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読書感想文「星を編む」凪良ゆうさん

*極端なネタバレにならないよう書いていますが未読の方はご注意くださいませ。
*あくまで私個人の主観による読書感想文です。

書店で『汝、星のごとく』の続編を見つけたとき、我が目を疑いました。
それは、『汝、星のごとく』がとてもよい物語で、終わり方もとてもステキだったから。こんな言い方をしてはいけないのだけれど、まさか続編が蛇足になりやしないだろうかと思ってしまいました。
ただ、それはあっさりと杞憂に終わったわけです。

人は皆それぞれの人生を主役として懸命に生きていて、それぞれの物語のなかで輝いているんだ。
一人ひとりの輝き方はそれぞれ異なっていて、だから世界はおもしろい。
そんなことを感じる本でした。

個人的には表題にもなっている「星を編む」に一番惹かれました。
お仕事小説の側面もあり、仕事をする自分と家庭のなかの自分が不可分であることと、それに対しての葛藤にリアリティがあり共感できました。

また、凪良ゆうさんの作品に共通して流れているような気がする《家族とは》《大切なひととは》ということについて考えさせられました。
「血は水よりも濃い」という言葉がありますが、血が繋がっているということだけではクリアできないことが世のなかにはたくさんあって、近くに自分のことをある程度理解してくれる人がいることの方が幸せに近づけるということでしょうか。
私自身が、人間関係は《浅く広く》よりも《深く狭く》の方が落ちつくタイプなので、より共感できたようにも感じます。

世間一般で幸せの尺度とされていることにあまり惑わされず、自分の心が感じるままに、しなやかに、軽やかに、人生を楽しもうと思えた読書体験でした。

それにしても、凪良ゆうさんの本はハズレがないです、えらそうな言い方ですが。
文庫化を待たずに購入しようと思う作家さんです。

『汝、星のごとく』と『星を編む』、2冊並べて置くと見た目もステキでした。

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