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5. 2年目の夏。滞在の言い訳は、水族館でのアルバイト。

新歓後、わずかながら新しいメンバーも加わり
私は相変わらず、いやそれまで以上に
サーフィン熱を高めていた。

正直、サーフィンだけが理由かはわからない。
ケイといる時間が楽しくて、
彼とはいつもサーフィンしてて、、

“今日の2限終わったら、明日の夜のバイトまで
空いてるよ。海行こ!”
“いいね!”

そんな感じで連絡を取り合い、
平日土日問わずサーフィンしまくっていた。

そして、やっと迎えた夏休み。
授業も気にせずにずっとサーフィンができる!
ただし、バイトはしないとお金が足りない。。

あ、そうだ。
海の近くにある水族館で
バイトすればいいんじゃん!

急いでググると、
今まで見たことないような小さな求人サイトに
これまた小さな”アルバイト募集”の文字が。

—時給890円・シフト制・短期勤務あり—
あとは、教習所の時と同じ。
その場ですぐに電話をかけて、即決。

こうして、2年目の夏も口述をつくり、
1年目以上に長い1ヶ月の滞在を獲得した。

この夏の私には目標があった。
それは、ショートボードに
チャレンジして、ちゃんとテイクオフが
できるようになること。

それまではロング一択で、
(もちろんロングは好きだからいいのだけど)
やっぱり人の車でトリップしたりするには、
かなり不便というか、
申し訳ない気持ちが大きかった。

ある時ケイから
”夏休み後半に徳島で
別の大学と合同合宿あるよ。
ロングじゃきついけど、
ショート練習して一緒に参加する?”
と誘われた。

私は、この合宿に絶対参加したい、と
かなり意気込んで練習し始めた。

だが、ロングからいきなり5ft台のショート
に乗り換えるのは、かなり難しかった。

アルバイトの前後に海に入り、
ショートボードの練習に励む。
ロングではテイクオフの失敗が
だいぶ減っていたのに
ショートになると途端に出来なくなる。

パドルも安定しなければ、
波待ちのために板に座るのだって
ままならない。

波が小さい日には、
ロングの方が楽しいからと
練習をサボってしまったことも多かった。

それでも、完全には諦めずに
海に向かっていると
徐々にテイクオフが成功するように
なっていった。

ロングとはまるで違う感覚。
自分の動作が、体重にかけ方が
(大抵は悪い意味で)クイックに
板に伝わっていく。

“これは、、ちゃんと乗れるようになったら
ロングと同じくらい楽しいかもしれない。”

この夏はこのくらいの感覚までしか
辿り着かなかった。

だけど、これまで私が
“どれだけロングの浮力に頼っていたのか”
“意識できていなかったことはなんなのか”
をすごく感じることができて、
なんだか、どっちもやるといいことあるなぁ
と素直に感じた。

ちなみに、
この夏休みにケイには彼女ができた。
私ではない。

あの時素直になっていれば。
その瞬間を、今でもまだ覚えている。

でも、相変わらずケイとは仲が良くて、
徳島合宿の参加も控えていた。

“私の感情はいったんしまおう。
ケイを友達として見ていれば
このまま楽しい関係で
ずっといられるのだから”

伝えられなかった思いを
海風に吹き飛ばしてもらっては、
ケイとサーフィンをして、
自ら呼び戻してしてしまう。

そんな風に気持ちはぐらぐらで
相変わらずショートはへなちょこな
私だったが、時間はみんなに平等で。

有無を言わさずやってきた徳島合宿へ、
ケイとともに参加することになる。

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ここまで読んでくださり、
本当にありがとうございました。
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