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  • 演劇あれこれ

  • ベースメント・モリにて

    演劇の集まりベースメント・モリの活動にまつわることをまとめています

  • 卒制日記

    2020年度卒業制作『濃霧より』に向けた取り組みを記録し、まとめています。隔離された部屋で、出会わずにどう繋がるのか。社会的な距離を挟んで、集まりはどう働くのか。

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杉田 亮 プロフィール

杉田 亮(スギタ リョウ) ・1999年1月5日、シドニー生まれ 東京都内在住 ・演劇の集まり ベースメント・モリの共同代表 ・立教大学現代心理学部映像身体学科卒業 ・好きな食べ物は寿司 嫌いな食べ物は豆 これまで2023 ・ベースメント・モリ『ミウナの友人』出演・制作 スタジオ空洞 ・三枚組絵シリーズ「洋間たち」出演 2022 ・不条理コントユニットMELT#1『異能の人』制作 吉祥寺櫂スタジオ 2021 ・ベースメント・モリ「わかりあえなさを体験するワークショップ」

    • 「わかりあえなさを体験するワークショップ」のふりかえり

       2021年11月7日、都内某所で「わかりあえなさを体験するワークショップ」を開催した。立ち上げた演劇の集まりベースメント・モリの、初めての企画だった。その後年が明けて1ヶ月が経ち、振り返るタイミングが完全に遅くなってしまったが、今後の活動に向けて考えたいこともあるので、少し書き残しておきたい。  まず、今回のワークショップは「参加者がわかりあえないことに気がつき、その経験を新しいものの見方として持ち帰るWS」をコンセプトにしていた。他者と関わる時、そこに潜在的にあり続ける

      • 戯曲『x21』

        地下室に逃げ込んだ私たちは、おままごとをして遊んでいる。 今は私以外の誰かを、気ままに演じて遊んでいる。 けれど、治らない病気が、染み付いた記憶が、一つだけの顔が、私たちを掴んで離さない。 逃げられないものから逃げ出したくて、私は、私のために誕生日会をする。私のために成人式をする。私のために結婚式をする。私のためにお葬式をする。私一人じゃできないから、私にはあなたが必要で、あなたのために、私は必要で、だから私たちは一緒に過ごす。 遊びに始まりも終わりもなくて、私たちの

        • 卒制日記10(リモート上演とその撮影)

           10月、ついに稽古も最終回を迎え、本番の撮影を行った。稽古終盤の過程を記録しておく。 荒通し 演劇では、セリフを暗記する。理由は「上演ではセリフを忘れてもやり直しが効かないから」だけではない。それは単に形式的な制限である。消極的な理由だ。セリフの暗記にはもっと積極的な理由、すなわち目的がある。それはテキストからの解放である。書かれたセリフをあくまで演技の一要素として扱い、そこをスタートラインにするためである。  荒通しは、以上の点を踏まえ、稽古の早い段階で台本を持たずに

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        記事

          卒制日記9(論点を経由しながら)

           夏休みが終わり、秋学期を迎えた。授業の合間に週2回、頻度は変わらず稽古を続けている。前回、進捗が芳しくないと記していた脚本もほぼ完成した。残りも音声のみのシーンなので、台詞を覚えるための稽古は必要ない。迷惑をかけてしまったが、ようやく作品全体を見通して稽古を進められるようになった。現段階での進捗をまとめておく。 稽古進捗 数回の読み合わせの後、台本を持ったまま稽古を行う、いわゆる半立ち稽古を一通り行った。場面ごとに、俳優たちの演技を画面で見て、ぼくから指示・提案をして稽古

          卒制日記9(論点を経由しながら)

          卒制日記8(何を書くか、どうやるか)

           脚本執筆のため、卒制日記の更新を止めていた。しかし、進捗は芳しくなく、現状では脚本執筆と稽古が同時並行で進んでいる。いよいよ9月も中旬に入り、稽古も11回を数えた。これまでの取り組みを記録しておく必要があると感じ、久しぶりに記事にまとめる。  前回(卒制日記7、稽古としては8月13日)以降も、頻度は変わらず週2回の稽古を行なっていた。アプリも変わらずZoomを使用している。 脚本執筆と相談 上記の「脚本執筆と稽古の同時並行」は、稽古本来の機能を考えると好ましくない状況で

          卒制日記8(何を書くか、どうやるか)

          卒制日記7(オンライン稽古開始)

