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人生の平行世界

 数々の分岐点を経験してきたが、偶には私の選ばなかった選択肢について考えて書いてみる。現在の職場含め、私の周りには既に結婚していたり或いは恋人同士である期間が人生の大部分を埋めて結婚を視野に入れ始めたりと、押し寄せる現実味を帯びた【結婚】という言葉が最近の私を更に路頭に迷わせていた。今の考え方的にはそこまで結婚というもの自体に価値は感じないのだが、ここでも心の寒さが悪さをする。ある意味一時的な感情によって私が誰かと籍を入れる事は絶対にないものの、やはり人生における相棒は友情的な男性ではなく、自分が本当に気持ちを捧げたい女性であって欲しい。今までの私の恋愛観において、恋人関係にしたい人は私の全てを捧げると盲目的でも思える女性であり、自覚症状のある目移りが起ころうとも「いや、私にはこの人しかいない」と思える人としか彼女として扱って来なかった。(来れなかったのニュアンスが正しい)

 そんな私の我儘について来てくれた女性がいた。だがとある理由からその女性に愛想を尽かされてしまった。どんなに言い訳を並べようともそれは全て私の所為である事は明白で、これからまた私がその人に復縁を申し込んだとしても返ってくる事はないのだろう。もし、その理由となる一件がなかったら、と今でも考えることがある。愛想を尽かされても未だに会話するぐらいの仲ではあるのが、その未練を断ち切れない要因であった。彼女とは知り合ってからもう4,5年近いが、普通の人間であればそこまで恋人同士として付き合っていたならば結婚を考えるぐらいの年月である。いや、こんな未練を垂れ流す文章は誰にも必要とされていない。

 平行世界の存在というのは創作において、または何かを妄想する時に大層便利なもので、パチンコ屋のホール巡回が目を閉じてでもできる様になった辺りから、この何にも代えられない甘美な妄想の平行世界へ意識を飛ばす事が癖になっていた。そしてホール巡回をしていた記憶すらをも飛ばした頃、妄想癖が板について通勤時間や寝る前辺りまで侵食していた。転職してからは激務や仕事内容の習得に頭のリソースを割き始めた為に常に侵食される事は無くなったものの、今でもふとした瞬間に頭の片隅にあった平行世界が一気に広がって現実世界を大きく齧る様に爆発する。私が偶に人の話を聞けていない時がある原因の一つとも考えられる。

 そんな大きな化け物を頭の中に飼いながら、これからも自分が選んだ選択肢の代償を1人抱えながら過ごすのだ。どんなに周りに人が居ようがそんな事に構う事なく、平行世界が過去の後悔を目の前に引き出して、あり得たかもしれない未来によって孤独を味合わせるのである。

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