで、もっと前から一生懸命勉強している生徒はいっぱいいる。

夏田:宿題を写さないで正直にやってきませんでしたって言って上手くいったパターンはありましたね。答えを写すパターンで上手くいった生徒を見たことないですね。

三宅:自分の力を客観的に正しく把握できなくなっちゃうんだよね。それで、いい戦略も立てられない。いいことはその場を凌げること以外何もないんじゃないかな。凌げなかった場合のリスクも高すぎる。

増田:本当に成績だけじゃなくて、授業でやったことの定着でもそうなんですけど、成績にあらわれてない部分も測れなくなってどうしようもない。

増田:そういう行為を続ける以上時間の無駄ですとしか言いようがないですし、実際に言っています。

増田:子供がカンニングしたことに対して申し訳なく思っていますと言って子供と謝るのはまだいい方。認めない方もいるんですよ。それを。「先生に習ったことやったんですけど。」と言ってもう一回子供がカンニングする家庭もありますからね。

三宅:答えを写す子供は、写す前にも後にも親のやり方次第でいろんなところを変えてあげられると思う。まあ、結果として写したらうまく行くことは少ない。だからそうなる前に芽は摘んでくださいというしかないかな。

K・M:芽を摘む方法の1つとして自習室の利用もいいですね。

増田:サカセルの自習室に来て自習管理担当の先生に答えを預ける生徒いません?それすごくいいですよね。

三宅:〇付け、採点もこっちでやるからね。

増田:低学年から自習室使って習慣づけもできます。例えば公文ってそうでしょ。

三宅:個人的には、4年生までは親が横について勉強を見てあげるほうがいいかな。4年までは親が教えればいい、5年からは親は見守ればいいと思ってる。だから、教室、自習室来てくれるなら5年生くらいからが一番いいかな。

ーちなみに、どこの塾でも自習室に先生がいるんですか?

K・M:早稲アカはいないですね。教室一部屋開けたり、専用の自習室があったりします。

三宅:SAPIXは自習室自体がない。

増田:市進学院は講師の机に生徒用の机が並んでたりしてますね。面倒見はいいかもしれないけど、受付の所の人口密度がとんでもないことになります。

三宅:その点サカセルはそこまでごちゃごちゃ感もなく、バランスがいいと思う。強いて言うなら少し授業スペースが近すぎるかな。ほんとは別部屋だったらなおいいと思うけど、そんなスペースがないな。

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さて、今回は塾の勉強をしている時に答えを見てしまう生徒をテーマに話をしてきました。

- 答えを見てしまうと勉強の内容だけでなく、受験の戦略やアドバイスもできなくなる。
- 一旦答えを見ることに慣れてしまうと、受験における結果は講師の経験上芳しくない。
- それを防ぐには勉強に対して親御さんがある程度関わることが重要。
- 難しければ、講師が見ている自習室を利用するのも得策。

という話の流れになりました。次回は文化祭や学校説明会の話に移ってゆきたいと思います。それでは!


個別指導・家庭教師の
自律学習サカセル

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HP:https://sacacell.jp/

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