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レストラン感想 川甚

今月は僕の誕生日があるため、祖母がランチに誘ってくれました。色々話し合った末、数年前にランチで利用して凄く満足した記憶があったため、川甚へ。

概要

すすきの駅から徒歩5分ほど、北海道では数少ない料亭で、季節のイベントなども催しています。イベントやディナーだと2階の個室に案内されるのですが、今日はランチなので1回の大広間。とはいえ他のお客さんが見えなかったため、事実上大きな個室であり、ただっ広い空間を祖母と2人で占領できました。料亭らしくお庭や設が素晴らしく、それらをじっくり堪能できて幸せ。京都の菊乃井の方曰く「料亭は大人のアミューズメントパーク」とのことですが、まさにその通りだと思います。

コース内容

先付け4種。左のは海老の芝煮、海老と海老芋の真薯ですが双方海老の風味が淡白。手前は鮎の骨煎餅と鮎の卵を焼いたもの。右は鮎を焼いたものに甘辛いタレを塗ったもの。鮎については落鮎のため特有の苦味や香りは控えめですが、旨味や脂は通常の夏のものより強く感じました。奥の器にはトウキビ羹と出汁のジュレ、カズノコ。カズノコの調味の塩梅が丁度良く美味しかった。
あまりにもカズノコが美味しかったので、帰りにお節に備えて北海道産の塩カズノコを購入しました。お節は昨年までは購入していましたが、今年は帰省が無く時間を確保できるので、久々に色々作る予定。過去にここのお節も購入してとても美味しかったのですが、昨年の予約分(つまり2023年のお節)から高価格路線になってしまっており、もう僕の手が届く金額では無くなってしまいました。悲しい。

椀物は鶏つくねにトマト、きゅうり、大根に蕪のすり流し。つくねはマッチョな肉質で美味しく、野菜の味わいも良いのですが、この価格帯の椀物としては少し質素な印象を受けます。お出汁についても蕪が支配的で、お出汁自体はあまり印象に残らなかったです。椀物はお出汁をダイレクトに味わえる方が好みです。

お造りは本マグロとヤイトガツオ。でっぷりと脂を蓄えたマグロの旨さは当然として、カツオが実に美味しいですね。全身がトロと評されるだけあり、従来のカツオとは一線を画す美味しさ。スモーキーな香りもグッド。
醤油、もしくはこのわたと出汁のジュレ(左の小鉢)で頂きます。魚自体の味が強かったため、刺身は醤油で、ジュレの方はそれ単品で料理として成立する味わいのため、そのまま頂きました。
カツオの下には湯葉と焼きなすを餡で和えたものが隠れていました。湯葉は普通でしたが、なすがジューシーで美味しかった。

焼き物として蛤のウニ焼きとイチボの西京焼き。蛤とウニはどちらも素材自体の風味が乏しい。西京焼きについては強い味付けながらも肉自体の美味しさも伝わる調理で美味。香草と共に口にすると味覚のベクトルが大きく変化し、別ジャンルの料理と錯覚するほど。

鍋が出てきました。具材は九条ネギ、牛蒡、人参、椎茸、フカヒレ、マコモダケ、じゃがいもの千切り、タイ。いずれも美味しいは美味しいのですが、なんか旅館の料理という印象を受けます。フカヒレも少し臭みが気になりました。

鮑。両端は鮑の身を用いたもので、真ん中は肝を用いた生地を揚げたもの。せっかくの鮑なのに風味に乏しく勿体無いなあと思いました。身を揚げるのはいいのですが、肝は濃厚なソースにしてそれを付けながら味わいたかった。

百合根と枝豆の炊き込みご飯にいくらを混ぜ込んだもの。百合根のホクホクしたアクセントが楽しい。ご飯自体はやや柔らかめであり、もう少し硬めに炊かれたものの方が好み。止椀は白菜の摺流し。味噌じゃないの珍しいですね。白菜自体旨味成分が豊富ゆえか独特な味覚が形成されて美味しい。香の物も特に胡瓜が美味しかった。

水菓子はピスタチオのアイスクリームとプリン、各種フルーツ。プリンが硬めの昭和スタイルで笑ってしまう。令和だぞ。美味しいは美味しいですが、和食の甘味って感じではないよなあ…。急に世界観が変わってしまった印象を受けます。

総評

以上の料理が税サ込で13200円。全体としてちょっと淡白でパンチが弱く、良くも悪くも日本料理的だなあ、といった印象を受けました。ただ最初に書いた通り料亭という場所は庭や設といった要素も込みですので(実際割烹よりもサービス料が高いこと多い)、仕方ない面もあると思います。ただなあ、以前行った時はもっと満足度高かったと思うんだけどなあ。でも確かその頃コロナの関係で食材の仕入れ値下がってたみたいな話があったからそのためかもしれません。自身の好みとは異なりますが、北海道において料亭は貴重(以前はもっとあったらしいが、需要の変化で閉店したり、建物だけ残して普段使い系のお店になったりしてる)ですので、存続していってほしいなあ…とも思います。

和食自体は最も旬を感じられるジャンルで好きなため、季節ごとに1回は頂きたいと考えているのですが、やはり和食を食べるのであれば割烹の方が良いですね。ちょっと来週から好みの割烹見つけるために何店か回ってみようかな。
ご馳走様でした。


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