凡人こそ受験をすべき?(塾講師による「二月の勝者1巻」読書会②)

自律学習サカセルの講師一同は、週刊ビッグコミックスピリッツに2018年より掲載されている漫画「二月の勝者」を愛読しております。
この漫画、綿密に取材され、中学受験業界を面白おかしく、とてもリアルに描写しているから塾講師が読んでもおもしろい。

そこで、自律学習サカセルの講師、三宅、増田、K・Mの3人によるこの漫画の座談会を通じて中学受験と中学受験塾業界についてご紹介したいと思います。(各講師のプロフィールは自律学習サカセルHPよりご覧ください。)

前半はこちら

凡人=98%の人こそ受験をすべき?

ーここからは1巻に登場した「凡人こそ受験をすべき」という言葉についてどう考えているか聞きたいと思います。

一同:これは賛成です。

増田:凡人って、容姿、芸術、スポーツなどによって上位0.1%レベルで秀でていない人全員なんですよね。これは何の分野でもそう。

三宅:特別な才能がないもの。

増田:私は漫画の中の決め台詞と同じ意見で、そういう人を除いた98%くらいの人は中学受験すべきだと思う。

K・M:成績が下の生徒は抜かなくてもいいんでしょうか?凡人を平均のようにとらえていたのですが...

三宅:そういう人こそ勉強すべきだと思う。今現状では、学歴が一番分かりやすい指標であり、つぶしが効くものだと思う。あと、親が子どもに残せる資産とは何だろうと考えたときに一番わかりやすいのは学歴。というのがあって、すべきかなと思う。

三宅:中学受験をするということをスタンダードにした方がいいと思う。

K・M:環境が人を育てるという面はあると思います。

増田:確かに公立の中学校に行く3年間は成績がいい人からすると無駄になるリスクがあるんですよね。というのも努力しなくてもトップ10を取るのが簡単だし、周りが不真面目だと身の回りでいらないいさかいが起こることもありますし、お金があるなら私立がいいでしょうね。

三宅:成績が悪い子は「高校行くのか行かないのか」という選択をすることになる場合もあるが、とりあえず中高一貫に行けば、まず高校に行くという選択肢が当たり前になってくれる。それは多分親にとってのセーフティネットになると思う。だからできる子でなくても私立に行く価値はあると思う。

増田:大学に行くのが普通になりますよね。逆にいえばクリエイティブな面をそがれる可能性はありますけど、別にそれは進学校、麻布とか行って芸大に行く人も一定数いるので、よっぽどやりたいなら、必ずしも受験をすることでそちらの道が絶たれるわけではない。

増田:基本路線で学歴社会が0になっていないところから見ても三宅先生の意見は割ともっともだと思います。

三宅:受験して選択肢が減るかと言われたらそうではないと僕も思う。例えば、数年前に宝塚に進学した生徒で1人女子学院、で1人は雙葉よ。だから受験して何か犠牲にしたかというとそうではないかなあと思う。

三宅:今は「特別な理由があるから中学受験をするんだ」という流れなのが、ではなくって「特別な理由があるからしないんだ」となるべきだという考えです。

しかし、これは但し書きが付くべき?

K・M:でもこれは「ただしお金があれば。」という風になりますよね。

ー試験を受けるだけならば受験料だけが必要ですが、中学受験は必ず塾に行く必要があるものなのですか?

三宅:中学受験はやはり塾に行かないと難しい。大学受験だったら、確立された勉強法、参考書、市販のものがある。一方中学受験のものはそのノウハウが塾に依存したものになってしまっている。そして、自分の客観的な位置を知るということ、それもあくまでも塾の中の位置を知るしかできない。

三宅:あとは自分自身を自制するという面でも塾に行かないとできなんじゃないかな。

増田:あと実は、受験すべきって言ってるんですけど、僕それは首都圏限定だと思っていて。地方の私立の中学って選択肢が意外とないんですよね。

増田:極端な話をすると別に福井県とかで中学受験する意味があまりないんですよね。

三宅:そうしたら国立の付属とかやな。

K・M:国立の付属もくじ引きで結局まずい目にあわされたりするわけで。受かったのに、くじ引きで君何番だから不合格ねみたいな...

増田:あとこれ、漫画は吉祥寺だと思うんですけど、他のエリアだったらどうなるんですかね。千葉とかで同じようなこと言えるのかなって...思いましたね。

K・M:そもそも千葉、埼玉で中学受験率東京、神奈川より低いですよね。

増田:例えば、埼玉って高校入試超有利なんすよ。併願推薦というのを合法的に1月中に取れるんです。

増田:都内の生徒って2月10日からの私立の試験で1日潰して推薦を取りに行くんですけど、それをしなくていいんですよ。埼玉って。

K・M:早稲田本庄とかもあるので、早稲田に行けちゃいますしね…

増田:中学からわざわざ県内の私立に通う理由が弱いんですよね。だからみんなするとしたら西日暮里を目指す。でも、麻布は遠いんですよね。まあ憧れの学校が東京から外れちゃうと少ないんですよ。
結局、みんな埼玉に住んでても東京の学校に行っちゃうんです。

三宅:その辺は交通網の発達もすごく影響があって。例えば、今栄光と聖光とかが少し入学者の数が減ったりしているのは東横線で今和光市まで行けるから、というのもある。例えば、横浜市よりも西エリアで栄光、聖光受かってるけど通り越してどこどこに通うというケースが昔よりも増えている。

あとは中央線のエリア、桐朋とかが落ちていったのは開成とか、都心の23区の学校に直接通えるようになったから。

増田:湘南新宿ラインだのなんだの。拡張しているのは学生たちには有利に働いているんですかね。昔って群馬から23区に新幹線で通うって事件だったんですけど、つくばから通うって割と普通なりましたよね。

増田:開成でもクラスに1人くらいつくばからくる生徒がいたはず。

三宅:だから多分、中学受験をすると言っても、首都圏、特に東京23区内の学校に通える距離に住んでいることが多分条件なんじゃないかな。

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ということで、結局サカセルで話した結果、基本的には「凡人こそ受験をすべき」という発言に賛成でしたが、

※お金の余裕があれば
※首都圏、特に東京23区内の学校に通える距離に住んでいれば

という条件がつくのではないかという話になりました。中学受験すべきは最初に話していた98%よりはかなり少なくそうです。

皆さんはどうお考えでしょうか?

次回からは2巻の内容についての読書会の内容をお届けいたします!


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