           8月に入って、稽古を開始した。毎週木曜日と日曜日の2回、17〜19時の2時間、画面上で顔を合わせている。この2週間にも、4回の稽古を行った。8月2日の初回から、13日の4回目までで取り組んだ内容をここにまとめる。  前回(卒制日記6)書いた通り、本編への足がかりとして、試作品を撮影した。一本の動画に編集し、本番に近いライブ配信の形式で、俳優たちにも観賞してもらった。感想を共有しつつ、最後に今後の方針を相談した。  試作品は、およそ3ページ半の脚本から、最終的に7分の動画

          卒制日記7(オンライン稽古開始)

          卒制日記6(「そこ」を作るために)

           2020年7月16日木曜日、6回目の電話会議を行った。ミーティングとしての通信はこれで最後。次回以降は発表に向けた稽古となる。  今回は、試作品制作に向けて準備を行った。そこで、制作にまつわる、ある仮説を検証してみた。結果はやや意外なものだった。 0. 概要 1に、前回終わってから考えていたことを述べる。2には、今回の電話会議前半で行った、1から生まれた仮説の検証過程をまとめる。3では、会議後半で行った、脚本の読み合わせについて簡単に書く。4、5には、終わってから考えた

          卒制日記6(「そこ」を作るために)

          卒制日記5(距離を続ける)

           2020年7月2日木曜日夕方、5回目の電話会議を行った。  今回も基本的にZoomを使ったが、途中で「Spatial Chat」なるツールを使ってみた。接続にやや難があったが、それなりに楽しめた。後述する。  さあ、今回も元気にまとめてみよーう 0. 今回の概要 やや久しぶりだったのもあって、1.近況報告から始めた。続けて2.方針の共有を行った。一度休憩を挟んで3.お試しSpatial Chat。面白さを共有できたので再度Zoomに戻り、4.雑談的に質問してみた。

          卒制日記5(距離を続ける)

          卒制日記4(ライブ性とはなにか)

           2020年6月11日木曜日夕方、4回目の電話会議を行った。  今回もZoomを使用した。前回からの変化としては、杉田家のWi-fiが強化されたおかげで、画面越しのぼくが鮮明になったらしい。 0. 今回の概要  まず、3月時点でのコンセプトを改めて紹介し、現状に適用できるか考えた。参考として、隔離における(すなわちリモートで作られた)演劇の実践例を挙げてみた。関連して、いわゆる「ライブ性」にまつわるいくつかのトピックが話題に挙がった。最後は何故か台詞も読んだ。  本稿で

          卒制日記4(ライブ性とはなにか)

          卒制日記3(部屋と窓のワークショップ)

           2020年5月24日日曜日、夕方。3回目の電話会議を行った。  この日が、首都圏を含めた全国における緊急事態宣言解除の前日だったことは特筆すべきだろう。この会議の参加者に限らず、我々は皆、それまで閉じこもっていた家の、いわば玄関口に立つようにして、状況の変化を感じ取っていた。  今回、隔離から距離への緩やかな変遷に向かう瀬戸際において、「部屋」と「窓」にまつわるワークショップを試みた。以下に活動の内容をまとめる。  ちなみに、今回は全員にビデオをオンにしてもらって進行

          卒制日記3(部屋と窓のワークショップ)

          卒制日記2(それぞれのステイホーム)

          ・2020年5月7日木曜日夜に、2回目の電話会議を行った。 * ・全員が集まったところで、僕の方からこの会議の進め方を共有した。頻度は2週間に1回を予定していること。毎回の流れとして、まず近況報告を一通りして、次にそれぞれが現状感じたり考えたことの共有、最後に卒制に向けた「演劇」の話をする予定だと説明した。 ・今回は時間の都合上、最後の「演劇」の話にはあまり触れず、近況報告と考えの共有を行った。いくつかの発見や面白い意見があったのでまとめていく。 * ・近況報告。そ

          卒制日記2(それぞれのステイホーム)

          卒制日記1(終わる中で始める)

          ・2020年4月24日金曜日、卒業制作の顔合わせ通話を行った。印象に残っているのは、出演者の1人が言った「今始められることが嬉しい」という言葉だ。いろんなことが終わっていく最中に、僕たちは何かを始めようとしている。 ・未知の感染症が流行し、我々は隔離を余儀なくされた。そうした直接会えない状況で、お互いに繋がろうとするもがき。抗い。その記録を、ここに残していこうと思い立った。 ・僕はもともと、舞台での演劇作品を上演していた。生身の人が集まり、経験を共有する。大まかにはそんな

          卒制日記1(終わる中で始める)