見出し画像

レストラン感想 温味


概要

札幌の割烹を回ってみよう企画第4弾はこちら、温味。
市電中島公園通から徒歩4分ほど、住宅街に佇んでおります。ミシュラン2つ星、ゴ・エ・ミヨ掲載、食べログでも百名店に選出されており、札幌でも1、2を争うほど有名な割烹でしょう。

お店の作りが少し特殊。重い扉を開けるとまず玄関があるため靴を脱ぎ、廊下を渡り、階段を登ると席が見えます。なんか普通の家みたい。

大将の他にお弟子さんがおり、主に大将が奥で調理を、弟子の方が盛り付けや客対応をしてくれます。個人的に作り手から直接話を聞ける方が好きなのでちょいと悲しい。

コース内容

日本酒は頼んだのですが、写真撮り忘れた(というか瓶を持ってきてくれない関係で撮るタイミング逃した)ので最初に書いておきます。因みに値付けは札幌の飲食店としてはやや高めな印象です。

而今(1合) この値付けで好みじゃないの引くとショックだな、ということで珍しく知ってる銘柄から注文。無難に美味しいけど、それに安心感を覚えます。
NO6(半合)隣の方が飲んでて日本酒っぽくないって言ってて気になったので注文。確かになんか白ワインっぽい味わいで面白い。好み関係なしに記憶に残る味わいです。

以上で3740円。やっぱり少し高いイメージなので有料の煎茶もあったし、また訪れる時があれば日本酒+煎茶にしよう。

1月なのでお正月らしく白味噌仕立てのお雑煮スタート。具材は丸餅、里芋、京人参。カラシを解きながら頂きます。マッタリした味わいで素直に美味しい。具材については丸餅の香ばしさが印象的でした。

先付けも1月らしくお節を切り取った形です。黒豆、慈姑、チョロギ、子持ち昆布。いずれも王道な味わいで真っ当に美味。

椀もの。椀種は道明寺粉と蟹を合わせて薄く切った柚子皮で包んだものに、菜の花、しいたけ、青菜、京人参と大根と結んだもの。お出汁は鰹節の風味がハッキリしていて美味しい。柚子皮、刻んだり削ったりの使用はよく見かけますが、薄切りにしてそのまま使用するパターンは初めて見ました。かなり大胆な使い方ですが、、エグ味などは一切なし。

お造りはフグとあん肝。僕はあまりフグは好んで食べないのですが、このフグは厚めのカットのため、ムッチリした食感と白身由来の上品な旨味でを感じられて美味しかったです。あん肝は従来のものと異なり口当たりが軽く、食感も硬めの茶碗蒸し的な感じ。僕の好みはコッテリ濃厚な肝肝しいあん肝ですが、これはこれで美味しかった。

八寸。一番映える八寸を撮り忘れするという失態。
上の鯛の器には、カラスミの味噌漬け、ワラビ、チシャトウ、ユリ根茶巾絞り、巻いてないけど伊達巻?的なもの。チシャトウという野菜、初めて食べましたが、シャッキリした食感で、空芯菜を爽やかにしたような味わいでした。下の器については、左はナマコとこのわた、真ん中が柿の紅白なます、右が鱒のきずし。いずれも各々の味わいがしっかりしており酒が進む。特にカラスミとこのわたは酒泥棒ですね。

鰆の西京焼きに加賀蓮根、手前のものは粟麩とフキを揚げたもの。鰆はしっとりした身とハッキリした調味で美味。2切れあってポーションもしっかりしてて嬉しい。脇役の粟麩のとフキもコッテリとほろ苦さで好相性。

漬け鮪に海苔ソースと山芋のすりおろしを出汁で伸ばしたものを掛け、山葵を載っけたもの。平たく言えば山掛けです。これはあまり印象に残らず。

炊き合わせに鯖、筍、京人参、せり。筍って九州の方だともう取れるんですね。いずれもしみじみとした美味しさ。

ごはんは牡蠣の炊き込みご飯。小粒ではあるものの牡蠣がゴロゴロ入ってます。ご飯に牡蠣の味わいが移りながらも、牡蠣自体の味わい・食感共にしっかり残っており実に美味しい。香の物については昆布に鰹節を纏わせたのが美味しかった。普段であればご飯は全部食べてしまうのですが、今回は事情があったので、残った分は箱に入れて持ち帰らせてもらいました(別途箱代550円)。

水物は安納芋のプリン。川甚で出たプリンは昭和のプリンだったが、こっちは僕の知ってる平成のプリンでした。

総評

以上の料理が税込16000円、これにサービス料が乗っかって17600円。いずれの料理も上品で安定して美味しく、料理ごとのブレが少ないなという印象です。また設や食器なんかも印象的であり、日本料理って総合芸術だなあ…と感じる場面が多かったですね。特に食器は季節ごとに変わるとのことで、他の季節も気になるところ。今回であれば、お造りに使われていた鶴の食器と、八寸に使われた羽子板の盆(?)と鯛の器が1月らしくおめでたい感じで好きでした。

ただこれは完全に好みの問題なのですが、
・調理は大将が奥の方で行っており、大将の技術をあまり目の当たりにできない
・料理は「旨い」よりも「美味しい」に重きが置かれているように感じる
・食材は特に地産地消に拘っているというわけではない(少なくとも説明時に産地への言及はほぼない)
と僕の好きな方向性とは異なる場面もありました。ただこれはあくまでレストランとしての好みの話であり、料理自体はとても美味しく総合的な満足度は高かったです。

因みにコースは26400円のものもあるのですが、今回カウンターで一緒になった方々は全員17600円のコースだったため、その詳細は分からず。ただ品数は変わらず、使用する食材が異なるという話でした。

ご馳走様でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?