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読書感想文「汝、星のごとく」凪良ゆうさん

*極端なネタバレにならないよう書いていますが未読の方はご注意くださいませ。
*あくまで私個人の主観による読書感想文です。

「流浪の月」で凪良ゆうさんの本にであってから何冊目だろう。とても好きな作家さんの1人です。
装丁の美しさにも惹かれて本屋で見かけたときに即買いしました。

現代日本が抱えるさまざまな社会問題に触れながら、幸せとは何かを問いかける感動作でした。
幸せとは他者や世間に規定されるものではなく、自らが感じるままにつかみ取ればいいもの。これは凪良ゆうさんの作品に共通するテーマのように感じます。

そして、ソウルメイトともよべるような自分自身をさらけだせる相手とのかけがえのない関係。「流浪の月」を読んだときにも強く感じた憧れ、いつか自分にもそのような出逢いがないものかとしばらくぼんやりとしてしまいました。

舞台が瀬戸内の島ということで、以前読んだ辻村深月さんの「島はぼくらと」との共通性も感じました。景観の美しさとそこにある人間関係の濃密さや変化しづらい(させづらい)ものたち。
添付した画像は、瀬戸内しまなみ海道を旅行したときにどこかの島で撮った風景です。オシャレなカフェで美味しいジェラート食べたなという記憶は、いっときしかそこを訪れない旅行者としてのもの。次に訪れることがあれば、以前とは異なる視点で旅ができそうな気がします。

また、読み終えたあとに登場人物のネーミングにも味わい深さを感じました。
夜明けの海の美しさ、母なる海を感じさせる暁海。自らの力で人生を切り拓いていく櫂。
2人の結末がハッピーエンドかどうかは意見のわかれるところだと思いますが、暁海と櫂にはそれしかなかったんだろうなという気もします。

『あのときこうしておけば』と後悔するようなことが私自身も多いですが、少し考えると『でもあのときはこうするしかなかったな』と思うことも多いので、過去のことにとらわれすぎず前を向いて生きていきたいと思います。

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