ベージュの肌
水槽を泳ぐのは、上半身は人間のような形をしていながら、美しい尾びれで泳ぐ生き物だ。一番大きな水槽を自由に動きながらも、その誰か(?)は少し退屈そうにしている。
「人間である定義は何か」
水槽のガラスに書かれたポエムが目に入る。不安定な明かりに照らされて、それは不気味な存在を醸していた。
「足があれば人間になれるか」
隣に描かれたその問いは虚空を伝う。不安定な光源が揺れる他に、その部屋では沢山の機械が水槽を囲んでいた。その群れが、薄暗くも美しい部屋を侵している。水槽の生き物は諦めたように水流に身を任せた。霞んだ色の眼差しをあるものに注いでいる。視線は、椅子に崩れる誰かの白骨死体に向けられていた。
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