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読書記録『お誕生会クロニクル』古内一絵

お誕生会クロニクル/古内一絵/公文社

誕生日、それはきっと、誰もが自分自身と向き合う日だ。お誕生会が禁止された小学校、お誕生会好きの会社の上司、3.11に祝うお誕生会、認知症の母が祝ってくれた誕生日……"お誕生会"をめぐる人間模様を描く、心に沁みわたる全七編。

大好きなマカン・マランシリーズの古内さんの最新刊が出たとのことで、本屋さんへ。

本の中で出てくる「お誕生会」という文化は、わたしの身近には根付いてなかったけど、自分の今までの誕生日を思い返す一冊になりました。

わたしの誕生日は、7月30日。夏休みの真っ只中なので、小さい頃は友達に祝ってもらうという感覚はなく、いつも家族で過ごしていた思い出です。毎年自分の誕生日は家族でプールに出かける、というのがお決まりでした。

10才の誕生日は、いつも通りプールに行って家に帰ってくると、当時わたしがドはまりしていた”かいけつゾロリ”の全巻・ゲームソフト・おもちゃが詰め合わせになったプレゼントが待っていました。

11才の誕生日が、初めて友達に祝ってもらった誕生日です。夏休みに被った野外活動最終日が、7月30日でした。一緒に過ごした友達から、プレゼントをもらいました。

中学に入ると、吹奏楽部のわたしにとっての夏休みは部活一色。夏のコンクールに向けて、誕生日は必ず部活でした。先輩、同期、後輩から祝ってもらう誕生日を過ごしました。

高校も変わらず部活の毎日でした。中学時代に比べると部活のレベルが上がった高校では、コンクール前には合宿をすることになっていました。
1年生、初めての合宿は誕生日が初日でした。4泊5日分の荷物が入ったバッグに、わたしの荷物とは違うものが入っていました。当時好きだった、同じ部活の先輩からの誕生日プレゼントが入っていたのです。

2年生も合宿と被った誕生日。しかも今度は5日間のうち、2日目だか3日目だかはっきり覚えていませんが、中日でした。
朝から夜遅くまで、山奥の学校で音楽漬けの合宿。食後が唯一の休憩時間。夕食を食べ終わったわたしは、同じパートの同期に呼ばれ、部室に入りました。「なんか甘い匂いがする……」そこにあったのは、焼き立てのケーキ。同じパートの先輩・同期から、誕生日ケーキのプレゼントがありました。
レンジでつくれるケーキ、家から卵や牛乳をもってきて、作ってくれたのだそう。みんなでケーキを食べた後、合奏をして宿舎に戻ると、後輩たちがお菓子をもって待ってくれていました。きつい合宿真っ只中の、忘れられない嬉しい思い出です。

大学生、社会人と何回か誕生日を繰り返して26になりました。
社会人になって、誕生日を大切に思う機会が少なくなってきました。だけど、やはり7月30日にはそわそわしてしまう自分がいるのも確かで。

自分の誕生日だけでなくて、大切な人の誕生日もしっかり祝いたいと思うし、どうにか喜んでもらいたいと思う。その日は、生まれた日は特別なものです。大切な人の誕生日は、自分にとっても大切で特別な日。

この本を読んで、改めて”誕生日”を見返すことができました。


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