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潜水と酸素
深く、深く、静かに潜っていく。
その先に何があるのかも知らず、ただその奥へと招かれている気がして、何かの引力に吸い込まれるかのように。
ただまっすぐと潜っていく。
そして呼吸を忘れた頃、見上げた空の高さに絶望する。
息が出来ないことに気がつく。
このまま堕ちてしまいそうだと悟った時、君は現れて、いとも簡単に水面へと私を引っ張り上げる。
君はいつも一緒に潜ってくれない。
君はいつも一緒に落ちてきてくれない。
けれど私が呼吸を忘れた時、必ず君はやってきて、私には呼吸が必要だということを思い出させてくれる。
それが憎くて、哀しくて、寂しくて、私を安心させる。
君と私は相容れないと、けっして分かり合えないのだという拒絶とその冷たさで私に酸素を与えるその優しさが、入り混じって、私はまだ溺れているみたい。
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