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レストラン感想 御料理ふじ田


概要

前回非常に満足したため、2回目の訪問です。基本情報については前回書いたので割愛。追加で書くことといえば、先日発刊されたゴ・エ・ミヨ 2024にも引き続き掲載されている、と言う点くらいでしょうか。おめでとうございます。
因みに普段僕がゴ・エ・ミヨ掲載と言ってるのはこちらを参照、すなわち今までに掲載されたことがあるかで言っております。
年度別だとこちらから見れますね。ただ書籍のインタビューやレビューが読んでいて結構楽しいので購入しちゃった方がいいでしょう。3300円というのは情報量を考えれば良心的だと思います。

コース内容

前回美味しかったのでまず蝦夷の曙を。半合対応もしてもらえますが、好きなので1合頂きました。スペック非公開って話からなぜか年齢非公開やら体重非公開やらよく分からん盛り上がり方してました。なんの話?そういえば結局全員頼んでたな。

前菜は赤貝と北寄貝の酢味噌和えに、空豆、飯蛸、コゴミ、ウド。北寄貝の酢味噌和えは前回もいただきましたが、今回は赤貝もついてきます。今回は酢味噌の量が控えめで貝の風味が色濃く出ていたように感じました。これくらいの量の方が個人的には好きですね。飯蛸は簡単に噛み切れる柔らかさで調味の方も必要十分。他の食材も染み染みと美味しく、初っ端から春を感じさせてくれます。

椀物は葛粉を叩いたオコゼと胡麻豆腐。前回お出汁の旨さに引き込まれましたが、やはり今回も旨い。ただ初見効果ゆえか前回の方が印象に残ったかも。まあ僕の味覚なんざ基本当てにならんからな…。
オコゼ、初めて食べたのですが旨いですね。白身魚の中ではトップクラスに好きな味わいです。胡麻豆腐も好きなので思わず笑みが溢れる。

お造り1品目は炙ったシマアジに辛み大根。炙ることにより凝縮された旨味と脂のシマアジは当然に美味。それでいて辛味大根により後味はサッパリと。

お造り2品目は鮪に黄身の塩漬けを載っけたもの。これがもうとんでも無く旨い。鮪単体でも十二分に旨いのにそこに更に卵黄のコクが加わるなんて反則行為。なんでも温泉卵にすることで上記のように卵黄の塩漬けができるんだとか。もう本当にメチャクチャな旨さなのですが、僕の貧相な語彙力と感性ではうまく表現ができません。

羽根屋煌火。好きな味でしたが方向性が似てた印象だったので、別のにした方が楽しめたかもしれません。

お凌ぎとしてノドグロ。これはストレートに分かりやすい旨さ。口にするとジュワっと旨い脂が楽しめます。

昆布締めした厚め河豚にあん肝を濾してソースにしたもの、菜の花、ふぐ皮の煮凝り。ソースにしたあん肝というのは初めて食べましたが、従来の暴力的な旨味から打って変わって、綺麗な旨味になるという印象です。フランス料理ではフォアグラがソースに用いられることが多いため、海のフォアグラと呼ばれるあん肝も同様にソースにすると旨いのは自明の理かもしれません。昆布締めした河豚はむっちりと食感。旨味については最初からあん肝のソースが掛かっている関係で、どうしてもそちらの印象が勝ります。別皿にしてもらえると個人的に嬉しかった。煮凝りはモッチリした食感にサッパリした後味。あん肝、僕大好きなんですけど、単体だとその旨味ゆえに余韻が長いので、このように味覚をリセットしれくれる工夫が嬉しい。

八寸。稚鮎の揚げ浸し、丹羽しめじの胡麻和え、ホタルイカ、金柑の甘煮、ふきのとうに田楽味噌、ギンポウの挟み焼き。稚鮎は鮎らしい苦味に上品な調味で美味。稚鮎なので骨は気にならず。蕗の薹と田楽味噌は前回も出ましたが、やっぱりこの組み合わせ好きですね。挟み焼きはカマスからギンポウへ。無論美味しいのですが、カマスの方がジューシーで僕は好きでした。ただこれに関してはそもそも魚介全般において僕が冬が好きというのがある。胡麻和えとホタルイカも王道に美味しい。


蟹と木耳のひろうすにタラの芽の天ぷら。ひろうすは蟹の味が濃くてメチャンコ旨い。今まで食べた練り物の中でもトップクラスです。お出汁の方もコクがプラスされており、なんなら椀物のお出汁より好きな味わいになってました。タラの芽も由緒正しき春の味覚で良いですな。

締めのご飯は桜鱒と牛蒡となんだったかな…。桜鱒、春の魚介で一番好きなのでテンション上がる。前回の締めはキンキの強い旨味と脂に焼き目の香り、アクセントの百合根のホクホク感とここの具材の主張が強くメリハリがハッキリしていたという印象ですが、今回は各々の主張よりも全体の一体感に優れていたという印象です。個人的な好みで言うなら前回のようにメリハリある方が好きですが、一体感のある今回も当然旨いことに変わりはなく、軽々と完食しました。

甘味はあまおう、せとかに加え3月らしく桜餅。果物に関しては想定通りの美味しさですが、桜餅に用いられてる桜の葉が一般的な桜餅と異なる印象を受けました。塩漬けを浅くしてるのか、はたまたほぼしてないのか非常に色鮮やか。そのため従来より香りは弱いのですが、淡く色付けされた道明寺粉との対比がより美しいですね。また味わいについても従来のものより道明寺粉やあんこ自体の味わいが目立つように感じました。従来のものと比べた場合一長一短ではあると思いますが、試みとして興味深かったです。

総評

以上のコースが16500円で、酒量もほぼ変わらないので、今回も18000円半ばに着地しました。
今回も大いに満足。

それと今回料理とは別に感動したことがありました。今月店主の方が誕生日ということもあり誕生日関連の話で盛り上がったのですが、お客さんの1人が誕生月であるということが分かったんですよね。そのお客さんは予約時にそのことを特に伝えたりはしておりませんでしたので、お店の方もその時初めて知ることになったんですよ。にも関わらず甘味が終わった後に別途デザートが提供されました。このホスピタリティには感服しましたね。予約の段階で言えば実施してくれるお店は数多くありますが、それを即興で行うとは…。
お連れの方と何か話していた様子はなかった=同意を得るタイミングが無いため料金の請求が不可能であるにも関わらず…です。またタスクが急遽増えた形になるのですが、皿出しのテンポについても遅く感じることはありませんでした。僕自身は相応のサービスには相応の料金が掛かって然るべきという考えではありますが、それでもやはりこういった心遣いは素敵だと思います。

こちらのお店、再訪するくらいには料理、サービス、設など好きでしたが、上記の1件でまた一段と好きになりました。
次回は松茸が出るという10月頃にお邪魔したいと思います。夏は不明ですが…。夏の日本料理って個人的にそこまで魅力を感じていないんですよね。訪れるとしてもランチかなあ…。
ごちそうさまでした。


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