これからどう生きるのか

自分の人生の指標にしていたバンドがぐらついてしまった。

9/18の18時。とあるツイートが目に止まった。
有名な週刊誌から不倫報道が出るとのこと。報道されたバンドは、自分が心の底から好きで仕方なかったバンド。そのベーシスト。
正直信じたくなかった。半信半疑でリンク先に飛ぶと出てきたのは最悪なリーク。内容は既婚者子持ちであることを隠して一人の女性に近付き不貞を働いたとのことだった。記事には相手女性との連絡のスクショも貼られていて、目を通す限り多分本人で事実なんだろうなと思った。事務所も認めてると書いていた。

こうは言っておきながら自分は好きなアーティストの結婚容認派である。好きな人が好きな人と結ばれることはとても幸せなことだし、本人が望むなら是非結婚はして欲しい。子供も本人と相手が望んでいるのならぜひ作って欲しい。ファンへの公表はどちらでもいい。言いたくないのなら言わなければいいし、言いたいのなら言って欲しい。だからこそ、今回の件は既婚者子持ちであることに怒っているのではない。既婚者子持ちであるのにも関わらずその事実を隠して自分の性欲に負け、相手のみならず自分の「家族」、そして最終的にバンドメンバーやファンまで不幸にしたことに絶望した。

ファンという立場はいつも受け身である。どれだけ好きなアーティストでもどれだけ公演に足を運んでも、その人の仕事としての側面しか見られない。
わたしたちは新譜が出たらすぐに買うし公演情報が出たら予定を立てチケットを取りライブに足を運ぶ。セットリストの予測で胸を高鳴らせ、開演してから一音目で好きな音楽に酔いしれ全身で音楽を体感する。公演のない期間の不定期SNS更新を心待ちにしている。いつもあちら側のアクションがないと動けない立場である。
それでも、自分は幸せだった。ライブがない期間でも音楽は常に傍に寄り添ってくれていて、それだけでもかなり幸せだった。だからこそ、だからこそ昨日のお知らせで絶望した。

22時を過ぎ本人公式アカウント、そしてバンド公式アカウントからお知らせが届いた時。正直苦しくて涙が出てしまった。それは決して同情の涙ではない。
自分を落ち着かせるためにSNSでサーチをかけていた。お知らせのリプ欄も見ていた。しかし見ても見ても不倫を擁護する人、この場に託けて歌詞を引用している人、「こんなこと」があっても自分はファンでいると表明している人。絶望している人は少数派だった。その事実も正直苦しかった。
週刊誌が悪いだのリークした人が悪いだの言っている人もいて悲しくなった。もちろん新譜が発表され、タイアップも発表されてこのタイミングで報道を流したのはもちろん良い事だとは言えない。でも、そもそも悪いのは不貞行為をした本人なのではないか?色んな人を不幸にするリスクがあるのにも関わらず、自分の欲望を通し結果的に沢山の人を不幸にする最悪の結果を招いた本人が一番悪いのではないのか?
好きなアーティストでももちろんプライベートの側面はある。そこはファンは知らなくていいしわたしは知りたくない。好きにしてくれ。でも、それでも、自分の仕事に泥を塗りたくり信用を失うようなことを行うのはあまりにも浅はかすぎるのではないか?
これが独身男性のドクズ具合のリークだったならここまで燃え広がることはなかったと思うし、自分もここまで気持ちがぐらついて悲しくなることもなかったと思う。でも事実は違っていて。だからこそこうやって言語化出来ない気持ちをつらつらと述べることをしている。

何より一番悲しいのが、それでも嫌いになりきれないということである。10年以上前に自分を救ってくれた時からこのバンドの存在に、このバンドの音楽に救われていて。自分の人生がつらくなった時にいつでも傍にいてくれたのがこのバンドの音楽だった。
背中を押す方も怖いから背中は押せない。無責任に元気付けられない。それでも必死に寄り添ってくれていたからこそ、それでも人の弱いところに必死に寄り添ってくれていたからこそ、自分は生きて来れたしそう思っていたのは自分だけじゃない。自分だけじゃないから沢山の人がついてきた。だからこそ好きだった。だからこそ、悲しい。
一度信頼を失うと世間からは冷たい目で見られる。あぁあの不倫バンドね、とか心無い言葉をかけられる。楽曲に罪はないのに悪いイメージが付き纏う。他のメンバーにだって悪いイメージが付き纏う。どれだけ音楽で信頼回復に努めようと思っても、一生バンドメンバーが不倫をしたことは隠せない。それでも、自分は嫌いになりきれない。それが何より苦しいし悲しい。嫌いになれたらどれだけ楽だったのだろうか。今回の件で見限って自分の頭の中から消すことが出来たらどれだけ楽だったのだろうか。

しばらく音楽は聴けないが、次のライブがあったら喜んでしまうんだろうな。行けるかどうかも分からないのに。

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